本当に大切なことは何か~月という感情の位置づけ
本日は七夕ですね。子どもの時は、父が笹をとってきてくれて、折り紙で色々な飾りを作りました。私は一年で七夕が一番好きです。あい別れてしまったふたりが再会できる日なのですから・・・私の中の分離をどうかひとつに戻せますようにーーと祈ります。
さて、月という天体は非常に難しいです。占星術における月の位置づけは時代と共に変化します。特に、現在は、二千年周期の時代の変わり目(プラトン年・水瓶座時代の入り口)ですから、月だけではなく、他の天体の象意も含め、占星術全体が変化すると考えています。決して教科書通りにはいかないもの、体験と叡智と直観力によって進化していくべきものが、これから先の占星術(アクエリアスの占星術)です。
月の位置づけを考える際、「大きな惑星の動きの中での月の働き」を捉えるのもひとつです。まず、今生きている人のほとんどが、月と親和性の高い海王星と潜在パワー最強の冥王星の影響(60度)を受けています。この海王星・冥王星セクスタイルは1950年~2040年生まれの方はみんな持っています。
60度は多少緩さはあるものの、この影響を受けてない人はいないでしょう。一般的にはスピリチュアルな世代ーーと解釈されます。私の解釈は「物質性優位(男性性優位)な社会の中で、精神性と霊性、女性性と個の輝きを探し続けている世代」ーーです。
海王星の曖昧さ、迷妄感がとても強く働いている時代と言えます。海王星と月が親和性を持つと、感情に飲み込まれやすく、現実逃避の様相を帯びます。一歩間違うと、簡単に狂気の世界に入りこむことができますし、月のネガティブな側面である進化と成長を放棄して、自分の世界に閉じこもる危険性に満ちた時代です。
また、現在、冥王星のノースノードが蟹座に、サウスノードが山羊座にあり、これも私たち人類が共通して持っている大きなテーマです。冥王星のノード軸がホロスコープを一周するのには二万四千年を有し、ひとつのサインに約二千年間、留まります。
ノースノードは進化の方向性を示し、サウスノードは超えていくべき課題です。また、スクエアに位置するサインは「抜け落ちた視点、盲点、死角」を表していると、私は考えます。さらに、木星と土星のノースノードも蟹座にあるため、私たちはこれまで「山羊座の影響下にある蟹座時代」を生きてきたことになります。
つまり、企業の力や権力体制が強大な支配力を持ち、個人を完全に凌駕していた時代です。そのような社会の中にありながら、個としての在り方や生き方、そして、非常にパーソナルな感情というものの在り方と付き合い方を、苦しみの中で試行錯誤しながら、どうにか折り合いをつけ、道筋を見つけ出さねばならない時代であったのです。
また、天王星のノースノードは双子座に、海王星のノースノードは獅子座に位置しています。多次元的で全体性を含んだ言葉や情報、あるいはオクターブ高い知恵や学問が新しい時代を切り開いていくでしょうし、個を肯定し、太陽の輝きで感情世界(自己防衛反応)を超えていくことで、人類に本当の光が差し込むでしょう。
このような全体の働きの中で月を考察すると、従来の月の解釈も間違いではなく、時代とのズレが生じていただけではなかったかと思うのです。月は必要なものですが、月のネガティブな側面があまりにも強くなりすぎて、あるいは感情の比重が重くなりすぎて、月的要素に主導権を与えてしまっていたのです。主導権を太陽に取戻し、月(感情・閉じこもり・自己防衛反応の囚われ)を超えていくことが最も大切なことです。
冥王星は「人類よ、本当の蟹座を目指しなさい」と告げています。一人一人の個性と感情を大切に慈しむこと、思いやりを持つこと、違いを認め合うこと・・・理論や理屈やシステム、合理性や生産性や優劣ではなく、命そのものを愛しなさいというメッセージです。4室に立ち返るということでもあります。
ですから、どなた様も「私の理論が正しい!私が正しい!」とやってしまうと、本末転倒なのです。みんな違っていいのです。自分の考えを理解しない人は意識や知能が低いーーなんて、もしも、思っているならば、それはとんでもないことです。どれが正しいかどちらが上かという意識そのものが「超えていくべき闇(山羊座のネガティブさ・ワナ)」です。理論も重要ですが、もっと大事なことは受容性であり、愛なのではないでしょうか。
愛のない占星術なんていらない、意識の進化を目指さない学問なんていらない・・・私はそう思っています。