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[日記]勢いよく悲しい

悲しみをすごく大事にしている。

悲しみというのは個人的には、胸の中が満潮に近づいていく圧迫感みたいな感じ。そのあとブワーッと何か出る。「何か」とかいって言語化から逃げちゃいけないな、そうだな、んー、涙とか、嘔吐とか、めちゃくちゃ長い日記とか、風呂場で絶唱する井上陽水とか、そういうのが出る。そして体から何か出すとき、人間はだいたい気持ち良くなるようにできている。

2022年1月19日にこの本を出す。

カタコト異文化交流の、旅と言語のエッセイを書きたい、ということで企画を作ったのは2019年だったので世の中がこんなんなると思ってなかった。「こんな世の中に旅の本を出す意味ってあるんですかね?」って病み散らかしながらzoomで担当編集さんを前に泣く、みたいなありさまになってしまったし、そんな自分がみじめで弱くて可哀想で大嫌いとか頭の中で花*花が歌い出すし、それもう2000年の曲だし、おれはもう14歳じゃないはずだし、なのになんでこんなにずっと14歳みたいなんだろうな、14歳をやり続けて20周年です。パンパカパーン。となってしまい、開き直ったので、ものすごい暗い文章を書き、「でも単にものすごい暗いままだと伝わらないじゃないですか」というごもっともな会話を編集さんと交わすことで自我の中から出てきて他者に伝えるための文章に書き直すということをやった。

明るい人間だったら人気になれるかなあと、たかのてるこさんとかナオト・インティライミさんとかの売れてる旅エッセイを読んでハァッってなっていたりしたんだけど、人気になるために明るいふりをしてみた経験がある暗い人間なのでよくわかる。人気になるためでしかない明るいふりは自分も他人も余計に寂しくさせてしまう。自分は自分であって他の誰かではない。

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