男の切ない生態系
皆様は「男」と聞いてどんなイメージを持ちますか?
ある人は「かっこいい」
または「怖い」「強い」
もしかしたら「何考えてるか分からない」
さては「エロいことしか考えてない」っていう方もいるかもしれません。
ですが、そういった想定からはるかにかけ離れた男性がこの日本には
約1500万人
存在してると言われています。
今回は私が読んだ「弱者男性 1500万人時代」という本をもとに
「男」というワードを聞いた時に無意識に考えてしまうイメージを
払拭してもらい、彼らに出来ることはないかを考えていきたいと
思います。
弱者男性とは
本のタイトルにもある「弱者男性」とはどんな男性のことなのでしょうか。言葉の雰囲気から「非モテ」と直訳してしまいそうになりますが、実はこの言葉には定義があります。
日本弱者男性センターによると、弱者男性とは
「性犯罪、DV、いじめや虐待、精神疾患、環境などの要因によって就職が困難かつその事実が社会的に広く認知されていないような男性」
のことです。簡単に言えば次の3つにまとめることができます。
1、自分から望んだわけではない不遇な要因がある
2,社会生活に参加できていない
3,上記2つのことが世の中にあまり知られていない
要するに「自分が作ったわけではない生活上のなやみの種が常にある男性」のことを指してます。これ以降の記事で「弱者男性」という場合はこの3つの要素を持った男性を指してると思ってください。
男は人間的に弱めである
定義を簡単に語ったところでまず語っていきたいのは、男の「もろさ」です。
皆さまは「男の子なんだから泣かないの!」と叱る情景が想像できてしまいませんか?そのようなイメージもあるように、一般に「男」は「何かを守る側の性」という印象が強いです。ですが、実は男性は統計的に見ると「男の子だから泣きたくなる」という事実が少しずつ見えてくるかと思います。
まず注目していただきたいのが平均寿命についてです。日本人の平均寿命は男性が約80歳、女性が86歳と、男性が女性に比べて6歳ほど低いことは有名です。しかしこの数字、既婚者を含めている数字です。
実は未婚男性の場合、平均寿命が約65歳と下がることをご存じでしょうか?そう、男は統計上、長生きしたいなら結婚しなくてはいけないのです!
(*女性は結婚するとストレスのせいか平均寿命が下がる)
つまり、結婚は男にとって得があると言えます。ですが、恋愛至上主義の世の中では、残念ながら全員が結婚できるわけでないです。それどころか男は生まれるときすでに誰かと付き合うことすら難しい理由を抱えやすいのです。
例えば、障害です。発達障がい者の男女比は「ADHDは4:1」「ASDは3:1」です。また知的障害に至っては9割近くが男性という統計もあります。
こういった要因を抱える人は抱えてない人よりも年収が下がりやすいと言えます。現在の結婚市場は年収が高い人ほど結婚しやすい点からも、年収を上げにくい要因を抱えている男性は結婚しにくく、平均寿命も下がりやすいと言えそうです。
男に対する社会の目は厳しい
続いて話したいのは、男の「社会からの目」です。
まず前提として、男性は女性と比べて出来不出来に関する「基準」がはっきりしています。それが「年収」です。もちろんこれだけで人間としての価値が量られるわけではない、と言いたいところですが、、、実際どうでしょうか。マッチングアプリで内面見てもらうには年収が必要ですし、現実でも実際に女性と出会う場所に行く、または会って話すにもお金がかかります。交際すればそれにプラスでかかります。(書いてる自分がケチにみえてきた、、、)
要するに、お金があるほど女性と長い関係を築きやすいのが世の中です。
ですが、そう言うとこんな風に考える人はいませんか?
「年収は努力次第で上げられる」
気持ちは分かるし、直感的にはそう思いたくなります。
ですがこの章で知ってほしいことは
「男は努力で解決できない要因で年収が低い可能性がある」
ということです。
まず、年収が高い人はそのような給料がもらえる会社に入ります。そういった会社に入る方の大半は高学歴です。この高学歴になる人はどんな家庭で育っていると思いますか?
