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「Who am I ?」 #ネパール旅行記 vol.5
パタン最終日。猫の甘えた鳴き声で目が覚める。外を見ると、なんとポピが子猫と一緒にいる!お母さんだったのかぁ〜しかも3匹も!かわいい。
朝食の時に、宿のオーナーのサンタさんに気になっていたことをいくつか質問してみた。
まず玄関の前の、お祈りの跡の意味。検索してみたんだけど、全然分からなかったんだよね。
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左右の扉の隅と、真ん中にある
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「あれはね、私たちは毎日朝、ガネーシャにお参りをしに行く。その前に、家の前にあるマントラを花で飾る。そうして家と心に、悪いものが入って来ないようにお祈りするんだ。」
ガネーシャ!あのゾウの神様だよね。本で見たことはあったけど、ヒンドゥー教を信仰している国に来たのは初めてで、とっても興味深い。そういう意味だったんだ。
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次の質問。ここから見えるオレンジ色の神様は、どんな神様?
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「ハヌマーンは猿の姿をした神様で、戦いの神だから、フィジカルを強くしたい男性がお祈りするんだ。頭をつけて、こうやって後ろ向きに(ここでサンタさんが後ろにのけぞる)……ほら、あの人!今やったようにお祈りするんだよ。」
ちょうど男性が後ろにのけ反って、手を当てている。確かに言われてみれば、あの神様には男性しかお祈りしていない。おもしろいなぁ、いろんな神様がいるのね。
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親子で来ている人も多かった
サンタさんが、「時間があるなら、仏教について少し教えるよ」と言ってくれた。なんとありがたい。ぜひ!とお願いする。
すると、小さなブッダの像を持って来てくれた。4体が背を向けあって、一体化している。このブッダ像は、この辺りの建物の中心に、必ずあるという。確かにこの宿の入り口にも、同じものがあった。
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4対のブッダはそれぞれ手の形(ハンドジェスチャー)が違う。手を上に向けているのは「知識があるなら分け与える。お金があるなら分け与える。」という意味だという。
うわ、すごい。そうだったのか…!
こういう考え方がベースにあると、個人が所有するとか、そういう発想にはならないよなぁ。みんなで共有していく感覚なのかな、それとも、所有なんて、そもそも幻想なのかも……と想像する。
「スワヤンブナート寺院には行ったよね?寺院の塔に描かれているブッダアイは、全てを見ている。そしてブッダアイの下に書かれているクエスチョンマークのようなものは
「Who are you?」
と問いている。そうしたら心を落ち着けて、深く瞑想をする。そして
「Who am I ?」
と自分に問う。
そうすると自分の向かうべき方向(Direction)が分かる。そして自然とResponsibilityが浮かんでくる」と。
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なんて有難いお話だろう。今まで見てきた寺院や仏教の捉え方が完全に変わった。この時間を作ってくれたサンタさんに、本当に感謝。お礼をたくさん伝えて部屋に戻る。
余韻を残したまま、予約していたアーユルヴェーダを受けに向かう。
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お店に入り、簡単な問診票に記入してから個室に通される。洋服を全部脱いで横になると、木綿の柔らかい布を掛けてくれた。担当してくれたのは細身の若い女の子。足の裏に、オイルをつけた両手をぐーっと当てて、施術が始まった。手のひらが暖かくてすごく気持ちがいい。右足から始まり、次に左足をやってもらった時、右足より痛く感じるな〜と思った瞬間に「力加減は大丈夫ですか?」と聞いてくれた。ここで私は完全に身を委ねることにした。いや、委ねてるんだけど信頼感がグッと上がった。彼女はすごく上手だった。
マッサージを受けながら、今朝教わったことを考える。
「知識は分け与える」
そうだよな、と、やっと言語化出来た気持ちがあった。私は仕事で少し特殊な技術を使っているから、その技術について聞かれたり、先生として教えて欲しいと言われることたまにがある。でも、あんまり簡単に教えない方がいいよ、とアドバイスを受けることがたびたびあった。いわゆる「企業秘密」にする、ということ。
でも私は、聞かれたらなるべく答えることにしていた。聞かれたところで、こんなに手間のかかることをやる人は、早々いないような気もしていた。私はこの技術に辿り着くまでにたくさんの実験や失敗をしてきた。だからこそ、このやり方がベストだと思えるし大切に出来る。そのステップを通ってないと、ただの手間がかかるだけの技術になる気がした。(もちろん企業秘密が悪いという訳ではない。私の場合は、ということ)
