京都SM官能小説 『縄宵小路』 第3回
第一章「前戯」其の三
「下着も……は……はい……」
下着を着たままだったことも忘れるほど、すでに恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。もう一度立ち上がり、背中のブラのホックに手を回す。ホックが外れると乳房が締め付けから開放された。両方の乳房は支えを失い揺れながら少し垂れた位置で収まった。乳首が高辻の前に晒された。
「顔に似合わずイヤらしい大きな乳首だ。違うか?」
「い、いえ……違いません……」
「そうか、どんな乳首なんだ?」
私に自分の乳首を説明させようとする。
「は、はい……黒くて……大きめの……イヤらしい……乳首です……」
最近まで母乳を与えていた大きな乳輪は色素が濃く沈着してとても卑猥だった。
「続けなさい」
高辻は何食わぬ顔で言う。ブラを制服の上に置くと今度はパンティに手をかける。前屈みになって膝下まで下げ、片足ずつパンティから足を抜くと急いで小さくたたんでブラと同じ場所に置いた。まだ何もされていないのにパンティの股の部分が汚れていたのが恥ずかしかった。私は全裸にされ、ふっくらと隆起する秘部と割れ目も露わになった。
「失礼致します……」
そう言いながら高辻の足元に跪き、先ほどと同じように三つ指をついた。顔を上げて彼を見つめた。
「よし、いいだろう」
高辻は少し勿体ぶる様子に見える。
「優里香は文章が得意だったな?」
「い……いえ……得意……というほどでは……」
想定外の質問に思わず否定してしまう。彼は私の言葉を意にも介さない様子で続ける。
「今日の調教の体験を小説にして投稿しなさい」
「え?……どういうこと……でしょうか?……」
またもや予期しない言い付けに思わず聞き返してしまう。
(いけない……どうしよう……)
そう思い慌てて続けた。
「御主人様……かしこまりました……」
それだけ答えて高辻の言葉を待つ。
「お前の痴態を自分の言葉で世の中に晒すんだよ」
私はその言葉を聞いてこれも調教の一環なのだと悟った。彼の調教はいつも私に新しい世界を覗かせるものだった。新しい悦びを覚えさせ、古い悦びでは満足できないようにする。そんなものの一環のように思えた。
「ありがとうございます……かしこまりました……」
深読みかも知れないが意図を察し、ぎこちなく感謝の意を伝えながら頭を下げる。
「家政婦の仕事と子供との時間は優先させなさい」
不意な気遣いになぜか優しさを感じてしまう。それ以外の自分の時間を使って書くように命じられた。
再度頭を上げるよう促される。高辻が跪く私に近づく。腰を下ろし、持っていた白いレースのような素材の首輪を私の首に装着した。まるでチョーカーのように素敵なデザインだったが、その首輪がただのアクセサリーではないことはすぐにわかった。首輪の後ろにはシルバーの金具にが付いている。高辻はその金具に白いエナメルのリードを繋いだ。
それは私を支配するための道具だった。
(つづく)
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