スリランカ家庭料理には日本の都会が忘れてしまったものがあった
事情により 毎朝スリランカ料理を作っています。
スリランカ料理って、かつおだしなんですよ。
正確に言うと「モルディブフィッシュ」という乾燥かつおフレークなんですが、日本のかつおぶしで代用できます。そこに生姜とか、スパイスたっぷり。主食はお米。ダイコンも食べる。カトゥレットというコロッケも食べる。アムラという干し梅の味のものも食べる。カレー味のおかず食べる。
なんだか親しみやすいんです。
スリランカ料理、「知ってる感」すごいんですよ。
日本で育ったわたしにとって。
スリランカ、一回も行ったことないのに。
日本で暮らすスリランカの方のお宅に何度か通って、少しずつ伝授していただきました。まだまだ修行中なんですけど、わたしが作るとこんな感じ。
いちおう写真では木のスプーンを添えていますが
スリランカの風習に従うならば
指先を上手に使って混ぜ混ぜして、小さい混ぜごはんおむすびみたいなものを作りながら食べます。
この混ぜごはんおむすびを作るのがマジでむずかしい……
わたしに料理を教えてくださるスリランカの方のお食事風景を見せていただくと、器用な手つきでチョンチョンと全部のおかずをつまみあげ、キュキュッと指先だけでまとめて、はむっと一口で気持ちよく食べるんです。しかも日本の丸いモチモチ米よりもっとパラパラした、カレーに合う感じのあのごはんで作ってるのに。くっつきにくいはずなのに。
わたしは「食べ物を手で食べる」という動作がもともと好きで、おむすび、おすし、プチトマト、桃のまるかじり、とにかく、道具を使わずに食べると「生きてる〜」って感じがするなあと思うのですが
あんまりこう、ね。現代日本だと、お寿司もだいたいお箸で食べるので。手で食べるのって、一人きりの時にしかできないなあと思うし。
スリランカごはんを前にした時もなんか遠慮してしまって、親指・人差し指・中指の三本指の第一関節までしか使わないって感じでツンツンしてしまうので、ぜんぜん、スリランカの人の、あの、キュキュッとつまみ上げるエレガンスに到達することができておりません。
日本人のわたしにだけ「スプーンいる?🙂」って質問してくださる あの感じ……
めっちゃちっちゃかった頃、大人はお箸、子供はスプーンだったあの頃みたいな、自分だけ到達できていない感じを味わっております。まだまだお手手で食べられないの。スリランカでは幼児です。
幼児だがピリリと辛い味付けをするぞ
こんなスパイス挽きを使って、ゴリゴリスパイスを挽きます。詳しい人は食べる人の体調に合わせてスパイスを調合するそうです。薬膳みたいな感じですね。実際、スパイスを摂ると胃がすーっとして、気持ちいい汗が出て、じわじわと体の奥から熱くなる感じです。エネルギー摂取してる感じある。
「日本の料理はスパイスあまり使わないね?」って言われました。
スリランカでは、お庭に生えている草をちょっと摘んできて料理に使うらしい。
でも日本にも、「君がため春野にいでて若菜摘む」って和歌がありますよね。
山椒、辛子、しそ、生姜、みょうが……季節ごとに体調を整えるのに必要な草を摘んできて食べるっていうことが、本当は行われていたんだと思う。日本でも。
例えば、初春から晩春にかけて生えている食用の草って、よもぎ・つくし・ふきのとう……とかですけど
そのへんは苦味のある草でしょう、スリランカの人たちが生活に取り入れているアーユルヴェーダでも「春の不調には苦味のあるものを食べるといい」って言われてるんですよね。
季節のものを指で摘んで食べる
さわって、嗅いで、つまみ上げて、口に入れて、温度や舌触りを感じながら味わう
そういう当たり前のことがどこの土地にもあったはずなんだよなって思います。
でも、文明的都会生活をすると、そもそもそのへんに食べられる草が生えてないし、「効率!効率!昼休憩は●分以内!」って追い立てられるし、「指も舌も鼻も使う感覚的な食事をする」ということがなくなってくるよね。食事じゃなくて栄養摂取になるっていうか。
乗馬クラブの人に聞いた
「馬はお腹が痛くなると、自分で歩き回って、腹痛に効くヨモギを探していっしょうけんめい食べている」って話を思い出しながら
今朝もスリランカのごはんを指でつまんで食べました。
豚の脂のこっくりした照り
レンズ豆のふくれたところの双葉に似たかたち
指先にあたるお米の一粒一粒の食感
みんな生き物だったんだなあと思いながら食べた生き物です。
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ここから下はマガジン購読者の方限定の、「そもそもどういう事情でスリランカ料理を作り続けているのか」という話と、コメント欄でのおしゃべりです。マガジンでは2016年から続く数百の過去記事が読み放題になります。また、ここにいただいたコメントは拝見して❤️を押しています。
どどど、どんな事情やねん
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なんかこう、まきむぅたちとしゃべったりとかするとこ
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