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心地よいゆるさ
昨日は、ダメダメなのに嫌いになれない「C級ホラー映画」について書いた。いきおい余って「Z級」と書いてしまったがあの映画は「Z級」ではない。「C級」に訂正させていただく。メグ・ライアンの出ている映画が「Z級」ということはないのである。
ところで、たとえC級作品であっても、なんども見たくなる作品もあれば、アカデミー賞作品でも一度見たら十分という作品もある。そのちがいは何なのかということをあれから考えていたんだけど、たぶん「心地よいゆるさ」ではないだろうか。これはクオリティとはべつな要素だと思う。
たとえば、『となりのトトロ』と『火垂るの墓』を考えてみよう。この2作品は、僕の記憶がまちがっていなければ、2本立てで公開された。つまり公開当時は、みなさん2本続けてみたと思う。
しかし、あの後、トトロは何度も見たが、火垂るの墓は二度と見ていない。テレビでやっているところに何度かでくわしたけど5分でチャンネルを変えた。なぜかというと悲惨で見ていられないからだ。
しかし、作品の完成度が低いとはおもわない。すばらしい作品である。だが少女がどんどんとやせ細り、やがて餓死するのがわかっていてだまって見ているのがツラい。
一方、トトロを何度でも観られるのは適度なゆるさがあるからだろう。ゆるいと言っても完成度が低いという意味ではない。ぼくのようなシロートがとやかくいえないような水準の作品なのだろう。しかし、観客にところどころで息抜きさせてくれるので何度でも観られる。
妻が『水曜どうでしょう』のファンで、我が家にはDVDが揃っている。会社でイヤなことがあったときなど、帰宅してからずーっと見ているようだ。あの番組のよさも、適度なゆるさにあると思う。だから「癒し」として機能する。
ぼくが昨日スキだと言ったC級ホラー映画にも、ぜつみょうなゆるさがある。昨日はバカにした書き方をしたけど、あの作品には何度でも観れる絶妙なゆるさがあるのである。
ホラー映画なのだから、ダレてしまったらおしまいだ。ある程度のテンションは必要なんだけど、最初から最後まで張りつめてばかりなら二度と見ようとは思わない。
ダレてはいないけどゆるい。ゆるいけど適度な緊張感がある。この絶妙なブレンド具合のある作品をぼくらは何度でも観たくなるのではないだろうか。
ところで『水曜どうでしょう』はほとんどが旅ロケである。テレ東の「バス旅」や、「充電させてもらえませんか」もガチ系の旅番組だ。
おぜんだてのない旅では、緊張感とゆるさが自然にバランスするので、何度でも観たくなってしまうのではないかなあ。