出来ないことをできるように見せるプロジェクト計画は理不尽〜プロジェクトの前提条件・制約条件を明確にする方法〜
お疲れ様です、ゆーろー@常駐しないPMOです。
わたしがプロコンサルとして参加しているiPM naviのコラムをご紹介します。
writing by Osamu Hirayama
*このコラムはiPM naviで配信しています
プロジェクトは、全ての条件が完璧に揃っているということは難しいものです。
出来ないことを、出来るかのように振る舞う計画は理不尽です。
そのため、プロジェクトの目的を達成させるための条件を明確にすることがクライアントファーストになります。
プロジェクト計画では、勇気を持って前提条件と制約条件を明確にしていけるPMこそが、優秀であり、クライアントからの信頼も高いものです。
こんにちは、プロコンサルの平山 理です。
私が参加しているiPMでは、PM初心者のスキルアップやDX時代に適応したいPMのリスキリングのサポートとして、iPM TRAININGを運営しています。
このコースの一つとして、『プロジェクト計画書の作り方』を講座として提供しています。
計画書を作る中で、プロジェクトの前提条件と制約条件を決めていきます。
受講されている人の失敗談を聞くと、前提条件と制約条件の区別が付かないことでプロジェクトが火を吹いた!
そもそも、前提条件や制約条件を決めていく手順が分からない!
このような対応をしているPMの方が多いようです。
前提条件や制約条件は、クライアントの言うとおりにするもの、と諦めているPMの方もいるのでは...
今回のコラムは大手コンサルファームでも使っている、プロジェクトの前提条件と制約条件を決めていく方法をWHY・WHAT・HOWの順番で解説します。
WHAT:プロジェクトの前提条件・制約条件の明確化とは何か?
プロジェクトの前提条件とは、不確実であることを確実とみなしたものということです。
プロジェクト計画は、不確実なものを推論で導き出した出来事や数値を置いて、計画を立てますが、実際と異なる可能性もあります。
これをプロジェクト計画に内在するリスクでなり、前提条件を洗い出せば、プロジェクトのリスクが特定しやすくなります。
プロジェクトの制約条件は、プロジェクトを行う上で守る必要のある全ての事項であり、予算・リリース日・スケジュール等なります。
クライアントの要望をもとに、あなたが担当するプロジェクト、関連するプロジェクト、関連するシステムに対して、ポジティブな条件、ネガティブな条件を決めていきます。
これを前提条件、制約条件を明確にすると言うことです。
WHY:前提条件・制約条件の明確にするのか?
なぜ前提条件・制約条件を明確にする必要があるのか?
プロジェクトを行う上で、全てポジティブな条件が揃うことは難しいものです。
潤沢なリソースが準備される事は期待できません。
*いまだにお目にかかったことはありません...
このような状況の中で、出来ないことを出来るかのように振る舞う計画はクライアントとの関係を悪くします。
そのため、プロジェクトの目的を達成させるための条件を明確にしてクライアントと合意する必要があります
HOW:前提条件・制約条件を考える
プロジェクトの前提条件と制約条件を決めていくには、4つのACTIONを踏んでください。
また、大手コンサルファームならではの考え方としてACTION4では『プロジェクトで重視する要素』を解説します。
ACTION1:関連プロジェクトを洗い出す
関連プロジェクトを洗い出すには、作業範囲記述書、組織体の環境要因をもとに考えていきます。
関連プロジェクトとは、あなたのプロジェクトと連携するプロジェクトやクライアントのビジネスニーズを強く受けているプロジェクトを指します。
関連プロジェクトは、このようなものです。
・あなたのプロジェクトの成功が前提条件となっている他のプロジェクト
・あなたのプロジェクトは、他のプロジェクトが終了しなければ、システムのリリースができない。
・他のプロジェクトが、中止や延期になった場合に、あなたのプロジェクトが中止になる。
・他のプロジェクトで、大きな要求変更があった場合に、あなたのプロジェクトも大きな影響が出る。
これらは、あなたのプロジェクトのリスクと捉えてください。
