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趣味を聞かれたら困る

エントリーシートや履歴書や何かによく「趣味」という欄がある。ぼくには趣味と言えるような趣味はないので、あれに毎回困っている。

だからといって、のんびり生きているわけではない。毎日ニュースをチェックするだけでも一苦労だし、本も読まなければならない。これを書くのだっていちおう時間はかかっている。

Twitterやnoteを毎日やっている人は、そこそこの時間をSNSに費やしているはずだ。でも、趣味にSNSとは書かないだろう。しかし、これだけSNSがさかんなのだから、余暇をSNSに取られている人は全世界的に多いのではないか。

趣味が釣りや手芸という人でも、YouTubeで発信を始めれば、実際に釣ったり編んだりする時間より動画制作に費やす時間のほうがふえる。そういう場合でも、釣りチャンネルをやっている人は「趣味:釣り」、手芸チャンネルをやっている人は「趣味:手芸」と書くのだろうか。

あるいは、陰謀論にハマり、ディープステートを追い詰めるために情熱を傾けている人もいる。あんなに拡散したのだからたくさんいる決まっている。しかし、かれらは「趣味:陰謀論」とは書かないだろう。

そう考えると、「趣味」欄は、ある種のフィクションではないかと思えてくる。多くの人には趣味などないが、とりあえず無難なことを書いている。

先日NHKで大相撲力士へのインタビューがあり、キャスターから「趣味はウクレレだそうですが、なにか一曲弾いていただけますか?」と聞かれて「すいません。はじめたばかりなので弾けません」と答えていた。

正直な人で好感を持った。相撲をとり、SNSをチェックしたら、ウクレレを弾いている時間なんか残るはずがない。

ところで、最近見ているドラマ(『結婚できない男』)でお見合いのシーンがあったんだけど、やはり「ご趣味は?」から切り出していた。初対面ではああなるしかないのだろうか。

ぼく自身は、空いた時間に「読書 -> 映画 -> マンガ -> ゲーム」を3~4週間ごとにローテーションしているけど、どれも趣味とは言えない。

今の時代、趣味といえる趣味を持っている人はかなり毅然とした人だとおもう。『結婚できない男』のように、世間とのつながりを捨てる覚悟が求められる。今日の見出し画像に使わせてもらった男性も、いろんなものを捨ててラジコンを飛ばしているのだろう。

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