プーチンのウクライナ侵攻の最も卑劣な擁護者達
The Daily Beast 4/29/2022の記事の翻訳です。
記者:Mathew Foresta
写真:Luis G. Rendonによるイラスト/The Daily Beast/Getty/Facebook/Twitter/YouTube
プロパガンダの売り手は、ウクライナ、新疆、シリアの真実と抑圧された人々を犠牲にして、現金とフォロワーをかき集める。
誤報は儲かる商売だ。リー・キャンプに聞くといい。
3月、ウラジーミル・プーチンのウクライナへの不法侵攻をきっかけにRT(ロシアトゥデイ)アメリカが閉鎖され、元テレビ司会者の彼は職を失うことになった。しかし、失敗は出来ない:彼らは貧困にあえいでいるわけではない。RTが閉鎖されて以来、彼は資金調達プラットフォームであるPatreonで、フォロワーに寄付をするように指示し続けている。そこには、5ドル、10ドル、25ドル、90ドルと言う単位で寄付をする1900人以上の支援者がいる。彼の支持者のほとんどが一番下の階層にサインアップしていると仮定しても、これは表向きは彼に毎月数千ドル、おそらく年間6桁の利益をもたらすだろう。
世界各地での弾圧や残虐行為を否定してきた自称左翼、反戦、反帝国主義者で、プーチンのウクライナ侵攻に好意的な説をしばしば打ち出してきた人物に対する強力な報酬である。
キャンプは、RT のプラットフォームがなくても多くのフォロワーを獲得している:YouTubeで数万人、Facebookで31万5千人、Twitterで15万人以上のフォロワーがいる。彼は時々、戦争に反対すると主張し、ロシアを穏やかに批判するが、彼の投稿の大半は、より大きく強い国からの侵略に直面しているウクライナを批判している。誤報も多い。彼のリツイートの中には、インターネット上で野火のように広がっている、いわゆる「バイオラボ陰謀論」をほのめかすものがあった。これは、米国がウクライナで生物兵器を製造することに何らかの形で関与しているというもので、広く否定された考え方である。また、彼のリツイートには、彼の失業が「グレート・リセット」に関係しているというものがあったが、これも否定された陰謀論である。キャンプは、マルチプラットフォームのような人物で、RTの死によってYouTubeから多くの動画が削除されたと言うが、今でもチャンネルを持ち、その一部をPatreonに投稿している。
その中で彼は、イラクと大量破壊兵器について正しかった元国連兵器査察官、スコット・リッターにインタビューしている。(注目すべきは、キャンプはリッターが性犯罪者であることに触れていないことだ。リッターは2001年、ネット上で未成年の少女を装った警官に接触して逮捕されたが、集中カウンセリングを受けることを条件に告訴が却下されたとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。2009年には、15歳の少女だと繰り返し発言した潜入捜査官の前でウェブカメラ越しに自慰行為をした事件で有罪判決を受けた。)
インタビューの中で、リッターはウクライナ軍の「全ての旅団」にアゾフの大隊がいると主張した。これは悪名高いネオナチのアゾフ大隊に言及したものだ。アゾフは実在し、ウクライナの極右勢力にとって非常に深刻で懸念すべき存在だが、リッターの主張は誤報である。近年のアゾフの規模は、900人から2500人程度と推定されている。予備役や領海防衛隊を含めると20万人以上の兵力を持つウクライナ軍において、である。ビデオの中でも、リッターはウクライナの極右が前回の選挙でわずかな票しか獲得していないことを認めている(正確には2.5%以下)。極右は社会の他のセクターでは不釣り合いな影響力を持っているが、軍にそれほどアゾフが浸透しているという証拠はどこにもない。キャンプはこの点について決して反論しなかった。その理由を理解するためには、イデオロギーについて少し知っておく必要がある。
左翼界には、"tankies(タンキー )"と揶揄されるグループがある。権威主義を支持し、独裁者を擁護し、人権侵害を否定する少数派を指す。私の経験では、彼らは極左の中でも少数派であり、しばしば軽蔑の対象として扱われる。しかし、彼らはソーシャルメディア上では不愉快なほど声が大きく、支持者を増やし始めている。
