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テレビを手放して3年で感じた変化

我が家にはテレビが無い。
手放してから約3年になる。

テレビに全く関係のない生活をしていると、最近のテレビ界隈の騒がしさがまるで対岸の火事のようである。正確に言うと、同じ世界で起きていることだけれど、自分に全く関係のない次元で何かザワザワしている感じ。テレビを見ない生活をしていると、テレビというエンタメに対して徐々に悟りを開けるのかもしれない。

一緒に住んでいる母は既に悟りを開いているようだ。ネットニュースでゴシップ情報を知り、ハラスメントをしたと言われる側の名前を挙げて

「母さんが⚪︎⚪︎(人物名)のところ行ってやろうか。で、⚪︎⚪︎のち×こ引っこ抜いて、『お前はもうこれを使うな、ポイッ!』ってしよか。」

と言っている。
さすが後期高齢者、どえらい悟り様だ。

そんな母も、テレビを捨てることを最初はとても嫌がっていた。だが、今はテレビが無くても全然困らないと言っている。たまに旅行先でテレビに遭遇しても「もう見るものがない」と言って電源を切っている。

今回は我が家でどうやってテレビを手放していったかや、それによって生活がどう変わったかを振り返っていきたい。

先に結論を言うと、踏ん切りが付くまでは大変だけど、手放した後はいいことしかない。

手放す決断をするまで

手放したのは2022年頃だが、私自身は実はもっと前からテレビを手放したいとずっと思っていた。

「笑っていいとも!」が2014年に終了し、「とんねるずのみなさんのおかげでした」が終わったのが2018年。この頃から自分の心はテレビから少しずつ離れていっていた。その人が画面に映っているだけで「何かやってくれるだろう」とワクワクしながら見れるスーパースターが見られなくなり、「テレビ持ってても仕方ないだろ」と思うようになった。

しかし、それからテレビ本体を手放すまでさらに3年ほどかかった。というのも、同居している母親の生活にはテレビはなくてはならなかったものだったからである。
何度か「捨てようよ」と言っても毎回「無いと困る」という返事が返ってくるので捨てれないな、と思っていた。私が仕事に出ている間オカンがずっとワイドショーが垂れ流すゴミみたいな情報に取り込まれるのはちょっと嫌だったのだが、テレビ歴が私よりずっと長い母の習慣はそうそう変わるものではない。

しかし転機が訪れた。
コロナ直後のなんやかんやで私の仕事が一時、不安定になった。こうなってくると固定費を削減してやりくりするしかない。そうして出費を洗い出していた時に一番に目についた数字が、2ヶ月に1度の4,340円の引き落とし。受信料だ。

この頃のAmazon Primeの年間料金は税込4,900円、月額に換算すると400円ちょっと。既に民放はある程度の番組がTverで無料で見れていた。
比べて、受信料は毎月2,170円。自分の生活に必要な度合いと金額が明らかに見合っていなかった。
これは解約したい。だが解約したとして困ることはないか?見れなくなると困るものはないか?私は思いを巡らせた。
大河ドラマは好きだったが見なくなってきていた。着物を着慣れていない俳優さんが増えた気がするし、真田広之さんみたいに自分で流鏑馬やる俳優さんもいないし、見ていて気持ちが入っていかない。これは時代劇が無くなってきてるから致し方ない。ニュースはラジオでもYoutubeのライブでも聞けるではないか。質の良いドキュメンタリーは代わりに本を読もう。
そうだ、Eテレはどうだ?教育テレビは好きだったけど、それはもう遥か昔のこと。もう「ワンツードン」のリズムのおじさんもいないし、「このまち大好き」のチョーさんは今や骸骨の姿で麦わら海賊団に入っている。大好きだった「ふえはうたう」の俊彦お兄さんは今は土井先生として忍たまを育ててるけど、無惨様にもなってるから鬼滅の刃を見よう。
よし、解約して困ることなんかないじゃないか。

かつてテレビが無ければ生きていけなかった母はその頃既にiPadの使い方に慣れ始めていた。私が仕事で不在の間の暇つぶしに渡していたiPad。当時既に70歳を超えていた母だが、いつの間にかキャンディークラッシュだけではなくAmazon PrimeやTverの使い方がわかってきている様子だった。もうそろそろいけるかもしれない。ありがとう、iPad。ありがとう、スティーブ・ジョブズ。

そして私は母に切り出した。
「月2,170円を節約したいからテレビを捨てたい」

そしてあっさり
「ええで」
という返事をもらえたのだった。

どうやって手放したか

テレビを捨てるにあたっては事前にNHKのふれあいセンターに問い合わせをして受信契約解約の手続きを確認した。テレビを廃棄する時に必要な書類を取り忘れてしまって放送受信契約の解約ができないとなったら元も子もない。

