「光と色」を自分でコントロールする。フォトコーディネートセミナーのイベントメモ 〜前編〜
今日は、フォトコーディネートのセミナーに参加してきました。
【 3/8 ポートレートセミナー】
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) February 13, 2019
今回のセミナーは、本日投稿しました作品シリーズの光と色の作り方、イメージから具体的な準備・撮影など、作品撮影時のワークフローをフォトコーディネートの観点から解説させていただきます。
詳細はこちらまで↓https://t.co/MmabFRFyMU pic.twitter.com/AHWdL6FHGJ
・フォトコーディネートとは
「イメージした世界観を表現したい、写真を構築する要素を意図的にコントロールしたい。プロデュースしたい」という思いからこのスタンスに至った。
写真はいろんな要素が相まってできている。そのあらゆる要素を自分でコントロールするのがフォトコーディネート。「センス・感覚」からの脱却を目指す。「センス」もロジカルな説明が可能なのでは?という発想。
「フォトコーディネート」というと難しい言葉に聞こえるけれど、写真を撮る人ならば無意識のうちにある程度実践しているはず。そこを改めてロジカルに捉えなおしましょう!
・・・
写真の要素は、いくつかに分解できる。
・やわらかい光/硬い光
・影がうすい/影が濃い
・暖色/寒色
・被写体の雰囲気(キュート/クール)
・笑顔/真顔
・自然体/決めポーズ
・絞り開く/絞り絞る
・フェミニンな衣装/マニッシュな衣装
・ロケーション
・レタッチ
それぞれの要素を意識して組み合わせていくことで、「キュートな印象の写真」または「クールな印象の写真」を意図的につくることができる。
・ワークフローの作り方
写真を撮ろうとしたとき、多くの人は「なんとなくあんな写真が撮りたい」と、ぼんやりしたイメージを描くはず。そのイメージを構成する要素を分解し、ひとつずつ決めていく。
・撮りたいイメージの発想はどこから来るのか?
そもそも、撮りたいイメージはどこから生まれるのだろう?撮りたいイメージというのは、自分のなかに蓄積された情報のなかから生まれる。今まで自分が見た写真や景色など、あらゆる情報のなかから生まれる。
では、さっそくフローに移ります。
・フロー① イメージの輪郭を可視化する
撮りたいイメージを描くとき、多くの場合は「ふわっ」としたイメージを描いてしまう。それをなるべく具体化していきましょう。
手段としては・・・
・文字に起こす
・画像を保存する
・写真や動画を撮る
こういった方法で、自分の記憶の中にきちんと蓄積させていく。自分の中で、撮りたいイメージをしっかり描いていけることが大事。
たとえばお手本になりそうな写真を見つけたら、なんとなく「いいな」と思うので止めてしまうのではなく、「なぜそれがいいのか」「どこがいいのか」を考えながらなんども見ること。それをやるかやらないかで、差が出ます。
ぼんやりしたイメージのままだと、撮る写真もぼんやりしてしまう・・かも。
・フロー② 光と影
イメージを、光と影の造形に絞って考えて見る(=モノクロの世界で、撮りたい像をイメージしている)。
モノクロで美しい写真というのは、光と影の扱いがきれいな写真。だから、モノクロの視点で撮りたいイメージを描いてみる。
たとえば、「ブラインドの光と影をつかってスタイリッシュなポートレートを再現したい」と思ったとする。(今回はこの想定のもとでフローを進めていきます。下の写真のイメージ。)
その陽と今日に滲む pic.twitter.com/nozZSKN0Ju
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) January 31, 2019
Grit #2 pic.twitter.com/QpG3Omqk93
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) February 6, 2019
Grit #3 pic.twitter.com/2ZnlT8JgIG
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) February 7, 2019
Grit #4 pic.twitter.com/8OYIRhD0Gr
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) February 8, 2019
このとき、一歩踏み込んで考えてみましょう。
「ブラインドを使ったスタイリッシュなポートレートって、どんなんだっけ?」というように。