私の観察によれば、多くの人がCampism(キャンピズム) - リー・キャンプの苗字と混同しないように - と呼ばれるイデオロギーを支持している。この考えでは、世界は対立する派閥に分かれている。そのため、アメリカに対する批判はしばしば正当化され、彼らは反射的に北京やモスクワを擁護する。また、多極主義に対する極めて強硬な信念もあり、アメリカの覇権主義をしばしば理路整然と批判し、アメリカに挑戦し弱体化させるために、ライバル国が力をつけるのを助ける必要があると考える。これは多くの場合、ライバル国の台頭を助けるために、ライバル国を保護することを意味する。
「侵略を文字通り支持する人の数はかなり限られていると思う。私にとって重要な問題は、西側左翼の支配的な反戦の枠組みが、我々は他の帝国国家に対して何の影響力も持たず、アメリカ/NATOを批判することしかできないと考える世界観と組織戦略を信奉していることだ」と、香港生まれの左翼活動家で作家、ラウサン・コレクティブのメンバーであるプロミス・リーはテキストメッセージによるインタビューで語った。「これは、ウクライナの人々との連帯という純粋に肯定的な選択肢を見出そうとするのではなく、親プーチン的な視点が容認されたり、リベラルな介入主義の戦争タカ派に対する粗野な反動として、紛争におけるロシアの役割を過小評価したりすることを意味する。
リーが特にマズイ面子だと指摘したのは、元RT特派員でミス・ニュージャージーの経験もあるサミーラ・カーンだ。キャンプの在任期間はネットワークの消滅とともに終わったが、彼女の在任期間は2018年に突然終了した。スターリンの強制収容所を称賛する恥ずかしいツイートが騒動を引き起こしたためだ。彼女は後に謝罪した。それ以来、彼女はほとんど学んでいないようだ。
彼女は、世界で最も暴力的で残忍な独裁者の内の何人かの確固たる擁護者だ。9万人以上のフォロワーを持つ彼女は、最近のクーデターで追放された選出指導者アウンサンスーチー氏よりもミャンマー軍(タマドーとして知られる)を支持するとツイートしている。彼女は中国西部におけるウイグル人への弾圧を否定するだけでなく、積極的にそれを嘲笑している。
最近では、「男性を女性化」し「女性を男性化」しようとする人々や、「妻を他の男にヤらせる」男性に対して激怒している。彼女がロシアを愛するようになったのは、モスクワを訪れた時に男性達が彼女のスーツケースを運んでくれたことがきっかけだと言う。彼女は「反betaと反wokeの天国」とロシア国旗と共にツイートしている。つい最近まで、彼女のツイッターのバナーはチェチェンの指導者ラムザン・カディロフの肖像画だった。ウクライナ戦争に関する彼女のコメントには、おなじみのプロパガンダや誤報が散見される。彼女の場合、その一部はトランスフォビア(トランス嫌悪)とホモフォビア(同性愛嫌悪)をかなり含んでいる。
「バイデン、あなたはロシアが相手だと言う事を非常に恐れるべきだ。あなたのthey/them(自認)の軍隊は10分ももたないでしょう」とツイートした。
これは、反LGBTQ諸国への制裁に反対する暴言や、悪名高い暴力的で反同性愛者のカディロフを「完璧な夫、戦士、指導者がひとつになった理想的な男 」と賞賛するなど、彼女のより広範な偏見に満ちたレトリックのパターンに当てはまる。
キャンプとカーンはRTのベテランだが、他の者達はクレムリンのプロパガンダ模倣しており、そのスキルに習熟している。
ベテラン
『The Grayzone』を知る人にとって、同紙が親ロシア派のプロパガンダを広め始めたことは驚くことではない。マックス・ブルメンソールが編集するこの出版物は、独裁者の擁護とその残虐行為の否定で悪名高い。
新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の弾圧の実態に疑問を投げかけるだけでなく、ニカラグアに関する記事を掲載し、拷問によって引き出された虚偽の自白を引き合いに出した。左翼にしては奇妙なことに、ブルメンソールは以前にも極右と関係を持ったことがあり、タッカー・カールソンのフォックス・ニュースの番組に出演したことがある。現在、彼はコロナウイルスに関して右翼的な立場をとっており、ロックダウンは「コロナの蔓延を遅らせる効果はほとんどない」と書いている(ほとんどの証拠は、ロックダウンはかなり効果があることを示唆している)。彼は、ウィル・ウィットやララ・ローガンといった反体制的な人物を集めた反義務化のイベントのスピーカーとして名を連ねている。最近ニューヨークで開催された同様のイベントで、彼は運動に参加している人々を賞賛し、陰謀論を展開し、この問題は左翼対右翼の問題ではないとT: 「私は反戦運動に参加し、何年も帝国主義に反対する組織作りを行ってきた者の立場から、この問題を捉えている。これは人民に対する新たな戦争だと思う。」
