天職とは何かー真子様と佳子様の出生図
私はこの人生で何を成し遂げたいのか、私とは何か、私の天職を見つけたいーーそのように希望される方が増えています。トランジットの影響(時代の流れ)を考えると、そこに意識が向かうのはごもっともであり、大きな時代の変化の中で何かを感じ取っておられるのだと思います。これからは魂の願いに沿って個性を発揮していく時代。そうできる環境が整っていく時代です。
占星術において適職や才能を判断するポイントは複数あります。というよりも、ホロスコープに描かれていることの全てが才能や魅力、またはダイヤの原石であると言えます。しかし、ホロスコープから「あなたの天職はこれです」と断定することはできないし、それはナンセンスです。だって、太陽や月の使い方、天体という意識の使い方や表現の発露スタイルは人の数だけ存在しているのですから。
でも、どんなことをすれば深い喜びを感じるか、何を通じて生命力が湧き上がるか、何を大切にして生きていきたいのか、どんなことを世界に表現したいのか、どんなことを通じて自分らしさを発揮していきたいのかーーそういった大きな方向性はわかります。
なぜなら、出生図は「こうありたい」というその方の願いそのものでもあるからです。たとえば太陽が3ハウスにあれば「文章を書いたり、何かを教えたり、人と自由にコミュニケーションを図り心を交流させること、知的な分野で能力を発揮すること」で喜びを感じ、生命力が湧き上がるということがわかります。その方の太陽(理想的自己の姿)は3ハウスという現場で輝きたい、その分野で働きたいと切望しているからです。
たとえば月が12ハウスにあれば「感情をオープンにするのではなく、秘められた内的世界や一人の時間を大事にしたい人」であることがわかります。この方の月は12ハウスという現場を通じてこそ満たされるということ。月がデリケートに満たされてこそ、メンタルが安定する人であるということがわかります。(ハウスは現場であり、サインは好みのスタイルや後ろに流れているBGMのようなものですね。)
たとえば、水星は能力です。蟹座水星であれば何かを慈しみ育てる能力や衣食住に関連した能力がある。射手座水星であれば、何かの分野を深く掘り下げる理解力や全体を把握した上での構成力があるーーと言えます。だからって、無条件にそれが具体的な才能として開花したり、仕事になるとは言えません。そこはまた別のお話です。
なぜなら、水星は訓練しないことには決して磨かれないからです。繰り返しの訓練こそが才能やスキルとなっていきます。太陽だって同じです。勝手に発揮されていく、なんてことはありません。実際に「それをやる、原石を磨く」のは自由意志ですから、星を見て「あなたの天職は〇〇です」と決め付けることなんて不可能です。
ただ、結果的に、私たちは<出生図に書かれた「願い」の通りに星を使っている>わけなんです。または<使いたいのにうまく使えなくて苦しんでいる>ため、クライアント様のお話を聞いていく中で、<どのように星を使っておられるのか、どこでブロックや混乱が生じているのか>が見えてきます。そして<魂の計画書とクライアント様の現在地点が一致する明確なライン>が浮き上がってくる。
そこからクライアント様の知りたい情報が抽出して読み取れるーーこれがホロスコープセッションが成り立つ理由であり、占星術が意識の学問として成立している仕組みであると思います。ホロスコープに描かれているのは無限の可能性であり、種でありダイヤモンドの原石です。それを踏まえた上でのお話をさせてくださいね。
私の未熟な体験からわかったことに過ぎませんが、アセンダントやMC付近にある天体がその方の「職業や天職」と関わるケースが非常に多いということです。アングルにある天体は全て強く発露していきますが、その中でも職業や天職として発露していくことが多いのが、アセンダントとMC付近にある天体です。アングル(特にアセンダントとMC)にある天体は外に向けて明確に表現していきたい、イキイキと発揮していきたいという強い願いを内在的に抱えているため、結果的にそうなっていく。
ちょっとわかりにくいので、有名人のホロスコープをお借りします。秋篠宮家のご姉妹の出生図で比較してみます。まずは姉の真子様。MCに月が乗っています。月を公に向けて発揮したいということですので、その通りの生き方になっていると思います。月を世間に広く認知してもらうとはこの場合、公人であることを捨てて、私人(一般人)になるという宣言でもあるでしょう。市井の人として自分の人生を楽しみたいという選択をされたのも、ご自身の願いに忠実に生きた結果であると感じられます。
