カシミアの手袋と母
この写真は5年前の孫娘。無理やり私のプレゼントした帽子をかぶせて写真におさめたもの。
ブルーが好きなのは、私が母へ謝れなかった後悔の気持ちからかな。
小学低学年だったある冬。
「明日、耐寒遠足あるから、可愛い手袋買ってきて」と、母に頼んだ。
学校から帰宅して見たのは、カシミアのブルーの手袋。
母は、大正生まれでしかも北海道の小樽出身。防寒具はカシミアが当然だったんだ。
でも、私はイズミヤで売ってる赤い「魔法使いサリー」の手袋が良かった。
「こんなん全然可愛いくないやん!いらん!」と言って、ふて寝した。
朝起きると、その手袋にお花の刺繍がしてあった。別に得意でもないし時間もなかっただろうに。
でも、私ははめて行かなかった。
そしてそれから先、一度も見てない。
それなのに、そのお花の刺繍は鮮明に覚えてる。私のための刺繍。
「ありがとう」って言ってあげれば、母はどんなに嬉しかっただろうって思う。
家族って、相手を悲しみのどん底に落としても、それでも許される特権を持ってるものなのかな。
孫も、あれから一回もこの帽子をかぶってないだろうな。きっと、ママは可愛いと思ってない。
それでも、構わない。この写真は私の宝物。
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