「あなたが気付いたかどうかはわかりませんが、我々の企業領主たちが我々を脅して屈服させるための変異種を使い果たすや否や、モデルナの株価がダウ平均株価で下落し始め、マスクが剥がれ始めるや否や、彼らは大衆を大量形成精神病の状態に留め、企業による略奪を続けるための新たな戦争を見つけたのです。」と彼は語った。「この戦争で、彼らはウクライナのバイオラボについて嘘をついている。ペンタゴンの生物学的脅威削減局がスポンサーになっている。そして、彼らが何を言うかと言えば、彼らの仕事はハンター・バイデンの仕事と同じように合法的なものだったと言うんだ。」
ある時点で、彼のスピーチは支離滅裂な暴言に陥った。
「彼らはあなたを反ワクチン、反マスク、トラック運転手、ファシスト、タッカーを見る裏切り者、トラック運転手、ファシスト、タッカー愛好家、反ワクチン、反マスクと呼んだ。彼らの侮辱は全て消え去り、全てがひとつに溶け合う。同じでたらめ、同じ戦争、同じ戦争だ」と彼は言った。
別の例では、私が一緒に仕事をしていた編集者のムハンマド・イドリース・アフマドは、ブルメンソールがダマスカスへの "視察 "に出かけ、そこでバッシャール・アル=アサド主宰のフォーラムに出席した事を指摘した。
ブルメンソールとアフマッドは、ハラスメントを含む様々な事で相手を非難しており、互いに敵対的な関係にあるようだ。とは言え、ブルメンソールの行動を不名誉なものとするこの記事の描写は、経歴とよく合致している。彼の出版物『The Grayzone』は、アサド政権が自国民に化学兵器を使用したことを一貫して否定してきたが、実は使用していた。ブルメンソールは、シリアの民間人の絶望的な行動を嘲笑的に模倣するために、自分で頭に袋をかぶってその考え自体を茶化す事さえしている。彼の過去の主張のひとつは、罪のない人々の救助活動で有名なホワイト・ヘルメットはアルカイダに過ぎないと主張したが、これは徹底的に暴露され反論されてきた陰謀論である。ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』誌に掲載されたレポートによると、ブルメンソールが以前のアサド政権批判から奇妙な方向転換をしたのは、2015年にRTの記念日を祝うモスクワのイベントに参加した後のことだった。
現在の紛争に関する『The Grayzone』の記録は、今のところあまりよくない。2月15日に投稿されたロシア外交官ドミトリー・ポリャンスキーとの屈辱的な長いインタビュー動画で、ブルメンソールはゲストがロシアの侵攻計画を否定した際に、何の疑いも示さなかった。その11日後、ブルメンソールは 「ウクライナの正規軍 」は 「打ち負かされた 」とツイートした。ウクライナの軍隊が非常に効果的に戦っているという事実に照らせば、非常に恥ずかしい事だ。彼はまた、タッカー・カールソンを鼻高々に擁護し、バイオラボ説を効果的に展開した。ロシア当局はこれに注目しており、ブルメンソールのツイートはポリャンスキーと同僚の外交官アレクサンダー・アリモフの双方からリツイートされている。シリアの戦争犯罪を否定したのと同じように、『The Grayzone』は、ロシア軍がマリウポリの劇場を爆撃し、市議会の推定で300人もの死者を出したという主張を否定している。
『The Grayzone』は、ロシア国防省の考えを反映し、爆撃がアゾフ大隊による偽旗である事を強く示唆しているが、疑わしいロシア語のテレグラム投稿やクレムリン支持団体が収集した散発的な情報など、極めて薄弱な証拠しか提示していない。
彼らの議論における明らかな虚偽は、ロシアはマリウポリの劇場を空爆する事で軍事的に得るものは何もないと言う点だ。表面的にはその様に見えるかもしれないが、最近シリアでロシアの爆撃によって多くの市民が犠牲になった事についても同じことが言える。どちらの場所でも、民間人への爆撃は敵の住民を威嚇し、戦意を喪失させると言う目的を果たす。リーも学者のリリー・ハムールツィアドゥも、ウクライナでの民間人犠牲者についてロシアが否定している事が、シリアについての明らかな虚偽といかによく似ているかを指摘している。ロシアが空爆を少し控えているとの情報もあるのは事実だが、国連はこの紛争で数千人の民間人が死亡したと推定しており、そのほとんどが砲撃と空爆によるものだ。中東におけるロシアの最近の民間人殺害のパターンという重要な背景は『Grayzone』の記事には取り上げられていない。
