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謎のへっこみ地形があるよ♬【都道府県シリーズvol.10富山県part2 東部山間地域no.2-1】

富山県の東部山間地域では、日本列島がまだ大陸の一部だった中生代三畳紀(約2億5000万年~2億年前)から現在までの地質が分布しています。
その中でも新第三期の地質が分布する範囲の中に、ちょっと気になる地形を見つけました。

場所の確認

まずは場所の確認からはじめましょう。

富山県位置図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

富山県は上図のように東京都の北西方向に位置しています。

富山県の地形区分図:スーパー地形画像に筆者一部加筆

東部山間地域は上図の②です。

②地域は上図に示す7市町それぞれの一部地域で、今回も上市町(かみいちまち)が舞台です。

地形を見る

では行ってみましょう!

周辺区域地形図:スーパー地形より

この真ん中あたりに「気になる地形」があります。
広すぎて、まだ分からないですよね。

周辺区域地形図②:スーパー地形より

一気にズームしました。
真ん中あたりに谷地形が見えると思います。これではピンと来ないと思うので、国土地理院地形図をかぶせてみましょう。

周辺区域地形図③:スーパー地形より

等高線が閉じていて、内側にケバケバ記号がついています。
これは「凹地」になっていることを示しています。

あちこちの地形を見れば分かるのですが、凹地は珍しいです。
例えば、湖・沼・池は凹地に水が溜まったものですが、雨がどんどん降れば、水があふれて川として流れます。
人工的な池の場合は水路で水を流していますが、自然にあふれた水がそのまま流れると侵食が進んで凹地に水が溜まらなくなってしまいます。

凹地に水が溜まらなくなって、さらに侵食が進めば、普通の谷地形になってしまい、凹地ではなくなります。

規模が大きい湖や沼であれば多少の雨では溢れませんし、侵食が大きく進行しなければ、水を溜められない状態にまではなりにくい。
つまり規模の小さい凹地ほど、残りにくいと言えます。だから凹地は珍しいのでしょう。

凹地はナゼできた?

では「凹地」とは、どのようにして形成されるのでしょうか?

スケールの大きなものでは「盆地」があります。
盆地の中には「構造盆地」と呼ばれるものがあり、これは日本列島が海洋プレートに押され、地盤が歪んで凹地になったものです。
秋田県の横手盆地がその代表です。
また日本一大きな湖である琵琶湖は構造盆地に水が溜まってできた湖だと言われています。
琵琶湖に関しては下の過去記事をどうぞ👇

中規模では火山活動によるもので、カルデラ噴火口は円形の凹地になっています。
その他では、地すべりによる陥没凹地や土石流等による谷の堰き止めによって凹地が形成されます。

ではもう1度、例の凹地を見てみましょう。

凹地とその周辺地形:スーパー地形より

長さ300m程度と小規模ですし構造盆地ではないですよね。
また周辺に火山もないし、カルデラでも噴火口でもなさそう。
周辺の地形を見る限り、地すべり地形はありません。
となると、消去法で「堰き止め」でできた凹地だと考えられます。

どこが堰き止められた?

ではいったい、どこが堰き止められたのか?
地形を詳しく見てみましょう。

凹地とその周辺地形②:スーパー地形より

詳しく見れば見るほど、周辺も含めて変な地形をしています。
これら周辺地形の状況を手掛かりに、どのように堰き止められたのかを推定していきましょう。
ザッと見た限り、堰き止め前につながっていたと考えられる谷は3つもあります。

次回へ続きます!
お読みいただき、ありがとうございました。


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