趣味が仕事になるのはこういう人
「趣味が高じて仕事になる」という言い方があるが、じつはもう何か月もこのことについて考えていた。
きっかけは、クリエイターの高城剛さんの有料メルマガを読んでいたときのことだ。毎号、読者のQ&Aコーナーがあるんだけど、そこに登場する読者の中に「趣味を仕事にしている」タイプの人が多いのだ。
そういう質問者に答える高城さん自身も
などと言っている。じっさい、かれはいろんな趣味がつぎつぎに仕事になっているタイプの人である。そしてじつはぼくも、わりに
タイプである。一方で、世の中には趣味を仕事にしていない人も結構多い。つまり、世の中には
と
の2種類が存在するわけで、これはなぜなのだろう?なぜ皆、趣味を仕事にしないのだろう?というのが不思議で、ここ数か月考えまくっていた。
たとえばプロミュージシャンという人々がいるが、彼らはまちがいなく趣味を仕事にしている人々だ。音楽の嫌いな人がプロのミュージシャンになるわけがない。
などという人はいない。プロ棋士だって、そもそもは遊びで将棋を指していたはずだし、プロ野球選手も、最初は遊びで野球をやっていたはずである。
趣味で野球をしている人が全員プロになれるわけではないけど、球団職員になるとか、スポーツ記者になるとか、ミズノに就職するとか、スキを仕事にする方法はいろいろあるし、こういうのは全部「趣味が高じて仕事になっている」タイプのことだと思うわけである。
その気さえあればだれでもこういう道に進めるはずなのだが、現実には趣味が高じて仕事になっている人とそうでない人がいる。なぜだろう。
趣味は仕事になってしまうものだ
ちなみに僕はもともとは「文学研究」を仕事にしていたんだけど、これは小説を読むのが好きだったからである。
英語を仕事にしていた時期も長いが、これはハリウッド映画が好きだったからだ。その後、ITエンジニアに転職したのも、中学時代からパソコンをいじるのが好きだったのが大きい。
ちなみに、いまは金融関係で稼いでいるのだが、これも趣味が高じた結果である。そもそもは、世界の未来を憂い、金融危機を心配していた。心配が高じて「もうちょっと世界金融の仕組みを知らねばならない」と思いたって趣味で外貨をいじっているうちに、食えるようになってしまった。
とはいえ、まだ初級者レベル。知らないことがたくさんあるので、日々発見の連続でおもしろい。
それよりなによりワールドクラスの戦いに、コバンザメのように参入できるのがおもしろい。世界金融は生き残りがし烈で、結果がシビアに出るえぐい世界だ。知恵と情報だけが頼りであり、エモさなどなんの役にも立たない。冷静に流れを読み、リスクとリターンを計算する。そうやって生き残っているだけで充実感があり、おもしろくて仕方がない。
趣味を仕事にしている人は凝り性である
しかし世の中は、趣味と関係ないものを仕事にしている人が多いのも事実で、両者を分けているものはなんなんだろう?と思っていたときにこの記事に出会った
中田氏がサッカーを仕事にしていたのは有名だが、そのころから、
みたいなことを言っていた人なので、この人も趣味が高じて仕事になるタイプの人なのだろう。
そして、現在は、日本の伝統工芸を趣味にしているうちに、仕事になってしまったらしいのである。経緯はこういうことらしい。
読んでいてははーんと思った。「高じる」とは「程度が甚だしくなる」ということだそうだが、趣味の程度がはなはだしくなると、仕事になるのだ。つまり、趣味が仕事になるタイプの人は
なのである。「過度ののめりこみ」こそが、趣味を仕事にしてしまう魔法の力だといえる。
ただし、のめりこんだものが、すべて仕事になるとは限らない。ぼくはこのnoteをすでに1000回以上書いてきたので、ある意味のめりこんでいるといえるけど、仕事にしているわけではない。
貯まった投げ銭で「高等地図帳」を買ったりはしたけど、仕事にしているとはいえない。しかし、なにをやるにせよ、仕事やら遊びやら分けずに過度にのめりこんでいるのは事実で、その中の何かがタイミングが合ったときに仕事になる。
中田さんも一時期は「旅人」みたいな人だったが、旅行そのものは仕事になっていない。しかし、日本酒の蔵元をたずねる旅にのめりこんでいるうちに仕事になった。
のめりこむために必要なこと
過度にのめりこむために大事なのは最初から採算を考えないことだ。
そもそも採算など考えていたらこんなところに毎日何千字も書いていられないのだが、そんなことは忘れてカーっとのめりこむのである。
仕事と趣味を分けている人はカーっとならないのだから、たぶん常識人なのだろう。「趣味が仕事になるわけない」というふうに頭から思い込んでいるので、趣味が仕事にならないのではないか。
イヤな仕事をイヤイヤやるくらいなら、好きなものにのめりこんで仕事にしてしまったほうがいいと思うんだけど。