アメリカの行動に対処する場合には、彼らがこの様な見落としをするとは考え難い。
キャンプと同様、ベンジャミン・ノートンもPatreonで資金調達に成功し、特にTwitterで多くのソーシャルメディア・フォロワーを獲得している。元『Grayzone』編集長で、現在は『Multipolarista』という自身のウェブサイトを運営しているノートンは、ロシア軍がウクライナに与えてきた被害を否定している。2月25日、彼はこんな投稿をリツイートした: 「ロシアとアメリカの軍事作戦の顕著な違いは、ロシアが軍事施設や兵器をほぼ独占的に標的にしているのに対し、アメリカは学校、病院、ダム、浄水場などの民間インフラを意図的に標的にしていることだ。」
シリアとチェチェンの両方から広く入手可能な証拠を考えれば、これはノートンが何十万人ものフォロワーのためについた、明らかで実証可能な嘘である。ノートンの論評は、目に余る偽善的なものでもある。
「アメリカは200年前に植民地主義を唱えたモンロー主義を引用して、積極的な介入政策を正当化し、ラテンアメリカとカリブ海諸国を中国とロシアに対する新たな冷戦の重要な戦場に変えた」と彼はツイートした。
どうやら彼は、アメリカの不当な近隣諸国支配に対する世界中の怒りを理解できるが、東ヨーロッパではロシアに同じ基準を適用できないようだ。
ノートンはしばしば同じ論調を繰り返す。彼は1956年のハンガリー革命の指導者達を「ファシスト・ホルティ派」と呼んだが、イムレ・ナギのような指導者達が長年の共産党員であったことを考えれば、馬鹿げた主張である。ここで、"tankie "という言葉の語源が、ハンガリー蜂起を鎮圧するためにソ連軍の戦車を送り込む事を支持した人々にある事を覚えておくと役に立つ。ノートンは古い考えの人間だ。
ウクライナについて語る時、彼はしばしばウクライナにおける極右の影響力と程度を誇張する。公平を期すため、彼のビデオの中には極右の得票率が小さいといった事実を認めるものもあるが、ロシアのファシスト、アレクサンダー・ドゥーギンがプーチンに与えた多大な影響を無視する一方で、彼は依然として極右に過大な焦点を当てている。ウクライナで戦っている白人至上主義のロシア人傭兵についても、彼はあまり触れていないようだ。
『The Grayzone』、ブルメンソール、ノートンがしてきた事とは裏腹に、彼らはキャンプから賛同のツイートを受けることが多く、これはこれらの人物が一種のコミュニティーを形成しているように見えることを物語っている。多くの場合、それは共有されたイデオロギーに基づいている様に見えるが、より形式的な場合もある。
絆を結ぶ
ダニー・ハイフォンは作家であり、ポッドキャスターであり、前述の伝統に基づく権威主義体制の擁護者である。
『社会主義中国の友人』の共同編集者である彼の主張の存在意義は、現代の中国共産党を擁護することにあるようだ。完全に情報開示するため、私は以前にも公に中国政府を批判したことがある事をここに記しておく。電子メールのやり取りの中で、彼は複数の問題で中国が成し遂げた事を誇示した。
「私が中国に多くの時間を費やすのは、アメリカが世界で最もプロパガンダに晒されている国であり、文字通り人類の将来を左右するような問題で世界をリードしている国に対して多数の人々が否定的な見方を持っているからだ」と彼は書いた。
コーダ・ストーリーが指摘したように、ハイフォンは新疆ウイグル自治区での残虐行為を明確に否定している。彼はその事実を否定するのではなく、正当化している。キャンプが行ったインタビューの中で、彼は新疆強制収容所での性的暴行について公に語ったウイグル人女性、トゥルスネイ・ジアウードゥンの話は信じるべきでないと激しく暗示した。他の女性達が彼女の話を裏付けており、そこに根深く恐ろしいレイプ文化が存在することを示唆しているにもかかわらず、である。
