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母親に祝福されずに

数年前、にゃりぺよはお付き合いしていた男性と結婚しました。
さらに義両親のそばで暮らすことになりました。

にゃりぺよのように人生終わりかけの人間が結婚できるとは思わず、にゃりぺよは幸せに思っていました。
さらに義両親も親切な方々で、にゃりぺよの人生はぐっとよくなったと思ったのです。

そこで結婚前、にゃりぺよは母親に結婚と新居のことを報告しました。
さすがにあの母親でも、にゃりぺよの幸せを祝福してくれるだろうと思っていました。

しかしにゃりぺよが甘かった。
完全に浮かれていたようです。

母親は「そうなんだ!うまくいかないかと思ったのに」と一言。
「そんなこと言う?」とにゃりぺよは唖然として、何も言えませんでした。

それでも続けて祝福の言葉をかけてくれました。
にゃりぺよは母親が身内と言うより、意地悪な女友達みたいだと思いました。

そしていざ結婚すると、母親の第一声は「戸籍が私一人になった」でした。
父と離婚している母親は、私が籍を抜けて一人になったそうです。

「あんたのせいでお母さん一人ぼっちだ、この裏切り者」
母親の言葉にはこれまでで一番の悪意がこもっていました。

しかしにゃりぺよは暗い気持ちになりつつも、泣きませんでした。
にゃりぺよにはこれから本当の家族ができるから、母親の言うことに一喜一憂する必要はないと決めました。

さらに母親はにゃりぺよが義両親のそばで暮らすことについても「娘を奪われた」と言いました。

なんだかもう、不思議と母親の言葉が悲しくはありませんでした。
事実にゃりぺよは、義両親のことを本当の両親だと思うことに決めていました。

義両親は地元から離れて一人で暮らしてきたにゃりぺよを気遣ってくれました。
「私たちのことは本当の親だと思って」と、優しい言葉をかけてくれたのです。

にゃりぺよは育ちの悪い自分が、義両親を本当の両親だと思ってはおこがましいなと思っていました。
まともな両親に育てられた夫を羨む気持ちもなく、ただ自分にすてきな両親ができたことをうれしく思いました。

にゃりぺよは生活の中で困ったことがあれば、義母に相談するようになりました。
義父もいつもにゃりぺよたちを気にかけ、よく助けてくれます。

まともに生きていい権利を得たにゃりぺよは、少しずつ母親から目をそらすようになりました。

「娘を奪われた」と発言した母親に、にゃりぺよは一言も返事をしませんでした。
そのことについて母親からの謝罪は当然ないものの、にゃりぺよはもうどうでもいいと思っています。

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