「ブラインドって自然光のイメージだよな」
「明暗差はあんまり広くないよな」
「逆光がいいよな」
言葉にするとこんなことが思い浮かぶはず。
・フロー③ 光と影の造形美を「意味」で捉える
②で思い浮かんだことの「意味」(≒与える印象)を、もう一段ふみこんで考えてみよう。
たとえば、以下のような感じ。
木漏れ日の光と影 = 優しい、やわらかい、かわいい
直線の光と影 = 冷たい、クール、かっこいい
撮りたいイメージに合わせて、光と影のかたちやバランスを決めていく。光と影のカタチ次第で、写真の印象は変わる。
・フロー④ 場所を決める
撮りたい光と影のイメージは決まった(今回の例でいうと、ブラインドの光で、シャープな印象で撮りたい)。じゃあ、その光と影を再現するにはどうしたらいいのか?というのを次に考えます。
今回は、ブラインドの撮影をすることが絶対条件。だとしたら、自然光に頼ることはむずかしい。ならばスタジオ撮影にしよう!光源は自然光ではなくライティングにしよう!と決めることができる。
ブラインドを通った光と影がハッキリわかる環境であることが欠かせないので、背景は「白」であることがマストだな、と決まってくる。
そうすると、今決まったのは以下のとおり
・ライティング・・・自然光
・背景・・・・・・・白
ここまでで、「光と影」に関する要素は決定しました。
・フロー⑤ 色を考える
すでに光と影の作り方は決まったので、ここからは色のことだけを考えるステップに移ります(ここを、ざっくりではなく順を追って一つひとつきちんと決めていくことが大事です!)。
今回、色に関して叶えたいことは2つ。
⑴ 西日の雰囲気を出しつつ、写真全体として同系色でまとめたい
⑵ ただし、単調になりすぎないように、なだらかな変調を加えたい
色にかかわる構成要素は下のとおり。⑴と⑵の両方を満たせるよう、下記の要素をコーディネートしていきます。
・機材
・場所
・衣装/小物
・キャスティング
まずは機材。今回の例で使用したのは、Canon 5Dmark4、Tokina opera 50mm F1.4。
モデリングライトがカラーイメージの西日に近くなるように、3000K程度に。
なるべく、完成イメージに近い光で撮影をしたい。ならば、「モデリングライトに色味をプラスすることでイメージに近づけるようになるのでは?」と考えた。
結果として、下記の写真のようにイメージ通りの色をつくることができた。左側がすこし緑がかっていて、右側が赤みがかっている。
その陽と今日に滲む pic.twitter.com/nozZSKN0Ju
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) January 31, 2019
ちなみにブラインドは、スタジオにはなかったので自宅から持参しました。
次は衣装を決めます。
衣装は作品に映り込む面積の比率が大きいので、写真のイメージにも大きな影響をもたらします。「なんでもいいよ」と言ってしまうのは、フォトコーディネートの考え方からすると好ましくない。衣装までぬかりなく考えよう!
シンプルだけど少しデザイン性のある衣装が、個人的にはおすすめ。衣装自体があまりに凝ってると、衣装のメッセージ性が強くなりすぎてしまうため。
小物も、全体のバランスを考えて取り入れる。今回は写真のイメージがオレンジ系だったので、色相環をもとに補色の藍色を取り入れてみた。
小物が悪目立ちするのは避けたかったため、なるべく衣装と近い素材のもの(デニム)を選んでみた。
(1枚目、中段、左の写真で持ってるのが今回使った小物)
【 3/8光と色のフォトコーディネートセミナー】
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) February 14, 2019
こちらの作品シリーズをメインに解説させていただきますhttps://t.co/MmabFRFyMU pic.twitter.com/6Kj5LrYu8s
色相環をもとに色を考えるのはおすすめ。色選びもロジカルに!
ちなみに、あえて小物を主張させようと思ったときは衣装と異なる素材感の小物を選ぶこともある。下は、あえて異素材のサテンを小物として使ってみた作例。
アンバーバニラの香 pic.twitter.com/2fTqmLhiN0
— 鈴木悠介 | monocolors (@monocolors_) December 13, 2018
ここまで決まったら、キャスティングへ。
今回は、双子コーデに見えないよう、顔立ちのタイプが異なるおふたりを起用。髪型や身長も配慮したうえで決めます。
〜後編につづきます〜
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