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乙女座の月ー穢れを祓う処女性
乙女座は綺麗好きーーこれは確かにそうなのです。ただ、それはサインの特性を考えた時に導き出される性質です。でも、太陽や月が乙女座の人が非常に綺麗好きであるかというと、実際はそうでもありません。とても綺麗好きな人もいますが、むしろ、そうではないケースも多いと思います。太陽乙女座の方の家が整然と片付いているかというと。。。まぁそうでもないですw月が乙女座の人も同じことが言えます。
長い間、私も不思議に感じていたのですが、乙女座というサインをよく考えていくと、これは全く不思議なことではありません。乙女座の本質は整理整頓ではなく、その処女性にあります。乙女座は地のサインの二番目に位置しますので、物質を維持管理する能力を意味しており、そして、主語は「私とあなた」です。さらに柔軟サインにあたります。
洋服をむき出しのままハンガーにかけていると劣化が早いですが、洋服を箱にしまっておくと、長期にわたり綺麗なままで保存がなされます。外界からの抵抗や異物に対して保護する作用を与えることで、物の劣化が非常に遅くなる。この<保護するもの>に当たるのが乙女座の本質です。それは細胞膜であり箱であり、手当てであり配慮です。そこに整理整頓も含まれるわけですね。
あらゆるものを生まれた状態のまま(傷や汚れがつかないように)長く保存するための働きです。それは「守る・ケアする・細やかに意識を向ける」ことでもあります。汚れと穢れから保護し、全てのものをできるだけ純粋な処女性を維持したまま、美しく保ちたい。(それはまるでハタキがけやご神事のようです)
そのまなざしは主に対人(あるいは対物)に向けて発揮され、また柔軟性を持つため、乙女座は意外にも臨機応変さがあり、その性質の現れ方が異なります。物というよりも、まずは対人に向けて処女性が発揮されるのが月乙女座です。月乙女座の人が最も求めているものは「誠実な愛情」ではないでしょうか。この人は絶対に自分を裏切らないという揺るぎない確信。確かな関係性と永遠性です。内なる世界を安定させるために、月乙女座の人はおそらくそれが欲しいのだと思います。
月乙女座の女性も愛情の一途さを持っていますし、男性であれば、パートナーの裏切りは許せないと思います。女性が別の男性と関係を持ったならば、自分の愛情はもちろんのこと、絆自体が穢されたと感じるからではないでしょうか。心の中で誰よりも強く純粋なものを求めているからこそ、それを汚されることは耐えられないことでしょう。
月乙女座の人は月を暴走させないために、その内なる極端さを心に留めておくと楽になれると思います。何事においても完璧な状態を求めすぎないこと。結果ではなく、一つ一つを大切にしていくこと。完璧でなくてもいい。完璧ではないことの中にある完璧さを見出す。汚れや劣化や混沌の中にある美しさを見出す。
乙女座の処女性を求める想いは、簡単に触れられないほど神聖でピュアです。だからこそ、乙女座はあんなにも奉仕的で実直で誠実なのだと思います。乙女座の神話の主人公は、最後まで人類を見捨てなかった女神アストレイアとも、豊穣の女神デーメテールとも言われます。共通しているのは誠実さと慈愛です。重箱の隅を突くような批判精神や神経質さというイメージは決して乙女座の本質ではありませんね。