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なぜ分断するのだろう
みんなが納得できる判定
プロ野球では、リクエスト制度というものができてから、誤審が減り
みんなが納得できる判定
が増えた。
判定に不服がある場合にリクエストすると、複数の角度から撮影されたビデオ映像をスローモーションで確認して、判定をやり直す。
この映像はバックスクリーンでも再生されるので、観客は、セーフかアウトかを自分の目で確認できる。
多くのばあい、映像にはわずかな差も記録されているので、だれが見てもおよそ同じ判定になる。だから、審判が判定をやり直す前にほとんどの観客が納得している。
昔のように、あとあとまで遺恨が残って、
あれは完全にセーフだった!
いいや、アウトにきまっている!
などと水掛け論をやらなくて済む。つまり、情報が増えたおかげで、分断が解消されたわけだ。
ネットも本来はこうなるはず
ネットもこうなるはずなのだ。
ネットやスマートフォンが普及したことで、昔に比べて情報量は格段に増えたが、そのかわりガセネタも増えている。そのせいで、社会は分断していると言われる。
しかし、本来ならプロ野球と同じく、情報が増えれば分断は解消されないとおかしい。
かりに30年前の情報量を1として、今の情報量を100としてみよう。100のうち95がガセネタだったとしても、真実が5は混じっているのだから、それをきちんと拾い出すことさえできれば、良くも悪くも「1」しかなかった時代よりも5倍真相に近づける。
わかりやすい例を挙げるならJFKの暗殺で、あれは偶然撮影された8mmフィルムしか残っていないが、いまなら無数の観客がスマートフォンで撮影してネットにアップしているだろう。
それらを総合的に判断すれば、だいたいみんなが納得できる真相にたどり着けるはずだ。
なぜ分断するのだろう
社会の問題も、いろんな角度からの情報を総合的に分析すれば、誰もが納得できる答えにたどり着けるのはプロ野球と変わらないはずで、たとえば「ワクチン推進派/否定派」などという分断が起こるはずがない。
ワクチンに重症化を防ぐ効果があるのはどうやらまちがいない。しかし世界のさまざまな声を総合的に解釈するなら、深刻な副反応リスクも日本で考えられていたよりも1ケタ多いらしいというあたりが、妥当なとらえ方だろう。
この意見に反対する人は、なんかのバイアスがかかっているとしか思えない。
真相は真ん中あたりにあることが多い
真相というのは、真ん中あたりに浮かび上がってくることが多い。
現在行われている戦争もそうで、現場にいた人たちがスマートフォンで撮影した映像などが無数に上がっているので、それらを総合的に判断すれば真相はおおよそこうなのだろうな、というのは想像できるし、多くの場合は真ん中あたりにおちつく。
死傷者数なども、ウクライナ側の発表とロシア側の発表には隔たりがあるが、両方を足して2で割ったあたりがおおよその真相だろうと思っておくのが妥当な受け取り方だ。
みんながそうやっていれば分断などは起こるはずがないんだけど、なぜか分断するのである。たぶん、信じたいものを信じているのだろう。
信じたい気持ちを否定する気はないので、信じたい人は信じればいいが、信じたい気持ちよりも真相を知りたい気持ちの方が強い人は、冷静にいろいろ見ていけば自分で確認できる時代になった。いい時代になったものだとおもう。