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人間関係の悩みを解決する鍵は「自分を変えること」〜動物ケアの現場で活きるアドラー心理学〜

動物医療やトリミング、ドッグトレーニングといった現場では、動物のケアに全力を注ぐ私たちですが、その背景には必ず「人」との関係があります。飼い主さん、同僚、上司、さらには動物との関係まで、多くの繋がりの中で日々を過ごしています。

しかし、その「人間関係」がスムーズでないとき、私たちは悩み、葛藤し、時には仕事への情熱さえ失ってしまうことがあります。動物たちのケアの質にも影響を及ぼしかねないこの問題を、どう乗り越えるべきなのでしょうか?

アドラー心理学が教える答えはシンプルです。それは、「自分を変えること」。この考え方を取り入れることで、私たち自身も、人間関係も、そして動物たちのケアの質も、より良い方向に進めることができます。


4つの視点から考える人間関係の改善

アドラー心理学では、人間関係を改善するためのアプローチを「4つの要素」に分けて考えます。それぞれを動物医療やケアの現場に当てはめながら、どのように活用できるのかを見ていきましょう。

① 自分を変える(最も現実的で効果的な方法)

動物のケアにおいて、私たちは常に「最善を尽くしたい」という思いを持っていますが、人間関係においては相手を変えようとするあまり、関係が悪化することがあります。アドラー心理学は、「相手を変えることは難しいが、自分を変えることで関係性は変わる」と教えています。

例えば、飼い主さんがアドバイスに耳を傾けてくれない場合、「どうして聞いてくれないのか」と不満を抱く代わりに、次のように考え方や接し方を変えてみてはいかがでしょうか
• 共感を示す:「忙しい中でのケア、大変ですよね」
• 提案に温かみを持たせる:「こうしてみるともっと楽になるかもしれません」
• 自分の感情を伝える:「〇〇ちゃんのために少しでも良くなるお手伝いができたら嬉しいです」

このような「自分の変化」は、相手の態度を変えるきっかけになり、結果的に動物たちにとってもプラスになる関係性を築くことができます。

② 相手を変える(難易度が高いアプローチ)

人間関係の悩みの多くは「相手がこう変わればいいのに」という期待から生まれます。例えば、同僚や上司との意見の食い違い、飼い主さんの非協力的な態度など。しかし、アドラー心理学では「相手の行動を直接変えることは難しい」とされています。

相手を変えたいときには、「どう伝えるか」に工夫を凝らすことが大切です。指摘や批判ではなく、提案や共有を心がけましょう。
また、動物たちにとっての利益を中心に据えると、相手も自然と行動を見直してくれるかもしれません。

③ 関係を変える(立場や役割の再構築)

現場では上下関係や役割分担がストレスの原因になることがあります。こうした場合、関係性そのものを見直すことが必要です。たとえば、チーム内での役割を明確にする、情報共有の仕組みを改善するなど、小さな工夫が大きな成果を生むことがあります。

④ 環境を変える(最後の手段としての選択肢)

どうしても関係が改善しない場合、環境そのものを変える選択肢もあります。ただし、新しい環境に期待を寄せすぎず、「自分の働き方や考え方」を見直すことで、どこでも柔軟に対応できる自分を育てることが大切です。

「自分を変えること」で生まれる未来

動物医療やトリミング、トレーニングの現場では、「動物のために」という思いを共有する仲間が集まっています。
しかし、その熱意ゆえに意見がぶつかり合うこともあります。
そのとき、「相手を変える」のではなく「自分を変える」という視点を持つことで、新しい解決策が見えてくるのです。

自分自身を変えることは、決して簡単ではありません。
しかし、その一歩が現場全体をより良くし、何より動物たちにとって最善のケアを提供するための礎になります。

「人を変えたければ、まず自分が変わる」

このアドラー心理学の言葉を胸に、今日から一歩を踏み出してみませんか?

動物医療やケアに携わる皆さんは、日々たくさんの挑戦を乗り越えています。
この文章が、少しでも現場での悩みを和らげ、動物たちとその家族に笑顔を届けるきっかけになれば幸いです。

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いそやん|どうぶつナース
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