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あの感じ・・
半覚醒状態とよばれるものがありますよね?ゆめうつつ。
寝入りばなのこと。または目がさめてからしばらくぼんやりしているかんじ。「あの感じ」である。
ぼくはめざめたときにじぶんがだれなのかわからないことがよくある。または、夢の中でまったく異なる人物になりきって、目覚めた後もしばらくひきずっている場合がある。
ややめざめつつそれでも完全にめざめきっておらず、とりとめないことを自由にかんがえられるあの時間帯が好きだ。とっぴょうしもないことを思いつくのはそういうときであり、どんどん考えが広がって30分~1時間たっていることもよくある。
あの感じ、つまり夢から完全に覚めきっていない状態が「ヒプナゴジア」と呼ばれるものなのだそうで、ウィキペディアによると、
ヒプナゴジア状態において問題解決のための洞察が得られることがある。アウグスト・ケクレがストーブの前でうたた寝をしていたときに、分子が蛇になり、自分の尻尾を咥えて輪(ウロボロス)になる幻覚を見たことで、ベンゼンが環状構造であることに気づいたという話はよく知られている。他にも多くの芸術家、作家、科学者、発明家が、ヒプナゴジア状態で創造性が高められると主張している。(ヒプナゴジア)
しかしこういう立派な文章を読んでいると「あの感じ」が消えてしまう(笑)。ついでに「α波、β波」というのも関係あるんじゃないかと思って検索してみたのだが、「脳波の誤解」というページがヒットした。
精神的な負荷がかかった時、α波に変わって「β波が出てきた」ように見えるのは、α波にくらべてその減少の程度がはるかに少ないため残存して、相対的に目立って見えるだけである。
なるほど。。それにしてもこの文章を読んでいるとモロ「β波が出てきた」感じになるのはなぜなのか。たぶん書き手が読み手を科学的にマウントしようと力んでいるからだとおもう。「あの感じ」かんじをたぐり寄せようとしてこの文章を読んだら、がっつり目が覚めてしまった。ただし、専門家の人が書いているみたいなので文句はありません。
ごかいをさけるために、ここでは俗流のα波っぽい夢っぽい感じを「あの感じ」とよび、β波が出てきたっぽい感じを「がっつり娑婆な感じ」と呼ぶ。
ぼくは映画が好きなんだけど、映画の中にも「あの感じ」にさそってくれる映画と「がっつり娑婆な感じ」の映画がある。前々から不思議に思っていたのだがきっぱりと2つにわかれる。ハリウッド映画で「あの感じ」にさそってくれるものはほとんどない。スターウォーズも007も「あの感じ」にならない。
いま思いつく範囲では、フランシス・コッポラの一部の映画やデイヴィッド・リンチの全部の映画だけが「あの感じ」にさそってくれる。悪夢が多いけど(笑)。
ただし「あの感じ」の有・無は、おもしろい/おもしろくないとはまったく別だ。「がっつり娑婆」でむちゃくちゃおもしろいものも多いし、「あの感じ」をさそいすぎて本当に眠らせてくれる作品もある。
テレビはいっさいあの感じに誘ってくれない。5秒あいたら放送事故だの、スポンサーがどうした、プロデューサーがどうしたとみんなが目を血走らせている状態で「あの感じ」などぜったいに出ない。だけどおもしろいことはおもしろいのである。M-1グランプリ決勝なんで出演者が口の中カラカラな感じが「がっつり娑婆」だけど、おもしろいし立派だし文句のつけようがない。
ただし、起きている時間はぼくの人生の半分でしかないので、いくらおもしろくて立派で文句のつけようがなくても、「あの感じ」がないものは、ぼくはダメだ。
逆に言うと、「あの感じ」さえかもし出してくれればたいくつでもいい。それは映画だけではなく人物もそうであり、昨日のnoteではぼくの幼なじみについて書いたのだが、彼が「あの感じ」を持っている。
ぼくの文章はおもしろく書けても「がっつり娑婆」になる。でも、たいくつでもいいからほんとうは「あの感じ」を出したい。それにしても毎日書いていると自分が何を求めて生きているのかだんだんわかってきておもしろいですね。