でも1番は「教えない」という態度を取りたくなかったんだと思う。私が今まで出会った(素晴らしいな)と感じる人は、聞けばなんでも教えてくれる人が多かった。でもこれが正しいのか、よく分からなかった。アドバイスをくれた人は、みんな私の為を思って言ってくれているのが分かっていたから。でもサンタさんに教わったことから、あぁ、やっぱり知識を分けることは人間の喜びなんだ、と腑に落ちて安心した。
全身マッサージをして貰った後「今からシロダーラが始まります」と言われる。シロダーラは胡麻油のような匂い。ひたすら額の真ん中に垂らしていくのかと思っていたけど、実際は温かいオイルを、左右にゆっくり動かしながら垂らしてくれた。目隠しされているから、頭にオイルが伝う感触や音が、いつもより鋭く感じる。
私はマッサージを受けている時に寝たことは無いんだけど、いつの間にか寝ていてビックリした。シロダーラは、やるたびに深く深くリラックス出来るようになると言われた。機会があればまた受けたい。とっても良い体験だった。
個室の奥にシャワーブースがあり、髪も洗ってサッパリする。
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お腹が空いて、あたりを見回すと、地元の人が吸い込まれるように地下に入っていく。Google mapsで見てみると「momo」のお店だった。momoはチベット料理で、水餃子みたいなもの。半地下のお店の入り口で、大きなセイロでmomoをたくさん蒸している。中は狭く、大きな扇風機が回っている。一つ注文してみると、結構辛かった。でも美味しい。これだけでお腹いっぱいになる。
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壁にかかったカレンダーに、目が釘付けになる。数字が違う。3は似てるけど、4なんか8に見える。頭が混乱して思わず笑ってしまう。ネパールではこんな数字を使っているんだ!いいな〜これ、おもしろいなぁ。
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さて、次はサンタネシュワール寺院へ。ここは世界遺産でも無いし、ちょっと山奥だからあまり観光で訪れる人はいないようだけど、なんだかすごく気になって行ってみることに。バイクタクシーを呼んで向かう。街は砂埃がすごいけど、バイクで走るとやっぱり爽快感があって気持ちがいい。
サンタネシュワール寺院は、ものすごい山道を登っていくところだった。本当にこの道??と何度も確かめる。途中で立派な門があり、そこからひたすら階段を登る。かなり高いところに来た。景色はいいけど、しんどい。疲れがピークに。
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山頂まで登ると寺院が現れた。手を合わせてお祈りをすると、隣にいた優しいお母さんがお線香を分けてくれた。ここに刺すんだよ、と教えてもらう。家族でお参りに来ているそうで、娘さんがココナッツも分けてくれた。本当にみんな優しい。
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この後、とっても素敵な出来事があったのだけど、それはまた、別の投稿で書こうと思う。
宿で荷物をピックアップしてから、次の街、ナガルコットへタクシーで向かう。それが、とんでもない山道だった。右へ左へ振られる上に、未舗装だからガッタガタで、もちろん街灯は無し。今回はまぁまぁ良いホテルをとったから、全然想定していなかった。え、この道を行くの?マジ??って感じで、死ぬかと思った。笑
途中、山に散らばる街の灯りが見えて、それが星空みたいでとっても綺麗だった。こんなに登ってきていたなんて…とびっくり。というかぐったり。吐きそう。早く着いてくれ〜〜〜とずっと思っていた。
タクシーの運転手さんも、帰りも相当大変だろうと思って、予定より多めに支払う。ここまで1時間半ほどで3000rs。申し訳ないような気持ち。
部屋についてテラスに出ると、チカっチカっと登っていく光が。蛍だ…!!点滅するタイプの蛍。その後もしばらく見ていたけど、結局現れたのはこの一匹だけだった。
蛍を見て、外山さんを思い出す。外山さんは、私が大変お世話になったギャラリーのオーナーで、今年の始め、あっという間に亡くなってしまった。そこから亡くなったおばあちゃんやおじいちゃん……と、次々といろいろな人の顔が浮かんだ。良かったら一緒にこの景色を見てください、と心で思う。
今日はなんだか心の琴線に触れることが、たくさんあった。瞑想をして、maishintaの音楽を聴きながら、就寝。
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![藤井 友梨香](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12023138/profile_7d3828f91148717164dd4e9ebc5ac456.png?width=600&crop=1:1,smart)