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【ゆりボウズ.231】

2022年6月3日(金)

○世界選手権を終えて
・レースの振り返り
1種目 スプリント(2位)
1位のアメリカとは1.90秒差。流れの中でのパドリングに課題を感じた1本だった。ラインを大幅に外す事なく漕ぎ抜けれた事は良かったが波をうまく乗り越えれずぶち当てる、といった減速をうむ動きがいくつかあったし流れの加速を出口へ活用出来たらもっとタイムを出せたよね、ってところ。波の処理についてはライン取りもあるかもしれないけど波を越える時の抑え的なパドリングや波に合わせにいくためにパドルを刻むなどリズムがすごく重要かなと。ま、やりたい事はスムーズな波の処理。波に振られないようにボートの重心をもっと下げたり、自分らの漕ぎやパドリングでもっとどうにかなるという気づき。とりあえず初っ端2位という位置につきH2Hでクォーターファイナルからのスタートは良かった。

2種目 H2H(2位)
どちらかと言うとブイ際が少し苦手なのでスタートで前に出る事を特に大事にして漕ぐ。スプリントが2位だったのでクォーターファイナルからのスタート。初戦はルーマニアとあたりH2Hの感覚を掴む。力んでいるせいかスタートダッシュで前へ出にくい。セミファイナルのオーストラリア戦では空振りしないようピッチだけにならぬようストローク幅を増やして艇を出してからトップスピードへ持っていく作戦。割と良い感じでしっかり前に出れた。瀬で一時距離がガクンと縮まりヒヤリとしたが出口でもう一度立て直せて離す事が出来た、全員のパドルもしっかりあっていて一番太い流れにも乗れてラインを作りやすく丁寧にブイを狙えた。少し不安だったブイ際も離れる事なく進みながら処理できた。多少相手と当たったがうまくかわせた。ひとつひとつ勝ち上がりファイナルはチェコ戦。グループ戦でのチェコのブイ際の動きやライン取りを外から見る、さすがはチェコ、ブイの処理が本当にスムーズ。エディの中でも艇をしっかり動かす事が出来ていた。チェコの動きはいい学びだった。そして全集中で挑んだファイナル。スタート出れた!!からとにかく丁寧なライン取りをはかったが左ライン(エントリーからメインの波まで速いライン)からきたチェコとメインの波でぶつかる。お互い出口で乱れ減速した、チェコは立て直しがとにかく早かった。うちはメインカレントに艇を持っていく事に時間を要してしまったがその後の漕ぎでカバー出来た。前を走るチェコの腹を腹をつこうと勝負したが切り返しが早く腹には届かず。私たちは1つ目のブイで梃子摺ってしまった。ブイを回る技術ももちろん大事だけど距離感、当たる事を想定したエディアウトの位置がチェコはしっかり詰めれていたと思う。悔しさが強く残るファイナルだったがスタートでしっかり戦えたことは素直に喜びたい。

3種目 スラローム(7位)
全体的にゲートは低め、ゲートと次のゲートの距離は近すぎず、という感じ。流れに入ってしまうと流量もしっかりあったので展開がはやい感じのゲートセット。1本目は不通過を3つ出してしまう。頭の中にイメージしていたが実際思うように艇を運べず。1本目終了後、不通過や接触の焦りからか2本目のランが怖く感じたのを今でも覚えている。とはいえもうやるしかねえ、という状況だったのでひとつひとつ修正をかける事にとにかく力を尽くした。2本目、まるで悪夢のように終わった。3番ゲートまでいくフェリーグライドでまさかの失敗で後のダウンゲート2つを不通過、ゾッとした瞬間だった。瞬時に切り替え後半、はたまた不通過2つ。みんなでやっている事だから自分や誰かを責めるわけではないけど、ケアレスミスだったゆえすごく情けなかった。アルゼンチン大会でのスラローム6位を払拭すべく3位以内には食い込みたかったレース。あまり思い出したくないがスラロームに関しては打倒チェコとして更なる技術向上と練習方法の見直しをしてやっていきたい。苦い思い出となった、ボスニアのスラローム。

