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大胆なキャリアチェンジが増えてきてうれしい

2008年に石井慧さん(北京五輪柔道金メダル)がとつぜん格闘家に転向した時はうれしかったなあ。こういう大胆なキャリアチェンジがようやく日本でもはじまったかとおもうとうれしくてうれしくて。

それまで柔道家やお相撲さんがプロレスラーに転向するパターンはあったけど、うまくいかなくなった人が都落ちするような目で見られていた。

しかし石井さんはバリバリのメダリストでまだ22歳。次大会でもメダルが有力視されている中での大胆なキャリアチェンジであり、それまでの日本のアスリートならまずやらない選択肢だ。

ぼくはその2年前の2006年にいわゆる大学のせんせーのような仕事を辞めて、コンビニに勤めたり警備員をやったりITエンジニアをやったりしていたけどなかなか苦しんでいた。

あのまま前職にとどまっていれば、仕事も楽だったし、給料も良かったし、退職金も年金もがっちりもらえるし、肩書もあったし、ということで会う人会う人から「もったいないことを・・」と言われたものだった。

そう言ってくる人たちをツマラナイなあと思っていたんだけど、それはみとめてしまうのが怖かったのもある。「バカなことをやった」と自分で認めたくなかったのだ。

うまくいかないで転職を繰り返すというのは昔の日本でもあっただろうけど、うまくいっているときに方向転換するパターンは日本にはあまりなかった。

それを現役のメダリストがやってくれたらから、そうれみろ、これからはこういう時代なんだと勇気づけらる思いでうれしかった。まあ、石井さんもウラではいろいろあったのかもしれず、なぜ辞めたのかはわからないけど。

ぼくの場合は、「これ以上ぬるま湯につかっていると自分がダメになる」という気持ちだけの転身だ。

くわえて、留学中にアメリカ人に感化されたのもある。向こうでは1年目が英文科で2年目に法学部にうつるというようなことがフツーにおこなわれており、ずいぶんおどろいた。びくびくしながら生きるのがデフォルトのこの国では考えられない自由さだった。

さいきんは、楽天の石井一久監督も、現役引退ー>吉本興業社員ー>楽天GM->楽天監督という異例のキャリアパスを描いているが、いまでは、おどろきはするけどそれもありかなという受け取られ方をするようになった。大胆なキャリアチェンジが社会に浸透してきたようでうれしい。

ソフトバンクの工藤前監督もこれから大学院に通ってスポーツを勉強するそうだ。現役時代からコンディショニングにこだわる人だったけど、ホークスはけが人が多かったからいろいろ思うところがあったのだろう。これから大学院で学びなおして、その後幅広い活躍をしてくれそうでたのしみだ。そしてビッグボスについてはいまさらぼくが言うことはない。

ところで、キャリアチェンジが増えてきたといってもけっしてラクになったわけじゃない。

先人のたどったコースをなぞって生きるのに比べれば、キャリアチェンジはいつだってタイヘンだ。石井慧さんも総合格闘技でうまくいっているとはいえない。でも、柔道連盟に残って大学のせんせいになったりするよりは燃えてるんじゃないかな。燃えられれば後悔しないという人が選べばいい道だ。苦しいからラクなほうへ行くという動機ではどうにもならないだろう。

ぼくはむちゃくちゃラクな仕事から底辺と呼ばれるところへむかっていったので、ラクとは程遠かった。しかし、ほんとうの心の成長が始まったのはそこからだったと断言できるし、そういう選択をした自分を誇りにおもえる。自分を誇りに思える以上にいい人生ってないですよ。

いまでも会社にしがみついている人と話をすることはよくあるけど、なんというかあぜんとするほど話がツマラナイことがおおい。まあ、ああならなくてホントによかった。

ただし繰り返すけど性格で向き不向きがあるす。「老後資金があと○○万円たりない」といってビクビクしている人には向いていない。

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