ノスタルジックな近未来

ウェス・アンダーソン監督の最新作、「犬が島」を観た。

人形を少しずつ動かしてつくるストップモーションアニメ(ウォレスとグルミット的な)のだけど、ストップモーションのイメージを覆される仕上がり。なめらかな動きと作り込まれた背景に圧倒されてしまった。

ストーリーそのものも風刺や皮肉が効いてておもしろかったけど、作り込まれた背景がとにかく素晴らしかった。舞台の設定は近未来のニッポンなのだけど、単に未来的というよりは、外国の目から見た日本のイメージとノスタルジックな昭和の日本がミックスされている。

こういう、ちょっとだけズレた日本の描写になぜかすごく惹かれてしまう。

ベイマックスに出てくるサンフランソーキョーや、ゴースト・イン・ザ・シェルに出てくる街なんかも好き。

なんでこんな惹かれるんだろうって考えたんだけど、たぶん、自分には絶対見えない世界を見せてくれるからかもしれない。

日本で生まれ育つと、日本の風景になんの疑問も抱かなくなる。もちろん好きな風景はいっぱいあるけど、そこに珍しさや不思議さは感じない。初めて行く国で感じるようなわくわくを、祖国に感じるのは難しい。

そんな、普通にしてたら感じられない感情を呼び起こさせてくれるから、SFチックに描かれた日本を眺めるのは楽しいのかもしれない。

犬が島のフォトブックとか発売されたら、買おうかな。

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片渕 ゆり(ぽんず)
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