インドに来ると価値観は変わるのか?
「インドに行くと価値観が変わる」、「インドに行くと人生観が変わる」という話はよく聞く。今回は私の経験をもとに、このトピックについて書きたいと思う。
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まず、私の話。私は大学のウルドゥー語・南アジア専攻で、大学1年の時は週に5回ウルドゥー語の授業があり、週に2回南アジアについて学ぶ地域基礎という授業があった。
そして私は1年生の授業を全て受け終わった大学1年生の1月に、大学の「スラムでソーシャルワークを学ぶ」というスタディツアーに参加し、ムンバイに行った。
ムンバイは今いるデリーより貧富の差が激しく、高層ビルの隣にスラムがあるような街だった。しかし大してカルチャーショックを受けなかったし、価値観や人生観も変わらなかった。
というのも、これはおそらく私が日本でインドについて1年間かけて学んでいたからだと思う。1年間かけてインドの社会や言語状況について学び、スラムについても映画や本で勉強していた。日本でインド人の方とも交流があった。だからインドに来て学んでいたものが目の前にある、という感じだった。やっと自分の目で見られたという気持ちの方が大きかった。
このスタディツアーで大きく変わった気持ちといえば、インドの貧困問題は自分ではどうにもできないくらい規模が大きすぎると思ったことだった。スタディツアーで勉強させてもらったNGOやNPOも、その周辺の人を一時的に助けることはできるが、インドの根本的な貧困問題解決には繋がっていなかった。もちろん目の前にいる人を助けることは大事だと思うし、この問題に小さいことから取り掛かっている人はとても素晴らしいと思う。ただ私には途方もなく感じられ、悲しくなってしまうので向いていないんだなと思った。(それもあり、研究テーマは宗教の方面にしようと決めた。)
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この経験を踏まえて、また今インドにいる周りの日本人の意見を踏まえ、私がたどり着いた結論は『自分がインドに抱いているイメージが本当のインドとかけ離れていればいるほど、価値観や人生観が変わる』のではないかというものだ。まあ、当たり前のことだけど(笑)
日本と比べてインドはインフラが整っていないし、貧富の差も驚くほど激しい。雨季の停電はしょちゅうだし、車に乗っているだけで物乞いが寄ってくる。絶対に日本では起こらないようなことがインドでは起こる。呆れはするが、そんなものだろうと思って来れば絶望はしない。
『インドに絶対に行くべきだ』という人もいるが、私はそうも思わない。
たしかに日本と全く違う世界を見ることはできるが、それをすべての人が見るべきだとは思わないし、日本とあまりに異なる環境をただ苦痛に感じるだけの人もいると思うからだ。
まとまりがなくなってしまったが、「インドに行くと価値観が変わる」という話も、日本人によって作られたインドイメージなのだろうなあ、と思った。