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私たちは武器を手に入れた~けもなれ第7話~

獣になれない私たち。第1話ではあまりの過酷さとリアルさにリアタイ視聴を脱落してしまった私だけど、今では録画を最初から見返し、わざと同居人の前で再生して沼に引きずり込むくらいにハマっている。

そして昨日の第8話。あまりにも素晴らしかったから、やや放心状態。今までがんばって生きてきた私へのご褒美かな!?みたいな宝物みたいなシーンで溢れてた。お互いを敵視してた元カノ同士がタッグを組んだら地球一強いコンビができるし、そういうときの女の連帯感って最高に楽しいし、バスの窓際で涙を流す恒星さんもまさかの染み込む系おでん男子のムーミンも踊る松任谷&上野も思い出のゲームもお姫様抱っこももう!すべて!私自身の思い出にしてしまいたいくらい好きで好きで愛おしさ止まらない・・・

・・・んだけども。話を先週の第7話に戻したい。先週のうちに書けよという声は無視の方向で。

第7話。獣になれない視聴者の私たちはずっと、己の本能に忠実な呉羽のことを指をくわえてみていた。そして、「顔以外全部私だわ!」と思いながら晶のことを見ていたはずだ。少なくとも私はそうだった。まわりに気を使って自分の言いたいことも言えない、飲みたい貴重なビールも他の人にお酌してるあいだに飲み損ねる、我慢することで居場所をもらって、いつからか自分の気持ちすらよくわからなくなって。「他人の気持ちなんて無視できたらいいのに」「これだから私はダメなんだわ」という自分への呪詛を吐きながら。

でもそんな呉羽に、武器をもらった。「人の気持ちがわかるって、特殊能力ぅ〜〜!」と。獣になれない人たちが足枷だと思っていたものは、実は武器だったのだ。ひらひらとどこかに舞っていきそうになっている自分の人生を取り戻すための武器は、実は最初から自分の手の中にあったんだと。

人の気持ちがわかるから、晶は千春さんにハグをする。呉羽は自分がしたいときにハグをするけど、晶は相手が必要としてるタイミングでハグができる。そして結果としてそのハグは千春さんの大事な局面を救うことになる。

「獣になれない」ことは決して弱みじゃない。獣になりたくてもなれない私たちは、獣になることを無理して目指さなくていい。獣じゃないからこその戦い方が、きっとある。そう思わせてくれた7話は、今の私にとってどんなキラキラしたラブストーリーより、どんなに笑えるコメディより、必要な話だった。

最終話まであと2話。心に爆弾を、胸に退職届をしのばせて明日も私は生きるぞ。

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