Sunday’s Book 5 「Show must go on」

★Sunday’s Book★

明日が憂鬱な日曜日に、読んだらほんの少しココロが前向きになれるような
「心の体温が上がる」本をテーマにご紹介します。

<5冊目>
タイトル「プラネタリウムのふたご」
著者:いしいしんじ


エンターテイメントに命をかけた

偉大なプロデューサーは

自身が手がけたショーで繰り返しこの台詞を使いました。


“Show must go on”


何があっても、どんな世界になっても

ショーは続けなければならない


ショーの世界の、信念そのものを表す言葉でした。



「プラネタリウムのふたご」の主人公であるふたごのテンペルとタットルは

サーカス団の一員とプラネタリウムの解説員になります。


サーカスと、プラネタリウム。

どちらも“ニセモノ”の世界。

街になくてはならない、工場や郵便局や学校とは違って

なくても世界は回って行く。


なのに、人々は日々、プラネタリウムに足繁く通い

テントには入れば魔法のような世界にキラキラと瞳を輝かせる。


この作品の中には、それ以外にも

たくさんの“ニセモノ”のおかげで物語が展開していく。


そんな様子を見つめたふたごのうちの1人、タットルは考える。

だまされることは、だいたいにおいて間抜けだ。ただしかし、だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの、笑いもなにもない、どんづまりの世界になってしまう。
「ひょっとしたら、より多くだまされるほど、ひとってしあわせなんじゃないだろうか」とタットルはおもった。


私はなぜ、ファンタジーの本が好きで

夢のようなステージを観るのが好きで

そこに行くと、生きてる!って思えるのか。


きっとその理由は、だまされたいからなのかな、と。



形のない、柔らかい嘘に包まれた、輝きに満ちた世界こそが

私の信じる世界なのだと、教えてくれた、大切な本です。


この世界が、平和になっていくために。

この世界が、笑顔で溢れ続けるために。

この世界が、あったかい体温に包まれていくために。


Show must go on

ショーは何があっても続けなければならない。

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