月はプライベートであり感情世界です。月が職業として発揮されると衣食住に関わることや保育、母性を発揮して人をケアすること、心理的・精神的サポートやカウンセリング、あるいは詩的な才能を活かした作家やクリエイターなどの可能性があります。真子様のように月が公に向けて表現されるような位置にあれば、<誰だって自分の個性や内的世界を大切に守っていいのだという強い気持ちがあったり、それを奪われている方の力になりたいという願い(祈り)を持っている>かもしれません。
または情緒的な美しい世界や芸術性を愛する気持ちが強いかもしれません。その大事にしたい思いを世界に向けて発露させていくことが天職へ繋がる道でもあるのです。天職は職業ではなくて、私たちが大事にしている価値観や信念であり、それを世界に向けて表現したい強い想いそのものを指します。そこから生じる表現や役割を追求していく中で、結果的に天職に繋がっていくと言えます。
また、太陽と火星(男性性の強い星)がIC付近にありますので、社会的成功や社会的役割を得たいという外側へ向かう目的意識は「家庭やプライベート空間を重視した方向性で発揮されたい」と願うでしょう。まずは結婚生活や内的世界を大切にしたい方。それが後々、別の方向性で社会的役割となって開花していくことは大いに考えられますので、月的な職業として天職が開花していくかもしれませんね。
佳子様の場合は、MCに木星が乗っていて、その近くに冥王星があります。MCに木星があると、社会的に広く影響を与えるような役割、人々に公平な利益を与えるような役割を背負い、そこで能力を発揮していくことになることも多いです。法律や外交、文化教養、哲学や学術的分野。育ちがよくオープンな姿勢で親しみやすい大らかさが魅力となる場合も。
さらに冥王星があるとその規模がかなり甚大になるでしょう。木星は家柄でもありますので、皇族として生まれその運命を背負って、社会的な役割を全うしていく。まさに精力的にご公務に勤しまれ、海外にも行かれている現在の状況そのものを示唆しているようです。
外から見える可愛らしい雰囲気の奥には、「お姉さまに代わって、私が公的役割を果たしていく」という責任感や強い信念がおありになるのかもしれませんね。近くに月と金星もあるので、女性性を大切にしたいというお気持ちが加わり、さらなる独自の役割を得ていかれるかもしれません。
家族や兄弟姉妹、またはご縁の深い方同士の出生図はこのように「補い合う性質・補完し合う配置」がよく見られます。私たちが本当の願いに忠実に生きる選択をすると、なぜか大丈夫なようにできている。世間から非難されようとも、結果的にはご公務を佳子様が引き受けてくれている。真子様が女性皇族の立場を離れても、佳子様がその公務を背負っていく。双方にとって助け合える配置です。
アセンダントは不特定多数に向ける顔であり、それは社会から求められている役割でもあります。MCはキャリアや天職、自己実現です。さらに言うと、ICのサインや近くにある天体もそれをモチベーションとしてMCへと繋げていくケースがとても多くなりますので、ICやディセンダントも併せて考えてみてくださいね。
私は天王星がアセンダント上にあり、天王星には占星術の意味があります。これもアングルにある天体が強く発露していく中で、結果的に役割が生まれたケースと言えます。天王星がアングルにある方は「独自性を発揮したい、既存の価値観や常識を覆したい、意識の進化をもたらしたい、新しい技術や広く役に立つものを開発していきたいーーそんな気持ちが強く発露されていくことが多くなります。その結果、それが天職へと繋がっていく。
金星がアングルにあれば、自分自身や人や世界を美しく表現したい、美しいものや芸術性に触れてそれを広げたい、誰にとってもこの世界が優しく美しく満たされたものであって欲しいーーそんな願いを持っていて、それが強く発露されていく。その道を追求していく過程で天職にまで高められていく。
天職とは職業のことではありません。魂の願いをどのように表現していくか、そのスタイルであり形です。あなたの本当の願いと祈りを明確にして、それを現実化するために邁進していく。その先に天職と呼べる場所があるでしょう。
今、このような時代の切り替わり地点こそ、占星術を活用するととてもいいと思います。たくさんの占星術師さんが活躍されていますので、ピンとくる方に出生図の解読をお願いしてみるのはおすすめです。時代の変わり目こそ、ナビゲーターとして、占星術並びに我々占星術師をご活用くださいね❤️