クレムリン、教会を利用して強制移送したウクライナの子供達の身元を抹消
Euromaidan Press 2024年5月6日の記事の翻訳です。記者:MARIA TRIL 写真:ウクライナの子供Credit: ZMINA
共同調査の結果、ロシア正教会が占領地から強制移送した子供達のウクライナ人としてのアイデンティティーを積極的に破壊していることが判明した。
ロシアの反体制派の学生ジャーナル『DOXA』とオープンソースの『Kidnapping』による共同調査は、ロシア当局がロシアに強制移送したウクライナの子供達をロシア化する上で、クレムリンが支援するロシア正教会(ROC)が果たした役割を浮き彫りにした。
ISW(戦争研究所)によると、DOXAは、「ロシアが2022年にウクライナに本格的に侵攻した初期から、ロシア当局は占領下のドネツク州の孤児院や寄宿学校からロシアのロストフ州に子供達を強制移送し、そこでロストフ州とノヴォチェルカスク州のマーキュリー大司教(イゴール・イワノフ)が子供達を訪問し、彼らにROCについて話し、ROCへの洗礼を検討するよう誘ったようだ。」と言う事を突き止めた。
報告書によると、「ROCの聖職者達はまた、強制移送されたウクライナ人の子供達にROCへの洗礼を受けさせるよう呼びかけ、ロシアの様々な「軍事・愛国」青年団体に参加するよう勧めていると伝えられている。」
DOXAとKidmappingはまた、占領下のドネツク州とルハンスク州から強制移送された子供達が、ヴォロネジ州のROCが運営する保護施設に滞在していることも発見した。そこでは、ROCの聖職者や関係者が、強制移送された子供達のために「軍事的・愛国的」なイベントを開催している。この行事は、「親ロシア・親ROC感情を煽り、子供達をウクライナ人としてのアイデンティティから切り離す」事を目的としていた。
ISWは以前、ROCがクレムリンのウクライナ占領計画の実現に役立っていると評価したが、これはロシアに住む強制移送されたウクライナの子供達をロシア化するロシアの取り組みにも及んでいるようだ。
国際刑事裁判所が、ウクライナの子供達の強制移送を助長する役割を果たしたとして逮捕状を発行した、クレムリン任命の子供の権利委員マリア・ルボヴァ=ベロヴァは、ROCの司祭と結婚していることが明らかになっている。
また、マリウポリから強制移送されたウクライナの子供を、ルヴォヴァ=ベロヴァとその夫が自ら養子に迎えており、ウクライナの子供達の強制移送にROCとクレムリン当局者が個人的に関与していることを浮き彫りにしている。
ISWによれば、このようなロシア化計画によってウクライナ人のアイデンティティを破壊することを意図したウクライナ人の子供達の強制移送は、ジェノサイド行為であるため、「ある集団の子供を他の集団に強制的に移送すること」を禁止する「ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約」の違反にあたる。