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ヴィジランテの感想文
前置き
今回は少年ジャンプ+で連載していた漫画『ヴィジランテ』の感想です。
週刊少年ジャンプで連載中の漫画『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフ作品で、ヒロアカ本編に登場するキャラクターも多数登場します。作中において「ヴィジランテ」とは正当な資格を持たずにヒーロー活動を行なう者の事を指し、学校で資格を取得する本編とは対照的でありつつ、どちらも「ヒーロー」の側面を描くというスピンオフならではのアプローチです。
全15巻とスピンオフ作品としては長寿な作品です。それだけ人気があり、面白いという事ですね。時系列としてはヒロアカ本編よりも以前の物語を描いている為、ヒロアカを知らなくても楽しめるヒロアカを知っていればもっと楽しめる作品だと思います。
そんな『ヴィジランテ』の面白いポイントをいくつか紹介していこうと思います。
本題
①ヒロアカと対を成す
「ヴィジランテ」は所謂「非正規ヒーロー」で法的にはヴィラン、つまり犯罪者として扱われます。しかしながらヒーロー制度が確立する前は皆がヴィジランテのような慈善活動から始まっており、ヴィジランテとはヒーローの源流と呼べる存在なのです。
とはいえ社会的にはヴィラン寄りの存在であることは確かなので、作中ではヴィラン寄りの視点で描かれ、ヴィランが仲間になったりならなかったりします。例えるならヒロアカは「スーパーマン」でヴィジランテは「バットマン」のような感じです。事実そこは意識されているようで、主人公のバディとして登場するナックルダスターはバットマンをイメージしてデザインされています。
またヒロアカでは学生としての側面が大きく描かれているのに対し、ヴィジランテでは割と世知辛い経済状況や裏社会など「大人の社会」がデフォルメされて描かれています。ヴィジランテの主人公が大学生なのもあって「モラトリアムからの脱却」というテーマが感じ取れます。
②地域密着型ヒーロー
ヴィジランテは「お呼びとあらば即参上」とはいきません。なぜなら慈善活動なので交通費などは自腹だからです。故に活動範囲は限定的、故にヒーローよりも迅速に行動できるわけです。作中でもヒーローの手が届かないような場所を守る自警団としての役割で描かれています。
ヒロアカでは学生生活や巨悪に立ち向かう大きなテーマが主体として描かれていますが、ヴィジランテではもっと小さな規模での地域生活とそこでの問題に焦点が当てられています。その点からヒロアカ本編では取りこぼしていたヒーローの一面を拾い上げた、本編の補完としての役割も強くあります。
③昔ながらのヒーロー作品
ヴィジランテとして慈善活動を続ける主人公、気付けば周りに仲間が集まっていて行動を共にする。生まれる一体感とちょっとした綻び、そこから次第に問題が大きくなり核心にたどり着く。そんな昔ながらの構成に私はアメコミ味を感じました。おそらく昔見たアメコミに影響され、そのテンプレートをアメコミ味と紐付けているのでしょう。
本作を大まかに捉えるとそこまで突飛なことはしていません。地域に根差し、小さな規模で話がまとめられています。ベーシックともベタとも取れる構成だからこそ分かりやすく受け入れやすい、故にスピンオフでありながらここまでの人気を博したのではないでしょうか。
現代では作品は飽和状態にあり、奇をてらった作品も多くあります。しかしそれは諸刃の剣で、受け入れられる保証は無い。なのでベーシックな構成を基盤とした本作は多くの方にお勧めできる、多くの方が面白く読めるだろうと太鼓判を押したい。
ヒロアカを読んでいる人も読んでいない人も『ヴィジランテ』を未読の方は是非お読みください。
終わりに
ここに書くような内容を上に書いてしまいました。読み返してみれば感想という割にキャラやストーリーにあまり触れていませんが、お勧めしたい作品ほどネタバレは避けたいものなので、そういうことです。
一番好きなキャラは「ホップ☆ステップ」です。本作のヒロインですね、私はこの手の女の子に弱いんです。「ナックルダスター」も好きですね。どのキャラも初めから好きになるというよりだんだんと好きになる感じで、最終的に嫌いなキャラが生まれないのがこの作品の一番良い所ですね。
そんな『ヴィジランテ』の主人公がヒロアカ本編で登場するかもと噂されていますが、どうなんでしょう。個人的には登場してほしいですし、映画から逆輸入されたスターという前例もありますから可能性は高いのではないでしょうか。
本編に登場する前に主人公について知るには『ヴィジランテ』読むしかないですね。
https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049550348