また、関連プロジェクトは、前提条件と制約条件の洗い出しに関係していきます。
ACTION2:関連システムを洗い出す
関連システムを洗い出すには、作業範囲記述書、組織体の環境要因をもとに考えていきます。
関連システムは、このようなものを指します。
・あなたが担当するプロジェクトで開発されるシステムと、何かしらの関係のある既存のシステム
・関連するプロジェクトで開発されているシステム また、これらをプロジェクトのリスクと捉えてください。
・貴方が担当するプロジェクトのシステムとデータのやりとりを直接行うシステムだけが、関連システムではないこと
・貴方が担当するプロジェクトのシステムが使われた時に、そのデータが使われ処理されるシステム
ACTION3:前提条件と制約条件を見つけ出す
前提条件と制約条件を見つけ出すには、関連プロジェクト、関連システム、作業範囲記述書、組織体の環境要因をもとに考えていきます。
プロジェクトの前提条件は、品質・コスト・スケジュール・スコープ・コミニケーション・体制(組織)を対象にして、不確実であることを確実とみなし成功させるには、どうすれば良いかを考えて下さい。
その時、条件として成り立つものは、全て前提条件となります。
またプロジェクトの制約条件は、クライアントからの要望で守る必要のある全ての事項を見つけ出します。
制約条件の候補になるのは、クライアントからの要望である予算・リリース日・スケジュール等になります。
これらも、スケジュール制約に関わるので覚えておいて下さい。
・法律の施行日
・システムを利用した新しいサービスの提供日
・ソフトウエアやハードウエアのサポート期限
また、コスト制約はこれらが考えられます。
・新システムのリリースで予測される効果金額
・同年度に利用可能なシステム開発、予算残額
これらを参考にして、クライアントへ具体的な制約条件を確認してください。
ACTION4:プロジェクトで重視する要素の決定
プロジェクトで重視する要素を決定するには、前提条件、制約条件をもとに考えていきます。
プロジェクトはクライアントの都合や法律の変更などによって、全ての目標を達成できないこともあります。
その時、品質・コスト・スケジュールのどれかが犠牲になります。
プロジェクトで重視する要素はどれか?が分かっているれば、犠牲にせざる得ない目標を変更してでも重視する要素を死守しなければなりません。
そのため、計画段階ではプロジェクトで重視する要素を決めておく必要があります。
検討したプロジェクトで重視する要素をクライアントに提案し、承認を得るようにしてください。
このような4つのACTIONを踏んでプロジェクトの前提条件と制約条件を決めていって下さい。
【事例:某PJの前提条件と制約条件】
*プロジェクト計画書からの抜粋
まとめ
今回は、プロジェクト計画を立てる中で、プロジェクトの前提条件と制約条件を決めていく手順を解説しました。
前提条件・制約条件は、マネジメントにおいてネガティブに捉えてしまうPMもいます。
しかし、本来はプロジェクトの成功を阻害する原因が、クライアント要件や法整備等に潜んでいたらどうでしょうか?
そうです!
始める前から、破綻したプロジェクトです。
前提条件と制約条件を明確にすることで、クライアントとの関係も良好になりますし、プロジェクトも着実に前に進ませることもできます。
また、ACTION4でプロジェウトで重視する要素について解説しました。
プロジェクトは、クライアントの都合や法律の変更などによって、全ての目標を達成できないこともあります。
このような事態になった時、間違ってはいけないのは誰の責任でもないことです。
ましてや、プロジェクトマネジメントを行っている貴方ではありません。
意地悪なクライアントは、貴方に責任を押し付けようとします。
無駄な人へのプロジェクトへのストレスは計画段階で排除しる必要があります。
それが、プロジェクトで重視する要素を決めておくことになると理解して下さい。
★★★ 45秒で分かるiPM navi ★★
無料メンバーの登録(こちら)
iPM naviの活用方法(こちら)
★★★ ぜひ、お立ち寄りください ★★
最後まで読んでいただき有難う御座いました。