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捨てたものがどこへ行くのか

アクション映画などで、威嚇射撃をするシーンがよくあるでしょう。

相手を狙って撃つ代わりに、空へ向けて一発撃ってその場の空気をかえてしまうアレである。この行為について前々から気になっていることがあり、それは

あの弾はいったいどこに飛んでいくのだろう

ということだ。

計算してみた

空へ向けて撃ったとしても、そのまま大気圏を突破して月まで飛んでいくわけじゃないだろう。その弾丸は、何百メートルか、何キロかわからないけど、とにかく空のはるか上まで飛んで行ってから、いったんストップするはずだ。

それから地面に向かって落下してくるはずなのである。まさか消えてなくなるわけじゃないだろうし、そうとしか考えられない。

さてここに自由落下のスピードを計算するサイトがある。

威嚇射撃した弾丸がかりに1km上空まで飛んでいって、そこから自由落下を始めたとしよう。その場合、地上にぶつかるときにどのくらいのスピードが出るのかを計算してみたところ

14秒後に時速500キロのスピードで地面にぶつかる

ことがわかった。ちなみにピストルの弾丸はだいたい1500キロくらい出ているそうで、これはマッハ1に相当するそうだ。

その3分の1だからたいしたことないかといえばそんなことはない。大谷翔平選手の球が時速160キロくらいで、当たれば大けがをするのだから、鉛の弾が頭の上から時速500キロで落ちてきたら

確実に死ぬ

と思われる。

祝砲もヤバい

威嚇射撃だけではなく、祝砲というものある。あれもあぶないんじゃないだろうかと思って検索してみたら、やっぱり危ないそうなのだ。

事実、海外では祝砲として空へ向けて発射された弾により大勢の死傷者が出ており問題となっています。

空に向けて撃って、落ちてきた弾に当たっても大丈夫?

ということなので、ぼくの妄想ではなくて、大勢の死傷者が出ているらしいのだ。

「ダイハード1」でブルース・ウィルスが、ビルの屋上から空に向かってマシンガンをバリバリ撃ちまくるシーンがあるけど、あのせいで、ロサンゼルスのどこかで誰かが死んでいるかもしれないわけである。

捨てたものがどこへ行くのか

今日は、ピストルの話ではなくて、こころの話をしたかった。「ピストルの弾が月まで飛んでいけないのはなぜなのか」というところから始めたかったのだが、すでに1000文字を越えているので、ひとまずまとめておくと

祝砲を撃つ人は、弾がどこかに消えてしまうように思っているのだろうが、それは錯覚だということ。

やがてだれかの頭上に落ちてくるわけで、そこまで気が回らないのは、単に想像力が足りないだけである。

海に流したプラスチックも同じで、消えてなくなるわけじゃない。捨てた人の想像力の中で消えているだけで、現実にはどこまでも存在し続ける。そして、いつかどこかでいのちを傷つける。

ぼくもいろいろ物を捨てるし、捨てるとすっきりしているけど、あれも錯覚だ。僕の想像力が足りないからスッキリしているだけであり、モノはどこかに存在しつづけている。

とはいえ、想像力には限界があるので、このあたりはコンピュータにがんばってほしいところである。

自分の撃った弾がどこまで飛んでいくのか、捨てたプラスチックがどこでどんな生き物を傷つけているのかが、いずれスパコンでわかるようになれば、いいかもしれない。

想像力をコンピュータにおぎなえるようになれば、人の行動もちょっとはましになりそうな気がする。


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