解約の手続きはきちんとNHKのホームページでも案内がされている。
手順は簡単だった。

  1. テレビを廃棄して家電リサイクル券を入手

  2. NHKに解約の連絡

  3. 送られてきた解約届に記入

  4. リサイクル券のコピーを添付して解約届を返送

という、結構あっさりした手続きだった。
悩むのは数年、手続きは簡単。こうして無事、私はテレビと受信料との縁を切った。

しかし、どこでどう私の住所を手に入れたかわからないのだが、あれから3年、当時住んでいた家から引っ越したにもかかわらず定期的に今でもNHKから私宛に「テレビ持ってたら受信料払ってくださいね」と書いた封書が郵送されて来る。しかし生憎本当にテレビは持っていないしラジオも聞いていないので、毎回「すまないねぇ」「もったいないねぇ」と思いながら捨てている。

テレビを捨てて得られたこと

捨てたいと思って捨てたものの、正直最初は「これまであったものが無い」ことに違和感を感じ、そわそわした。しかし1ヶ月も経たないうちにテレビのない生活に慣れてしまった。そしてすぐにいろんな恩恵が得られた。大きく分けて4つある。

  1. お金の余裕ができた
    やはり受信料を払わなくていいというのは助かった。毎月2,170円というのは結構大きい。2023年10月から1,950 円に下がったというが、それでも大きい。
    仮に、毎月1,950円をNISA枠で積み立てて年利5%で運用できたとして、月毎の複利計算だと総額75,163円になる。うち、運用益は5,663円。この生活を20年続けたとしたら総額804,644円、運用益は336,644円になる計算だ。テレビなしの生活を20年続けたら80万つくれていることになる。うち、約34万は運用で新たに生まれたお金だ。たかが2,000円、されど2,000円。
    それと、きちんと比較したわけではないが、電気代も少し減った。つけっぱなしの家電が1つなくなったのだから、当然と言えば当然か。

  2. 部屋が広くなった
    テレビを捨てて、その後すぐにテレビ台も捨てた。大きな場所を取り、大して注意深く見ていたわけでもないのに電源がつけっぱなしだったものが無くなったことに胸のすく思いがした。

  3. 部屋が静かになり、快適になった
    つけっぱなしの雑音がなくなって静かになった。生活音というものをそのまま聞くようになったのは久しぶりな気がした。そうなると自然んと家族との会話も増える。テレビの音がなくなったら好きなように音楽も聞ける。

  4. 時間ができた
    垂れ流しの画像や音に自分の注意が支配されることもない。今思えばなぜ出勤前に朝の情報番組を見ていたのかわからない。「真相はCMの後!」なんんて煽りでCMの間イライラしながら待つこともない。体感1日1時間くらいは新たに作れた感覚がある。

その後起こった変化

以上がテレビを手放してすぐ得られたものだが、私に起こった変化はこれだけではない。自分の内面に起きてきた変化がある。物理的なメリットも大きかったが、内面的変化のメリットの方が大きい。

知りたいことは自分で調べる。見たいものは自分で決める。何を見て楽しむかを自分で決める。当たり前にできていたつもりが、できていなかったな、と今振り返ってみると思う。
今は見たいエンタメをYoutubeやNetflixで検索する。どんな情報を受け取りたいかを自分で選択している。「この人の演技すごいな」と思える俳優さんがいたらまたその人の出演作を見るし、逆な人がいたらしばらく敬遠することもある。出演者や構成側への信頼感で選択している。

そして、購買行動が大きく変わった。
有料サービスでエンタメを見ていると、商品CMを見る機会が減る。そして、特定の商品やお店、サービスを紹介するようなテレビ番組も見ない。余談だが、こういう、半分CMのような番組は特にコロナの後増えた気がする。
それによって、必要な時にだけ必要なものを買うようになった。家の掃除をするにはこの薬品を買わなくてはならないとか、こういうものを持っていなくてはいけないとか、これくらい食べておかなくてはならないとか、あれは買っておく方がお買い得とか、そういった固定概念や他人と自分を比較する価値観がいつの間にか無くなった。
Tverには広告動画が入るが、最近はなぜか私には全く縁の無い電子タバコのCMばかり流れていて影響がない。

そして今は一周回って直接景色を見てみたいなとか、あの宿に泊まってみたいなとか漫才やコントを舞台で見てみたいなとか、リアルで楽しんでみたいという気持ちが育ってきている。
これまでがバブルで、こういう感覚が健全なのかもしれない。そう思いながら毎日kindleで本を読んでいる。

おまけ

noteで収入得るにはamazonのリンクを貼ると良いと読んだので貼ります。
我が家のテレビ台です。ずっしりとして安定感があり、iPadを置くのにうってつけ。



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shiho
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