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もしかして足を引っ張っているんじゃないか
あなたには何か応援しているものがあるだろうか。もしあるならば
応援しているつもりで、もしかすると足を引っ張っているんじゃないか
と感じるときはないだろうか。ぼくは最近、そう思うことがある。
たとえばいま日本シリーズ「ヤクルトオリックス戦」をやっているが、かりにどちらかのチームのファンがスタジアムで騒ぎを起こして試合が中断したりすれば、それは応援しているチームの足を引っ張っているのと同じだ。そんなことはないだろうけど。
1.陰謀論の足を引っ張るのは陰謀論者
陰謀論を支持している人を見ていると、これと似たような感じになっていることが多い。たとえば、陰謀論者の中には「ディープステート」または「DS」などと連呼する人がけっこういる。
ディープステートとは、アメリカの影の政府みたいな存在のことで、そんなものがあるのかどうかはだれにもわからない。米ソ冷戦の過程で軍や兵器産業や諜報機関が巨大化したため、その影で影響力を行使している存在が生まれてもおかしくないといううわさがもちあがった。
発展途上国などを見ていると、あきらかにディープステート的なものが存在していると思われる国もあるので、アメリカにもその手のウラの権力構造があってもおかしくはないんだけど、しかしあるともないとも断言できない。
仮説の域を出ないのだから、バランスの取れたものの見方をする人なら、
ディープステートがバイデン政権に影響を与えている
などと手放しで言うことはなくて、おそらくこんな風に言うはずだ。
俗にディープステートと呼ばれているようなものに相当する影の権力構造が存在した場合、そうした存在がバイデン政権に影響を与えていることは十分に考えられる
2.大事なのは思い込みに陥らないこと
そもそも陰謀そのものがあるのかないのかはっきりしないのだから、それを追及するにあたっては、軽はずみな思い込みに陥らないことがいちばん大事なことである。したがって、発信の際には慎重にも慎重を期する必要があり、そのようにわきまえている人なら「ディープステートがバイデン政権に影響を与えている」などと独断的な言い方をするわけがない。
したがって、
ディープステートが・・
DSが・・
など連呼しているのを聞くと、ぼくはその時点で「この人の言うことは信用できない」と判断するようにしている。
かりに権力の影にフィクサー的なモノが存在するとしても、それがどういう形をとっているのかはまるでわからないわけで、安易にディープステートなどと騒ぎ立てれば、かえってファンタジー感が増して現実味が薄れる。
そうやって騒ぐ人たちを、良識のある人たちがどう見るかというと
しょせん周りの見えない連中だ。本気で相手にする必要はない
と思われてしまう。これは、陰謀を真剣に追及しているジャーナリストの足を引っ張っているのと同じことだ。
3.自分が周囲からどう見えているのか
人に何かを伝えたいと本気で思っているなら、「自分が周囲からどう見えているのか」を気にすることがとても大事だ。営業の人が売り込みに行くなら、髪を切り、スーツを着て、靴を磨かねばならず、ぼさぼさ頭でジャージにサンダルでは客はとりあってくれない。
「DS、DS」と連呼するのは、ジャージにサンダルで売り込みに行くようなものであり、そんな簡単なことすらわからない人が手を出している時点で陰謀論は信用を失う。
4.信用力のなさがあらわになる
さて、こうやって人の批判ばかりしているけど、じつはぼく自身、これまでの人生で社会的信用を高めるような活動をやってきていないので、いまさら信用を得ようと思っても無理だ。そういう自分の発信が役に立っていないのではないかと感じることがある。
とはいえ、信用を積まない代わりに、なにもしないで遊んでいたわけではなくて、決意して回り道を歩いてきた。
器量のある人ならどんどん出世していけばいいけど、ぼくという人間には「器量」がない。そのことに30代の後半でようやく気づいた。
能力にも人徳にも欠ける人間がこのままコースに乗ってキャリアを積んでしまえば中身のない薄っぺらな人間になることがわかりきっているので、キャリアを下りてゼロからやっていくことに決めたわけだ。
人より10年、20年遅れてよろよろ歩いている。ただし、なにも持っていない分、王様が裸ならば、裸だと言い切ることになんの恐れもない。
自分で選んだ道なので不服はないけど、とはいえ信用が必要な時に力のなさがあらわになってしまうのはなさけない話ではある。