正解は「高学歴の親のいる家庭」です。
高学歴がどこからかは人によりますが、MARCHから上を高学歴と仮定した場合、MARCH合格者は大学受験者の上位15%です。さらに大学に受験してない人まで含めると、高学歴の親の元で生まれることができた人がいかに恵まれているか、想像できるのではないでしょうか。
他にも年収が上がりやすい要因があります。それが「顔の出来がいい」、つまりイケメンです。学校のクラスを思い出してみてほしいです。イケメンは何人いましたか?みんながイケメンでしたか?そうではないはずです。イケメンは異性からの人気が高いだけでなく、同性においても印象がいいのです。面接での通りやすさがそれを物語っていることでしょう。
つまり、年収が高い人は往々にして
「年収が高くなりやすい要素を生まれた段階で持っていることが多い」
のです。
それでもこう考える人はいませんか?
「それをばねにしてきたミリオネアもいる」
これが頭によぎった人はきっと世の男性に対して常に心のどこかで思ってるのでしょう。言い換えれば、「男性は常に他人から努力不足だと思われやすい」ということです。現代ではSNSの発達もあってか、数千万くらいの年収を稼いでる人を見かけることが日常と化しています。そういった方を見てると、「誰でも彼らのように稼げる」と思いたくもなります。実際本当にそれで稼げる人もいるかもしれません。ですがそういう方は稀です。
男は自分に対する目が厳しい
こんなこと言ってる男がいると、「ほかの男性もそうなのではないのか」とか思いたくもなりそうですよね。ですがご安心ください(?)
基本的に男は「自分のせい」と考える傾向にあります。『SPA』のアンケートから弱者男性を分類してるのですが、その記事でなんと75%の男性が「自分を責めている」と発表したのです!
そして前の記事からもわかるように、男の生活は基本「戦い」で、その勝敗決定する要因は「生まれる前に決まってる」ことが多いわけです。ですが、男が今の自分になったのは「自分のせい」と答えてるのです。なんとも悲しい話です。
それに自分に原因がない部分で負けていると公表することそれ自体が「男らし」くないのです。さらに言えば、男は仮に「男らしさ」から降りたとしても、その後の生活を人類史上いまだかつて経験しておらず、その上メリットもないのです(一人負けしてるだけになるため)。つまり、「男は生まれた段階で何事においても勝負するしかない」と言えてしまうのです。
弱者男性の未来を明るくするには
これまでの話をまとめると、
①男は結婚したいが、女には結婚のメリットがあまりない
②結婚するためには「金か顔」が必要
③金も顔も生まれた環境にかなり依存するが、努力不足と揶揄されやすい
④これらの現状を嘆くことに対するメリットが世間にない
男とはなんとかわいそうな生命体でしょう、、、(笑)
特に男性の中でも弱者男性と呼ばれる約1500万人の方々が救われるすべは果たしてあるんでしょうか。
それは私自身も考えていかなくてはいけないところですが、まずはこういったことが社会問題であると認識してほしいなと思うんです。どこか他人事のような意見を持つ方が圧倒的多数であるのは重々承知してますが、ぜひともみんなで「本当に苦しんでいる男を見殺しにしない風潮」を作っていく必要があると思います。
現に女性を助けるNPO団体は4000を超えるそうですが、一方で男を助けるNPO団体は1件です。そう、日本弱者男性センターのみです。こういった手助けすることに性による差がある世の中ではか弱い男は声を出せません。まずは声をあげることでメリットがあるという空気感を作っていくことが大切かなと思います。
そして、か弱い男も「自分の弱み」を認め、救ってほしいと声をあげていくことがまずできると思います。プライドが許さないのかもしれませんが、そのプライドで自分を傷つけていては本末転倒です。まずは味方を作りましょう。
こうしたか弱い男が救いの手を求めることに勇気を出さなくていいような世の中になってほしいなと思って書きました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!