『The Daily Beast』紙への電子メールの中で、ハイフォンは、ジアウードゥンがBBCに語った話は彼女の他のインタビューと矛盾している事、彼女は全米民主化基金から資金援助を受けている団体によって再定住された事、そして 「彼女が現在行っている主張は更に調査されるべきである 」と主張している。
BBCの報道は実際にこの点に触れている。「ジアウードゥンは以前にもメディアに語った事があるが、それはカザフスタンからで、そこでは“中国に送り返される事を常に恐れて生活していた”と語った。彼女は、自分が経験し目撃した性的虐待の程度を明らかにして新疆に送還されれば、以前よりも厳しく罰せられるだろうと考えていた。そして彼女は恥だと思っていた。」
虚偽のレイプ疑惑は非常に稀である事を更に指摘しておく。左翼の男性であるはずのこの人物が、疎外された女性をこの様にあっけらかんと切り捨てるのを見るのは、むしろ衝撃的だった。率直に言って、女性差別の極みである。
ハイフォンのサークルでは、同じ人物がプラットフォームで互いを持ち上げ合っているのをよく見かける。ノートンは3月10日、『社会主義中国の友人』のハイフォンとカルロス・マルティネスのインタビューを受けた。2021年1月、『The Grayzone』はハイフォンがライブストリームに出演し、ブルメンソールとノートン2人がホストを務めると宣伝した。ハイフォンはブルメンソールとノートンを尊敬する友人だと認めており、最近ではリッターのツイッターが停止された事に憤慨している。2021年10月、『社会主義中国の友人』は、ノートン、ハイフォンとCGTNの司会者兼ソーシャルメディア・パーソナリティーのリー・ジンジン招いてウェビナーを開催した。
リーは最近、AP通信によってプロパガンダを推進するインフルエンサーとして特定され、そのアカウントは、しばしば一貫して中国国営メディアと分類されている。
「侵略が民主主義に対する大胆な攻撃として非難されている間、リー・ジンジンは彼女の2万1000人のYouTube登録者に異なる物語を提示し、ロシアのプロパガンダを模倣し、誤解を招く主張を広める動画を投稿した」と記事は述べている。「YouTubeでリー・ジンジンは、自分は "旅行者"、"ストーリーテラー"、"ジャーナリスト "だと言っている。しかし、彼女はCGTNの記者であることを明かさず、彼女自身の見解だけでなく、お馴染みの中国政府の見解を述べている。」
リー・ジンジンは、中国政府が世論形成に取り組んでいる様子を詳述した『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事にも名前が挙がっている。彼女のソーシャルメディアでの存在感は大きく、フェイスブックではなんと250万人以上のフォロワーがいる。彼女はしばしば自身のYouTubeチャンネルを使って、中国共産党の立場に配慮したかわいらしい旅行ブログを発信している。彼女は新疆ウイグル自治区で楽しそうに歩き回り、おしゃべりをし、食事をしている。メッセージは明快だ。全てが順調で、人々は幸せだ。この種のメッセージは、他のジャーナリストからも、彼女特有のプロパガンダの手法ではない(つまり中国共産党がよく使う手法である)と指摘されている。『Vice』や『Frontline』が紹介した新疆ウイグル自治区の映像は、彼女とは全く異なる物語を伝えている事を考えると、リーのvlogは更に恥ずかしい物となっている。
最近、リーが自身のYouTubeチャンネルでノートンにインタビューした際、彼女はロシアに対して最も穏やかな批判を行った。しかし、ノートンが「ウクライナは2014年のマイダン革命で政府が転覆したため主権国家ではない」という奇妙な誤報を流した時、彼女は反論しなかった。道義的にも国際法上も、ウクライナが2014年に主権を失ったと主張する事はできない。ノートンがインタビューで主張しているように、マイダン後の政権が「傀儡」であったと考えるとしても、ウォロディミル・ゼレンスキーが率いる新政府は2019年に圧倒的多数で選出された。リーはコメントの中で、自分はどちらの側にも立っておらず、「多くの主流メディアや政府が語っていない文脈 」を伝えているだけだと主張している。露骨な親ロシア偽情報の拡散を容認する事は、そのような自称中立性を示すおかしな方法だ。
