あまりハードルの高いことを言わないように気をつけよう
ぼくはこないだある人から、酒の席で
と言われて、おもわず
と反射的に言い返してしまったことがある。
日頃からストレートにものをいうタイプではあるんだけど、面と向かってこんな失礼なことを言うほどおろかではないつもりだ。まして相手は10歳近く年上の人なのである。普段ならだまって受け流しただろう。
ただし、その人はあまりに周囲が見えていないことでかねてから定評があった。そのことでさまざまなトラブルを起こしてきた人であり、また、本人の話を聞く限りでは、若い頃からいろんなコミュニティで爪はじきにされてきたらしいし、じっさい、会話のキャッチボールすらうまくできない。
彼の言動にはみながうんざりしており、ぼくも我慢に我慢を重ねていたところだったので、そのタイミングで言われて、思わず本音が出てしまった。加えて酒の勢いもあったとは思う。
ただし、いまにしておもえば反省点もある。会話のキャッチボールの出来ない人だからこそ、あんなぶっきらぼうな物言いになってしまっただけで、もしかするとこちらのことを思って言ってくれたのかなあと思う面もある。
もし彼が
とまあ、こんな風に言われていれば、あんな失礼な返し方はしなかっただろう。ぼくが世間知らずなのはまちがないし、その意味でかれはまちがったことは言っていないのだ。
ただし、
という思いがあまりに強かったのである。このようにいくらまっとうなアドバイスでも、誰が言うかによって相手の反応は変わる。
バフェットと桐谷さん
株の神様と言われ、一代で巨万の富を築いたウォーレン・バフェット氏が最近「日本株に注目している」と発言して話題になっている。
その辺の一般人が同じことを言ったとしても、バカにされて終わっただろう。実際、10年くらい前に、あまり名を知られていないアナリストが
という本を出して、世間の冷笑を受けたことがある。しかし、ウォーレン・バフェットが言ったら別なのだ。なぜなら彼には大きな実績が伴っているからである。
もう1つだけ例を挙げてみたい。
しばらく前にある元プロ野球選手がTwitterで「若手の練習方法に苦言を呈した」ことで炎上した。
この人は元選手ではあったけど、2軍暮らしが長く、1軍ではほとんど成績を残していない。なので世間は
という反応になった。ただし、よくよく彼の主張を聞いてみると間違ったことは行っていない。「いたずらに練習量を増やしても結果にはつながらない。若手はもっと自分の頭で考えて練習しなければいけない」というごくまっとうか意見であり、言っていることは理解できる。大谷選手がおなじことを言ったら、みな感心しただろう。
しかし結果を残していない人が、いきなりこういう発言をするとこうなってしまう。
実績のない人は気をつけよう
ぼくも重々気をつけなければならない。
「株式優待の桐谷さん」は、バフェットのような大儲けはしていないので、大きなことは言わないが、「株式優待で暮らす」という、凡人でもやろうと思えば実践できるようなハードルの低い主張で支持を集めた。
このように無名に人は、なるべくハードルの低いことを言う方がいい。
尾身会長が
と言ったら大騒ぎなるだろうが、無名の主婦がSNSで同じことを言っても誰も相手にしてくれないのだ。でも、部屋の片づけ方のヒントであれば、聞いてくれる人はいるはずだ。
「人の振り見て我が振り直せ」である。ぼくもなるべく「誰が言ったとしても、なるほどな」と思われそうなことをえらんで語っていきたいと思う。