ヘッドの重みを感じるとは?
みなさまこんにちは。
クラブヘッドの重みを感じてスイングするという
アドバイスを聞いたことはありますか?
主に上級者向けのレッスンでよく使われますが
本日はこの少し抽象的な重みについて解説します。
なぜヘッドの重みを活かすことが大切なのか
それは、この重みという概念は運動の本質 であるため
一言では言い表わせられないくらいの
多くの要素が含まれているからなのです。
ゴルフスイングにおける
・スピード
・スイング軌道(オンプレーン)
・芯で当たる原理
・無駄がないスイング
・連動
パターにおける
・距離感
・速いグリーンへの対応
に関係しています。
その一方で
多義的だからこそ不明瞭で捉えにくい性質も
『重み』という概念について
順に説明していきます。
重みと重さの違い
まず、重みについて理解するために
重さ(質量)との違いを明確にしましょう。
重さは客観的に測ることが出来ますが
重みは主観的な感覚であるため、
その度合いは人によって異なり
また同じ人でもその時々で変化します。
脱力していると重みは増し
力が入っていると重みは減ります。
緊張してふわふわしていることを
浮き足立つ
と表現しますが
その反対は
リラックスしていて落ち着いているとなり
体に対する重みの違いを表しています。
軽いものは下から上に浮きたがります
重いものは上から下に落ちたがります
体重は同じでも、体の重みの感覚には違いが生まれるのです。
そして、その感覚の違いは
実際の動きにどのような影響があるのでしょうか?
重みを活かすか逆らうか
端的にまとめると
重みを感じて活かせると
速く正確に動けて、周りから見ると軽快に見える
ということです。
反対に
浮き足だった重みを活かせない状態であると
逆に遅く重そうに見えて上手に動けないということです。
この矛盾したような関係性を
まずは理解する必要があります。
重みがあれば、パワフルで速い
重みがなければ、弱くて遅いのです。
どういうことでしょうか?
例えば
重たい物を2階から落としてエネルギーを発生させることは、
力が無い小さな子供でも可能です。
この時、動かしたい方向と物が動きたい方向
が一致しています。
反対に、重たい物を下に落とす時に、
急に無重力になったら
余計に力を加えて下に動かさなければなりません。
重みを活かせると軽々動いているように見えて
活かせないと、合理的ではなく無駄な動きになるということです。
ゴルフも同様で
地面にあるボールにエネルギーを加えるには
重みを活かせるスイングをして
無駄がなく軽快でスムーズな動きをしたいのです。
もちろんボールの打ち出し角は垂直では無いため
身体の質量とクラブの質量を打ち出したい方向に利用するということです。
スイングプレーンとは
そこで適切なスイング軌道が必要となりますが
理想のスイングプレーンとは
打ち出す方向とボール位置の計算に基づいて
自らがクラブを動かしていきたい方向と
クラブが動きたい方向が一致している状態を言います。
ですから、
非常に重たいクラブで素振りをしたり
片手打ちをすることは
クラブの重さを感じながらスイング出来るため
一時的に正しいスイングプレーンを
体感するための手段として有効です。
重みを使える条件
では、
速く振るために設計された軽いクラブでも
クラブの重さを感じる
にはどのような能力が必要でしょうか?
実は、それは単に
各個人の体のパーツの重みを感じる能力です。
なぜなら、クラブの重みは
その人の手や腕を通して脳で感じ取るので
もしも手や腕に体幹部に無駄な力が入り
各パーツの重心をアバウトに感じているならば
それよりも外部にゴルフクラブの重心も
正確には感じ取れません。計算がズレてしまいます。
つまり脱力して各パーツを
バラバラに保つ能力こそが
クラブの重みを活かすための能力なのです。
脱力すると重みを利用できます
反対に
重みを利用して脱力をすることも可能です
これらは相互に作用します。
ボクシングの重いパンチ軽いパンチ
体重が同じボクサー同士でも
パンチが重いとか軽いと表現されますが
これは重みを活かせているか否かの問題になります。
重いパンチは相手の急所(芯)に
自分のパーツの重心をまとめて衝突させた
結果なのです。
体が固まってその場に留まっていると
標的にヨーイドンで全てのパーツの重みを動員して
ぶつけることが出来ません。
これが脱力していると重みを活かせる一例です。
相互関係のもう一方
重みを活かして脱力する方法は
腕の質量は変わらなくても
重みを感じようとすると
腕が単独で動けない状態になり
他のパーツが腕を動かそうとし始めます。
その結果、より体幹部の脱力が進み
中心部が動くようになります。
もしも
脳が腕だけで動かせると
軽んじていると、その他のパーツの
連動が起きないのです。
体幹部から見れば
腕自体も外部になり
ゴルファーにとっての道具のような存在です。
芯に当たる原理
道具の重みを活かすという作業は、
自らの各パーツの重みを感じる能力を高めることに繋がります。
そしてそれは
各パーツの重心感知能力の向上は
相手の重心を感じる能力も向上させます。
つまりゴルフでは
スイング軌道も改善され
ボールの芯に当てる能力も必然的に高まるのです。
ゴルフが上手なジュニアゴルファーは
体に無駄な力が入らず
自らのパーツの重みを活かせる状態です。
その状況でクラブを振ると自然にクラブの重みを
使えて、癖のないスイングになります。
そこには難しい理論は存在しません。
スイングプレーン、遠心力、など知らなくても
出来てしまうのです。
日常生活で重みが活かされる場面
重みは無意識下に存在する身体意識で
私たちは日常のあらゆる動作に影響しています。
座る、立つという動作だけでも
何十キロという体を上下動させていますし
物を机に置く時にもその物の重さに任せて
置くかどうかで不器用にも器用にもなり得ます。
他にも誰しも使う道具を例に見ていきましょう。
料理編
大根を包丁で切ろうとする時
大根が50の力で仮に切れるとするならば
50以上の力を使って切るという動作は
無駄が存在しています。
この時包丁の重さが10、腕の重さが35だとしたら
プラスα 5の力を加えて包丁を扱いたいのです。 (50-10−35=5)
もし
それ以上の力で無理やり切ろうと試みると
重みを有効活用できず
周りから見ると危なく見えるのです。
歯磨き編
歯ブラシを縦に動かす時
歯ブラシの重さと腕の重さを利用して
下に動かせると効率的になります。
体幹部が固まって、手を動かすのか
手は重みとして使われ
差し引かれた力だけを加えるために
より中心に近い肩甲骨周りも連動して動くことが理想になります。
次回以降
パターの距離感を改善するため方法と
手軽に出来る重心感知能力を高める方法を紹介します。