ノートンとのインタビューでもハイフォンとのインタビューでもリーが触れていないのは、彼ら全員が 「対中プロパガンダ戦争 」を嘲笑する思想的な声明の共同署名者としてリストアップされている事だ。その(声明)文書はこう嘆いている: 「新疆ウイグル自治区での大量虐殺や強制労働に関する根拠のない非難が、パンデミックの起源に関する陰謀論と共に、西側のメディアや政府に延々と繰り返されている。」
また、最近の独立調査機関が、中国がウイグル人に対する人道に対する罪と大量虐殺を犯した事が判明した事にも注目すべきである。衛星写真、個人の証言、新疆ウイグル自治区で行われた調査報道など、証拠は膨大である。
「このソフトなロシア謝罪主義とウイグル人虐殺否定の関連性は、私が先に指摘した問題、すなわち、西側左翼が帝国主義的主体が他にも存在することを理解できず、キャンピスト的な世界の分断によって、帝国主義がどのように機能し、様々な国民国家がグローバル帝国主義の同様のシステムや手法にどのように関与しているのかについて、人々が完全に誤解している事に起因している」と、(ウクライナの左翼)プロミス・リーはテキスト・インタビューで私に語った。
リー・ジンジン、ノートン、ハイフォンの3人は、『社会主義中国の友人』の声明の署名者30人の内の3人である事を考えると、彼らがこの事を忘れているとは考えられない。個人のチャンネルでさえ、彼女はジャーナリストであることを前面に出しており、彼女のVlogはジャーナリズム番組のような雰囲気がある事を忘れてはならない。透明性に全く欠けており、リーが関連するインタビューでこの声明に言及しないという事実は、ジャーナリズム的な倫理観とは解釈できないと私は思う。ハイフォンは、これは欺瞞的で非倫理的であると言う私の批判から、彼のツイッターのプロフィールに『社会主義中国の友人』との関わりが明らかになっていると述べて自己弁護した。
ハイフォンは新疆ウイグル自治区での弾圧を否定するだけにとどまっていない。彼はまた、バイオラボに関する誤報を含め、ロシアの侵略正当化に沿ったおなじみのプロパガンダを展開している。彼はこれを否定しない。キャップと同様に、彼はPatreon.で金銭的な報酬を得ている。
「税金を差し引くと、ニューヨークの生活費を満たすのに必要な収入をはるかに下回る」とハイフォンは電子メールのインタビューで主張した。
それでも、彼のチャンネル登録者は450人以上で、それは悪い事ではない。彼はチャンネル登録者数の増加に興奮しており、チャンネル登録者が自分の活動に不可欠だと考えている。「新しい購読者に感謝します。今月の目標である410人に到達しました。自活できる能力を身に付け、現地での分析を行うために中国やその他の社会主義諸国への旅行を計画しています。応援して下さい!」とツイートしている。
ハイフォンとキャンプのチャンネルの動画について、YouTubeはポリシーに違反していないと言った。
「一般的に、私達はウイグル族に対するものも含め、暴力を扇動したり憎悪を助長したりするコンテンツを禁止するポリシーを制定しています。すでにお伝えしたように、私達のチームはウクライナの戦争に関連する暴力的なコンテンツを削除するために迅速に取り組んでおり、私達のポリシーに違反しているとして1,200以上のチャンネルと30,000以上の動画を削除しました」とYouTubeの広報担当者は電子メールで言った。
メタ(フェイスブック)は、偽情報に対する積極的な対策をとっていると主張した。
「私達は、世界中の主張をファクトチェックする80以上の独立したパートナーからなる業界をリードするネットワークを含む幅広いツールを使用して、誤情報に対抗するための広範な措置を講じています。政府の編集統制の下にあるメディアにはラベルを付け、人々が見るニュースコンテンツの情報源をよりよく理解できるようにし、誤った情報を繰り返し投稿したり、当社の規則に違反したりする広告主が、当社のプラットフォームで広告を掲載できないようにしています」と、メタ(フェイスブック)の広報担当者は電子メールで述べた。
ツイッターは、中国、ベラルーシ、ロシアの国営メディアとしてアカウントのラベル付けを強化し、悪質な行為者を削除し、ツイッターモーメントで「信頼できる情報」を厳選し、不正なシナリオを監視していると主張している。Patreonは、表現の自由と安全性のバランスを追求するため、"誤った情報がすぐに人々を傷つける可能性がある場合 "にのみ、このプラットフォームはアカウントに対して行動を起こすと述べている。特にCOVID-19とQAnonの偽情報を禁止しているが、この方針がウクライナや新疆ウイグル自治区否認主義に関する不誠実さに適用されるとは述べなかった。
