“聞いているフリ”をして欲しいわけじゃない。「傾聴」も自分で定義する
※沖縄国際大学キャリアデザイン論(3回目)授業を終えてのひとり振り返り
前回、講義後半で第一印象を伝えあったり、ペア対話の時間を持ったところ、こんなに話せるんかいっ!!と思う打ち解け具合だったのが印象的だった。
今回は学生同士の関わり合いもあるけれど、特に企業からのミッションを受けてのインタビュー(質疑)で、問いを出して企業担当者へ聞くことができるか?がポイントになってくる授業。今回は私が前に立たない時間も多いからこそ、目の前の学生さんたちの様子を観察して得た気づきがたくさんあったので、ここに振り返っておきます。(授業に参加している講師陣の皆さん、企業の担当者の方にはぜひ一読頂ければ嬉しい内容)
↓前回(第2回)の授業ふりかえりはこちら
今回の授業はこんな流れ。メインは企業からのミッション発表に見えるけど、実際は受講生がどれだけこの場をホームグラウンドにできるか。つまり前後の時間で、特に企業へのインタビューかな。
ノンジャッジメンタルは、今のわたしにだって簡単ではないことだから
わたしが担当する授業では、毎回提示しているグランドルールをからだに浸透させるためのワークや対話がたくさん出てくる。その中でも、耳にタコができほどに毎回の授業の中で何度も言うのが「ノンジャッジメンタル」のこと。
自分の本当の気持ちや感覚、考えていることを声に出すことは、初めましての人にでも、すでに関係性のある人にでも勇気がいることだったりする。否定されないかな、知識がないことにマウントを取られないかな、イメージしてた人と違ったとガッカリさせないかな、どうせ言っても伝わらないんじゃないか…。言えない、言いたくない理由はそれぞれにあって、本当の言葉を飲み込むことや書き換えることなんて毎日何度もあることだと思う。
そんな中でノンジャッジメンタルをみんなにグランドルールとして課しているのだから、できるかぎり勇気を振り絞って挑戦してみようとする背中を支える環境をつくることが私のつとめ。
本当のことを表現するためには、相手(受講生や講師陣)の態度や雰囲気に安心感を持てることも大事だし、大丈夫だと思えるための少しの成功体験を重ねまくることが必要。だから、何度も何度もみんなの声を聞くし、LINEオープンチャットで書いてもらったり、数人での対話をしてもらったりする。受け止めてもらえることの心地よさを感じて、受け止めることの意味を実感し、自分もYes,andできるようになる。先に受け止めてもらう体験がなければ、それは難しいことだと思うから、講師を担わせてもらっている立場としてわたしは何でも受け止める。(過去の授業では、スマホ見てるな〜とか音楽聴いてるな〜とかもあったな、それも受け止めた上で授業を再構成して進むのはメンタル鍛えられた!)
スキルがあるように見せることはできる、でも本当に大切にしたいことは自分自身にとっての傾聴
企業のミッション発表、その企業がどんな事業形態なのか?なぜ今回このミッションにしたのか?などの話を聞く前に、「聴くこと・問うこと」の準備をする。
今回の講義内容をつくる中で、この時間何をするのが良いのか考えることに一番時間を割いていて、薄っぺらくしたくない思いを込めた。
社会人基礎力を上げることを目的に置いているこの授業では、スキルが上がったとわかることが一番の成果として見えやすい。でも、スキルについて頭で理解して、できるフリを授業中頑張ってやったとして、それって意味あるのかな…と私は思ってしまう。だから、今回は「傾聴スキルを身につけよう!」ではなく「あなたにとっての傾聴を定義する」という内容にしてみた。
辞書を引いてみると、傾聴の定義は「〈耳を傾けて〉熱心にきくこと」とある。
「熱心にきく」ということが一人ひとり異なるわけなので、(現在の)自分にとっての傾聴状態をまず定義してみた上で、その傾聴ができるために必要なこと(からだやこころ、環境など)を整えることを提案した。
みんなそれぞれに自分の傾聴があって、そこには相手に届きやすい態度が含まれていることもあれば、それだと外見では傾聴状態だと捉えられにくいだろうなということもある。自分にとっての傾聴状態と他者が傾聴だと感じることのギャップを埋める必要がある時に初めて、傾聴表現のスキルを活かせばいいと思う。
そうそう、みんなが書き出してくれた「傾聴」。
私はこの傾聴が向けられるような授業を次回も目指します。
問い続けることでしか、問いは磨かれない
問いを考える時の材料として、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの話を少し。どちらがいいとか悪いとかではなくどちらにも利点があって、組み合わせながら問いを出すことによってより広く、深いことが聞ける。どんな問いを投げかける良いのかは、問いを投げかけて答えを聞くことを何往復もしてやっと掴めると思う。実践あるのみ!
企業インタビューの様子を見ての気づき
企業からのミッション発表とその背景紹介が終わってから問いを考える時間を5分程度もうけ、その後は10分間のインタビュータイム。企業2社を教室の前後に分かれてもらい、各場所にいる学生20名程度の中から質問を投げてもらう時間。
まだまだ緊張感が伝わる空気感、企業人との会話に慣れていない学生からすると、言葉遣いに聞き方(名前言った方がいいかな、立って聞くのがいいのかなetc)、立居振る舞いとか、問いを投げるだけではないハードルの高さがあることが伝わってきた。
ひとりが手を上げ質問をすると、問いのボールを企業の担当者の方がしっかり受け取ってくれて、丁寧に答えを投げ返してことが分かる。質問者だけではなく、半分くらいの学生が少し安心したように見えて、その後に少し間を開けながらも質問が続く時間となっていた。
この時間わたしは介入しないので、学生にとっては一番緊張感のある時間だったと思う。ひとり何回聞いてもいいし、どんなことを聞いてもいいからこそ、自分に湧き出てきた問いにノンジャッジメンタルを採用できた人がどんどん聞いていく。
ということは、聞けない人がいるということでもある。
自分の口から聞けなかった人は、その時間学びが無かったかと言われると、そんなことはないはず。他者が聞いてくれたことで同じ情報を共有できていたし、自分が聞けないことに対しての理由をこころの中でぐるぐる考えたり、何度か手をあげようか迷って勇気が足りなかったりしたのだと思う。このモヤっと感を持ち続けながら、次回も仲間の姿に少し背中を押された人が挑戦していくことを信じている。(授業中にノンジャッジメンタルで発言できるコツを掴めている人は、ぜひみんなにその感覚をシェアして欲しいな。次回の授業では、全員の前で発言してもらう機会を何度かつくろうかな!)
次回予告、自分が“シンカ”するチームづくりをしよう
いよいよ私がメイン講師を担当する最終回。みんなにとって大切なチームとなる仲間と繋がる時間だからこそ、自分自身のことをじぶんの言葉で伝えあったり、それぞれの人生背景に触れてみたり、普段は話さないようなテーマで対話したり…焚き火を囲むようなホットでノスタルジック感のある空間にできたらなぁと思っている。(自分で言ってハードルあげとる、、、笑)
自分がシンカ(進化・深化)できる仲間をみつけ、快適な土壌の上で挑戦できるようなチームをつくっていこう!最終発表会の後には、自分のシンカの過程を語り合う時間が持てるといいな〜
次回授業もお楽しみに!