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小市民と「警察24時民族」について

われわれ、小市民じゃないですか?

などとのっけからいうと「お前といっしょにするな」と言われそうだけど、ぼくはれっきとした小市民である。どれくらいの小市民かというと

・クレジットカードは1回払いのみ
・支払いが滞ったことは1度もない
・スマホは格安SIMカード
・運転免許はずーっとゴールド
・選挙にはかならずいく
・本を買うならブックオフ
・外食するならサイゼリア
・服はユニクロ

などなど。すこしは豪快なことも書いてみたいが、ないものはない。

日々、理にかなったことをおとなしくやっている。よくいえばかしこいわけだが、かしこいということは小さくまとまっているということでもある。

それで悪いことはないんだけど、なんでもかんでも理にかなっているというのは、せこくてつまらないと思えてくることがあるのだ。だから「警察24時」みたいな番組に惹かれるのかもしれない。

あの手の番組にはバカばかりがでてくる。ちなみにこれは有名なあおり運転の動画である。

この動画をアップしているYouTuberのかたは、あおり運転撲滅を目指して真面目にやっているらしい。それはそれですばらしいし、理にかなっている。つまり、ぼくとおなじ小市民である。

そして、コメント欄にも、怒りのコメントが3000件くらい寄せられている。

「モザイク無しで全国に運転手の顔を表示すべき。」

「こんな人間にならないためにも、
こんな人間を育てないために、しっかり生きていこうと思います。」

「警察よ早く捕まえてこいつを公表してくれ! 腹が立ってしょうがない!!」

「一刻も早く逮捕してほしい。そして、必ず刑務所にぶち込んでください」

その気持ちもわかる。みな、ぼくと同じくものわかりのいい小市民だ。そして、小市民のルールを破ったバカに対して怒っているわけである。子羊のような小市民は、こういうときに怒るのだ。

しかし、このあおり運転をやっているバカには通じない。いくら怒ってもダメだ。かれらは小市民ではなく「警察24時民族」とでも呼ぶべきゴミだからである。

そして、ぼくはこのゴミに対して怒りというより先に

バカっぽくておもしろい

と思ってしまう。
ちなみに以下の記事も「警察24時」的な記事だ。

世の中にいかにバカが多いかがよくわかる。

コールセンターにかかってくる電話の半分は、「今月の料金を払えねえから支払い日を延ばせ」という依頼の問い合わせなのだそうだ。

利用停止日が近づいてくると、

「電話が使えないんだけど! どうなってんのよ!」
「なんで使えねえんだ? 何? 払ってからだ? いいからさっさと使えるようにしろ!」
「名前覚えたからな。夜道、気をつけたほうがいいぞ」
「バカ野郎! 死ね!」

こういうのが増えるのだという。

しかし、著者も言っているように、

一度頑張って期限内に払えば、支払いのサイクルが正常な形に戻る。そのサイクルを崩さないようにすれば利用停止にはならず、毎月怒って電話をかけてくるようなことにはならない。

たしかにそのとおりなのだが、これは小市民の理屈であり、「警察24時民族」には通じない。「警察24時民族」は、

「来月とまったら、また電話するわ」

止められることを前提で考えているところがすごいのだ。

そもそも、携帯キャリアの料金は高い。格安SIMに切り替えれば止められずにすむわけだが、そういう小市民的なことはせず、高い料金を払いつつ、電話が止まるたびにコールセンターにどなりちらしてくるのが「警察24時民族」のおもしろさである。

「警察24時民族」は、地球温暖化のことなど心配していないし、ウクライナ報道も気にかけないし、骨髄バンクにも登録しない。円安も、ネオコンも、グローバリストも関係ないし、「やったことは自分に返ってくる」などとも思わない。

なるべく頭を使わず、脊髄反射で動き回り、ふゆかいなことがあったら凄み、どう喝を繰り返す。

ところで、ぼくは超常現象が好きだが、それは自分のせまい世界観の範囲を超えた現象に惹かれるからである。そして、「考えられないほどのバカ」というのも一種の超常現象だといえる。それくらいバカになれればきっと世界の見え方も変わるのだろう。

腹が立つより先に、小市民にはない自由を感じる。この爽快感って伝わりますかね。

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