「誤報に関しては、私達は2つの責任のバランスをとっていることに留意しています。1つ目は、プラットフォームを利用する人々の表現と生活を守ること、2つ目は、プラットフォームを利用する全ての人々のためにプラットフォームを安全に保つことです」と、Patronの担当者は電子メールで述べた。
私がCOVID-19に関する『The Grayzone』とマックス・ブルメンソールの発言の一部を指摘したところ、信頼と安全チームは "資料を確認し、判断する "と述べた。現在のところ、『The Grayzone』のPatreonはまだ稼働しており、800人以上の寄付者がいる。最近のインタビューで、ブルメンソールは『The Grayzone』がロシアや中国を通じて国家資金を受け取っていることを否定し、次のように語った。「まあ、Patreonで多くの支援を得ていることはご存知の通りです。Patreon以外で私達を支援してくれる人は、基本的に進歩的なメディアを支援する進歩的なアメリカ人である私の個人的な友人のようなものです。」
この記事に関する質問のリストを電子メールで送ったところ、明らかに怒ったリー・キャンプは、それらを「質問に見せかけた、明らかに虚偽で中傷的な発言」と呼び、答えなかった。また、カーンは私にInfraHazという名前でツイートしている彼女と関係のある別の親ロシア派のネット・パーソナリティーと連絡を取るよう指示した。彼女は送った質問には答えなかった。
リーはまた、資金提供や編集の独立性、ノートンやハイフォンとの親密な関係についての質問にも答えなかった。その代わりに彼女は、中国は不公平な見方で描かれていると考えており、新疆での弾圧を自分の目で見た事がないと返信した。彼女は、誤った情報を流しているのはアメリカ政府、主流メディア、そして "分離主義者グループ "だと述べた。これもまた、ウイグル人に対する弾圧が非常に現実的であることを示す証拠がとても多い事とは対照的である。
ノートンとリッターに、この件について何度も連絡を試みたが、返答はなかった。
一方、ブルメンソールは、私のメールのスクリーンショットをツイートし、その質問は 「動揺したネオコンのヘイトメールか、マッカーシー時代の検察官の質問のようで、延々と続く 」と書いた。
ツイッターで何人かが指摘したように、私が倫理的な事をして彼に返答の機会を与えなければ、ブルーメンソールはおそらく激怒するだろう。このコラムで述べた事について彼に質問することが、ある種のマッカーシズム、ヘイトメール、あるいは新保守主義を意味するという彼の考えは、馬鹿げている。私の報道はこれまでもアメリカの外交政策に批判的な目を向けてきた。だから、彼に対する私の問題は、彼がアメリカを批判した事ではなく、彼の無責任で非倫理的な行動、反動主義者との馴れ合い、抑圧された人々に対する軽蔑の態度、、そして暴君の靴を絶えず舐めている事にある。
この様な人々を変人扱いするのは簡単かもしれないが、彼らは数万、場合によっては数十万のフォロワーや寄付者を獲得している。おそらくもっと重要なのは、彼らは長い悪行の歴史にもかかわらず影響力を獲得してきたということだ。実際、最近の「社会主義中国の友人」ウェビナーで講演したのは、他ならぬブラジルのディルマ・ルセフ元大統領だった。
私は以前、公の場でこれらの人物の多くを批判してきたが、私自身の不満が問題なのではない。本当に苦しんでいるのは、ウクライナ、シリア、新疆ウイグル自治区の人々なのだ。彼らの話や嘆願は、誤った情報に照らされて無視されがちだ。ウクライナの左翼プロミス・リーが提唱する嘆願は、東欧諸国の対外債務を帳消しにするために戦うよう人々に呼びかけるものであり、私達は耳を傾ける。
結局のところ、この様な努力こそが、こうした偽情報の売人が、大手テクノロジー企業に後押しされ、民間人の頭上に落ちる爆弾を否定し、侵略戦争で前進する戦車を正当化し、抑圧された人々が支配されるのを手助けたりする事を妨害するものなのだ。
著者マシュー・フォレスタは作家でありジャーナリスト。彼の作品は、USA Today、HuffPost、VICE、Los Angeles マガジンに掲載されている。
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