4種目 ダウンリバー(2位)
スタートはランニングスタート。前日の公式練習では距離感をはかるのが難しく光電管にドンピシャで合わすことに梃子摺った。ダウンリバーに関しては追うのは大変、先頭をずっと走る事を目標としていたのでとにかくスタートが勝負だった。前に出る。前に出る。ファーストグループだったので上位5チームのチェコ、アメリカ、日本、オーストラリア、スロバキア。スタート後は緩やかな右カーブだったので左にいすぎて左へ追いやられないよう考慮し位置付ける。光電管をトップスピードで切れるぐらいを狙い上から加速加速で繋ぐ。スピードにのった状態でスタートを切れ他国と当たる事なく走れたのは良かった。スタートで出れて先頭を走れる状態は作れたが4か国が追ってくる、チェコにはずっと後ろビタビタにつかれプレッシャーをかけられで苦しいレース展開になるんだろうなと思いながらとにかく必死に漕いだ。何度もうちのポケットから前へ出ようと勝負を仕掛けてくるチェコに対して、抜かせない、前へ行かせないラインを作るのが精一杯だった。ラインを潰されている状況だったので相手をよく見るように意識、ポケットに入って相手と離れない、プレッシャーをかける、勝負を仕掛けるタイミングのプランニングをしながら。息もかなりあがってしまっていたので良い判断が出来たとは到底言い切れないが出来るだけ言葉を発しながら漕いだ。中盤あたり、チェコが仕掛けてきたものに踏ん張れず前へ出られる。ジグザグを作られ艇の進みを妨害してくる作戦にはまりかなりしんどい展開。とにかく離れない、ずっと立ち上げをかけている状態が続き進みが伸びなくなった瞬間をチェコも察し更なる加速をかけられ離された。勝負は終わるまで何があるか本当にわからない、と必死に食らいついたが最終2位でおわった。あれやこれ細かな事はあるけど、全員で作り上げれた58分09秒だった。追う、追われるのどちらも存在した苦しい流れの中で4人で漕ぎ切れたのは本当に良かった。

レース全体を振り返ると全ての種目で1番をひとつも獲れなかったのは大きなダメージだった。勝って終わりたかったが他国の技術の高さや経験や知恵に負けた。目指していた「世界一」には届かなかった。かといって自分たちの力が存分に出せなかったわけではなくむしろ練習してきたことは出来た感覚の方が大きいので負けておきながらあれだけど悔しさより納得が勝る戦いだった。競技人口が多かろうが少なかろうが世界でいちばんになるって本当に難しいことなんだなと思った。久しぶりに顔を合わせた世界のラフター達、大好きなラフティングで一番目指してみんな集まって真剣勝負して幸せな時間だった。思い通りにいかなくて苛立つ私をみて「よくやってるじゃないか!なんで泣くんだよ、意味わかんねえよ、日本チーム最高じゃねえか!もっと楽しめよ!」そういってみんながハグしてくれたのがものすごく嬉しかったし、どこか救われた気分にまでおちいってしまった。4人乗りでの世界一が本当に欲しくてこの大会に挑んだけどどこかで大事なものを見失いかけていた時間もあったように思う。ライバルチームにすら支えられたいろいろな気持ちが入り混じるもので心に残る素敵な大会だった。そして個人的には体が良く動いた最高のレースだった。レース前のスカウティングでは吐きそうだったがスタートラインにつくと不思議と冷静になれた。すごく落ち着いてスタートを切れたレースは本当に初めて、そしてこんなにもぐわぁっと集中できたレースも初めてだった。1051日間が多いのか少ないのか出来が良かったのか悪かったのかよくわからないけど、やってきたものがある、というのが本当に大きな支えだった。一緒に漕いでくれたチームメイトには感謝です。チームにいるとすごく気を使うし言葉を選ばないといけないし、神経使うし、言い方悪いけどめんどくさい部分がすごく多かったです。でもみんなとやり抜いた事は私の人生において大きな財産であるしみんなとだから出来た事なのかもしれません。ありがとうございました。

この大会を目指すまで、この大会に参加するにあたって本当にたくさんの方の助けがありました。練習を見てくださった先輩方、練習日の調整をかけてくださった職場の皆様、大会参加にあたりご支援していただいたスポンサー様方、他周りの方々…。皆様あってここまでこれました。本当にありがとうございました。

さ、世界大会は終わり。私の中でまたなにか始まったようにも感じるのでやりたい事をしっかり形にしていく作業をまたやっていこうと思います。目・髪・肌の色や言語が違う人たちとでも繋がれるラフティング、やっぱり最高だなあ。そして私はなぜ漕ぎ続けるのか、なぜ漕ぐ必要があるのか、これだ!という答えはまだ見当たらないのでまだまだ漕ぎ続ける事にします。漕ぐっていいなあ。明日も確り!!

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