危ぶまれる夏季五輪の開催、気候変動との関連
パリ五輪が閉幕。日本は金メダル二十個、総メダル個数は四十五個と、いずれも海外で開かれた五輪の中では過去最多を更新しました。
一方で、嬉しくない記録が気象の世界では誕生しました。日本は1898年以降で最も暑い7月を記録、世界平均気温は、7月として2番目に高くなりました。パリにおいても7月29日から8月1日にかけて4日連続で30度超。35度以上を記録する日もありました。
この期間に競技が行われたスケートボード・男子ストリートの小野寺吟雲選手は、競技開始前の練習中に熱中症のような状態となり、残念ながら予選敗退となりました。
それも含めて勝負と言う人もいるかもしれませんが、日々の猛暑を底上げしている人為起源の地球温暖化のことを考えると、対策が必要だと思います。
非営利団体と英ポーツマス大学の研究者、五輪選手が共同で『火の五輪』と題した報告書を発表。日本でも元陸上選手の為末大さんらがオンラインで記者会見し、スポーツ界として地球温暖化に向き合う必要性を訴えました。具体的な対策として、猛暑を避けた日程・時間へのスケジュール変更、選手や観客の暑さ対策の強化といった対策を提案しました。
暑さに対応するための「適応策」はもちろんですが、温室効果ガスを減らす「緩和策」も根本的な対策として大切です。
報告書では、スポーツができる緩和策として、気候変動について選手たちの発言を促進、選手やスポーツ団体と共同でのキャンペーンを挙げていて、化石燃料企業とのスポンサー関係を考え直すことまで踏み込んで提案しています。
こういった変革によって、少しでも将来の暑さが抑えられ、スポーツを安全に楽しみ続けられますように。
一橋大学空手道部 女子監督・気象予報士 千種ゆり子