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<働き方改革Q&A>雇用関係助成金申請時に添付する書類が。。。

(写真)雨の日の憂鬱を吹き飛ばす、アジサイの花です@朝散歩




<働き方改革Q&A>
Q 雇用関係助成金の申請を社会保険労務士に依頼したら、申請に関して添付する書類が申請できるレベルではないとのこと。

ちゃんとしていたはずなのですが。


A 働き方改革のゆりりんです。

特定社会保険労務士の西垣裕里(ゆりりん)です。


さて、今回、主には賃金台帳と出勤簿との相違でした。

それぞれの帳簿はあるですが、一貫性がないのです。

一貫性がないと、各月計算方法がばらばらになり、最終的に説明困難になります。

説明できないということは、労使トラブルにも繋がり、会社は不利になります。


解説の前に用語のおさらいです。

賃金台帳とは?


根拠法は、労働基準法第108条です。
(罰則:30万円以下の罰金)
以下の内容を記載します。
(1)氏名
(2)性別
(3)賃金計算期間
(4)労働日数
(5)労働時間数
(6)時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
基本給、手当その他の賃金の種類ごとにその額
(7)賃金の一部を控除した場合はその額


余談ですが、定額減税の給与明細書記載がされない場合の労働基準法違反が問題になっていますが、考えられるのはこの条文違反ですが、戻ってくる税金のことであれば、やはり税法関係ではないかと私個人的には思っています。


出勤簿とは?

根拠は、労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関するガイドラインです。

(1)氏名
(2)出勤日
(3)出勤日ごとの始業・終業時間
(4)休憩時間
(5)残業時間
などを記録します。


労働条件通知書とは?


根拠法は、労働基準法第15条。
(罰則:30万円以下の罰金)

2024年4月より明示事項も追加になりました。
2024年4月から労働条件明示のルールが変わります ー 厚生労働省|厚生労働省 (mhlw.go.jp)


必ず明示しなければならない事項

(1)労働契約の期間
(2)有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項、更新上限の有無と内容、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件
(3)就業の場所・従事する業務の内容・業務変更の範囲
(4)労働時間に関する事項(始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項)
(5)賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(7)昇給に関する事項

定めた場合な明示しなければならない事項
(8)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項
(9)臨時に支払われる賃金、賞与及び最低賃金額に関する事項
(10)労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
(11)安全・衛生に関する事項
(12)職業訓練に関する事項
(13)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(14)表彰、制裁に関する事項
(15)休職に関する事項


余談ですが、私が受験勉強していたころの社会保険労務士国家試験では、太字部分がよく出題されていました。それだけ、実務でも大事であるということです。退職金に関しても、計算方法まで明示していないことが多いですし、食費に関しても同様です。そして、昨今急増している休職に関することは必須事項です。



年次有給休暇管理簿とは?


2019年4月より、年5日取得の義務化とともに管理簿作成も義務化されました。
(1)取得日
(2)日数
(3)付与日
を記載し管理します。


出雲労働基準監督署がわかりやすいリーフレットを出していますのでこちらもご参照ください。



主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)



そして、いよいよ本題です。

今回のNGとその解決法です。

NG1:賃金台帳のほうが、出勤簿より労働日数が多い。

解決法:他に働いた日があるのではないでしょうか?また、半日出勤で半日年次有給休暇取得日も「1労働日」とカウントします。また、欠勤日や年次有給休暇取得日の記録も必要です。

NG2:賃金台帳のほうが、出勤簿より労働時間が多い。

解決法:他に働いた時間があるのではないでしょうか?もしあれば、記録してください。NG1も同様ですが、実際の給与計算は、実働よりも多くつけたという場合、最終的に辻褄が合わなくなり説明が困難になりますので、

時間給を上げる。
能力給をつける。
手当をつける。
賞与で差をつける。

これらで調整が必要です。
これを機に必ず見直してください。

NG3:賃金台帳で計算した時間給のほうが、労働条件通知書の時間給より高い。

解決法:おそらくNG2のように、実際の給与を支払うときに、労働条件通知書の時間給より多く支払ったのではないでしょうか。多く支払うのであれば、上記の解決法で調整してください。

NG4:残業記録がない!?

解決法:今回の場合は、昼休みに事務所にいた時間を労働時間としてカウントしていたために、その時間を残業時間として支払ったとのことでした。それならば、出勤簿の記録の仕方が違います。
例)8:00~16:00 時間外16:00~17:00
ただし、この場合、休憩(労働基準法第34条)がとれないという問題が残ります。
会社にいるのが好きな人は、アウトプットで会社に貢献すべきです。

NG5:出勤簿に年次有給休暇取得日の記録がない!?

解決法:年次有給休暇管理簿がもしあるならば、ダメではありませんが、出勤簿にも記録したほうがいいです。年次有給休暇取得日は、実働日ではありませんが、「労働日」扱いとなるからです。その性質上、労働日に労働義務を免れた日だからです。



(まとめ)


労働条件通知書にて明示した約束は守ること、

そして、できない約束はしないこと。

個別ルールはほどほどに。

これが基本です。

就業規則も同様です。

そして、今回見送った助成金金額はかなりの額でした。

とてももったいです。

これは事業運営にとって損だということを肝に銘じて、

次の活かすべく、日頃の基本的な労務管理をお願いします。

私もお手伝いいたしますので、ご相談ください。


「人手不足を嘆く前に、職場環境を整えませんか?」
ゆりりん社会保険労務士事務所
ゆりりん行政書士事務所
年中 月火木土8~18時
西垣裕里(ゆりりん)
特定社会保険労務士
特定行政書士
精神保健福祉士
年金アドバイザー
認定ラフターヨガコーチングコーチ


(お知らせ1)普段の労務管理


日頃の 労務管理 ができていると、
万一の 労災請求 や傷病手当金、
また助成金申請の際に
対応がスムーズです。
労務管理力は、危機対応力です。
特別な福利厚生よりも大切です。
 
 

(お知らせ2)就業規則


曖昧にしてきたあれこれを

親切明瞭に文章にするだけです。

(お知らせ3)年次有給休暇


年次有給休暇の付与日数は、

労働基準法で決まっています。
今一度ご確認ください。
年次有給休暇管理簿も義務化されました。


(お知らせ4)ご相談・問題提起


働き方のこと。
休み方のこと。
年金のこと。
相続のこと。
遺言のこと。
HP「お問い合わせ」よりお寄せください。
このQ&Aにて順番に対応しております。
 

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