心の散文 -よくできた人間
常識と慣習に縛られ
当たり障りなく生きることを最善としている
あいつを軽蔑していた
自分は特別な人間だと思っていた
人とは違う
特別な人間なんだと
でも
成人をはるかに超えて30歳になる頃
そう思いたかったのだと
いまさら気づいた
僕はただのなんでもない
ありきたりな奴だった
平凡な人間だった
それでもまだなおもがき苦しみ
もう体がうまく動かなくなって
天井ばかりを見つめている
そんな僕より
すっかり自分の力量を見定め
少なくとも他人に迷惑をかけないで暮らしているあいつのほうが
よっぽどましで大人なのだと
重たい荷物を抱えて
それでも毎日決まった時間までに家路に着くあいつのほうが
特別ではないけれど
よくできた人間なのだと
そう思って
消えたくなった
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