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社会的役割としての土星ー社会天体の意味

土星は制限や重圧、課題を与えます。権威や権力を持った目上の存在としての父親でもあります。土星のサインとハウスにおける事柄に対して、私たちは苦手意識を抱き、満身創痍でそこに向き合っていくことで大きな成長を果たしていきます。



人生の前半、土星は苦しみを与えますが、そこから逃げずに向き合っていくと、やがて土星の示す事柄のプロフェッショナルになれます。これが土星の本当の目的です。人一倍、苦しんで悩んで、それぞれの土星の課題に向き合っていくことで、やがてその分野のプロとなり、そこで得た能力や才能を社会に還元していくーーそれが最終的に土星が求めていることです。



たとえば、土星魚座の方は何かを許すというテーマがあるでしょう。許しがたいことを受け入れていく先に、許すこと・受け入れることのプロになっているはずです。土星蟹座であれば、どこにも属せない孤独感や感情的な苦しみを体験することが多いです。仲間や帰属する集団、あるいは温かい居場所に恵まれなかったとしても、「ああ、地球が私の家だったんだ、このままで私は愛されていたんだ」と、やがてそこにある愛に気づいて、感情のマスターになっていくはずです。



土星が山羊座にあれば、経済的な苦しみや社会の中で逞しく生きていくことといったテーマを抱えることがあるかもしれません。必要性があって社会の中で十分な収入を得たり、家族の面倒を見なければならない状況を体験するかもしれません。やがては結果を出すことや社会の中で信頼を勝ち取ることのプロになれるでしょう。



そのように、苦しみから逃げずに向き合っていくことでその道のマスターになれる。その過程を知っているからこそ、同じ課題で苦しむ人にどうすればいいかを教えてあげられる、希望を与えることができる。そのようなプロセスを土星は持っているわけです。



月から火星までの個人天体は自分のために使うことができます。(使いまくりましょう!)太陽だって自我の範疇です。でも、社会天体である木星と土星は自分のために使おうとしても、ほとんどうまくはいきません。なぜなら、社会に還元することがその目的であるからです。



私自身、木星のトランジットを利用して、実験してみたりwしました。木星は自我の満足のために使おうとしても大した利益は与えてくれません。ラッキーな出来事が続き、進むべき道を後押ししてくれるとか、小さなプレゼントをくれるとか、そんなご褒美はくれることがあるでしょう。でも、自分のためだけに使うならば、ただそれだけの話です。



木星も土星も、自分自身の魂が目指す方向性と目的に沿って生きようとし始めた時に、本当の恩恵を与えてくれる天体です。特に、40歳以降は社会への還元・全体へのご恩返しを要求される年齢です。若い段代では周囲の人たちのお世話になって生きているはずです。でも、いつまでもそこで立ち止まるのではなく、いつかは恩返しをする立場になるべく成長していくことの重要性を占星術は教えています。



土星はどうせ苦しいのです。逃げられないのです。ならば、その苦しみを受け入れ突き抜けて、社会に還元していく方が圧倒的な喜びが生まれてきます。その時、土星は喜び、ギフトを与えてくれます。よく頑張ったね、よくここまで来れたね・・・そうやって鬼の目にも涙が光るのです。私たちが土星で苦しんできた過程を土星は誰よりもよく知っています。



よし!じゃあこれからは、同じ苦しみを持つ人のため、社会全体のために、今度はその能力を使っていきなさいーーそう言って、背中を押してくれるのです。繰り返しますが、木星も土星も自分のために使うべく存在している天体ではありません。土星はそれどころか、借財があれば与えた後にその分をきっちりと奪っていくでしょう。



それよりも、小さな自我を手放して、自分自身の能力と個性を全体のために生かそうとする時にこそ、最大のギフトを与えてくれる「社会天体」が木星と土星です。太陽の特性だけではなく、木星と土星が示す役割と使命を果たしていく。自分も他者も社会もひっくるめた全体を持ち上げるのが木星と土星です。そうすることで私たちが受け取る喜びと恩恵、自己価値と循環は大きく広がります。



個人的な体感ですが、木星と土星はツインであり、深く関連していると感じています。土星の課題に向き合うほどに木星が使えるようになります。反対に、木星が使えるようになれば土星の課題にも向き合っているはずです。土星は制限や苦しみを与えますが、もっとも安定した能力、中身のしっかりした本物の能力を与えてくれる天体でもあると思っています。

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