愛しのワンダーズ一(浴室の密儀)
愛しのワンダーズ一 浴室の密儀
鶴岡の整体院を閉じるのに夏の間かかってしまい……というのも性管理する女たちの猛反発を喰らったからだった。保健所やら警察やら駆け込むと脅迫されるのも一度や二度ならず、真理恵と合流したのはとうとう十五夜のことでマンションのベランダから仲良く月見団子を食べる後ろから、豊三がハアハアうるさい。おのれ豊三にまんまと犯されてしまった門前仲町の一LDKでは、居間にその豊三と二人寝で暑苦しいったらありゃしない。早くこいつを殺して二人のハネムーンと洒落込みたいものなのだが、しばらく生活して気がついたのは、二匹の変態を噛み合わせることで、微妙なバランスをとっているのではないか?猛獣使いだ。
真理恵の朝は早い。五時頃起きて清澄庭園を越えていく。平安の名歌人有原業平が伊勢物語に詠んだ「名にし負はば いざ言問はむ都鳥、わが思ふ人はありやなしやと」はあの辺だろう、隅田川に掛かる言問橋辺りを折り返し一◯キロ程度のランをする。途中にスピードや坂登りなんかもやり、こちらは平安ではなくいざ鎌倉という日のために余念がない。豊三は、真理恵の額に吹き出す汗を、ほんとは舐めたいのにタオルで拭く。サイドがメッシュですっかり透ける上に汗で肌にピッタリ貼りついたランパンやブラトップを頭や顔に被り「おおー」とか奇声を上げながら脱がしていく。真理恵はなんの頓着もなく無表情だ。ハムエッグ、ブロッコリー、トマト、キャベツを欠かさない。バタートーストに熱々のミルクコーヒーを真理恵は一気に平らげるのだが、豊三手製だからわたしは食べない。
朝食が終わるとわたしは真理恵のコンディショニングに入る。これが重要なのだ。浴室はマットを敷き、暖かなシャワーを流して室内を温めてある。脱げば女豹の肉体を持つ真理恵を座らせ後ろ抱きにする。頭上からトロトロ温水を黒く太く艶やかな髪に流す。フットボール型をした頭蓋骨を揉む。後頭部、側頭部、頭頂部、前頭部、首の筋肉の張りが素晴らしいから唇を這わしてやる。その間も少しも絶やさないよう、手に収まる両乳を揉みほぐすと乳首がツンと上を向いて可愛い。真理恵の股間はわたしの右大腿で割られており、秘所への圧迫と弛緩を繰り返していると、突然そこがぷっくり膨らみ割れ、と同時にひたひた愛液が漏れ始める。はじめは失禁したのかと思うほどにわたしの腿から股へと滴り落ちてくる。真理恵の喘ぎは次第に大きくやがて絶叫するので「ああああ、いいもっともっとして。もっともっとー」が浴室にこだますることになり、このままでは近所の噂になってしまう。そこで女豹の首を後ろへねじり唇を奪い、すでに求めるところを求める舌を吸ってやると 「いいもっともっと」が「いぎもっどもっど」とくぐもり、さらに真理恵はヒートアップしていく。わたしは後ろから腰を迫り出し、両膝を真理恵の腿の間へ滑り込ませ大きくM字に開脚させ、軽やかな肉体をそのままわたしの上に乗せてやる。陰核に指を添え抑えると軽快に律動する。すでに骨盤の角度を前後に変えながら自ら心地よい刺激を調節しているのだ。ぱっくりと開いた膣へ挿入してやると、単に開いているのでは無く弛緩と収縮を反復しながら奥へ奥への誘うのである。
――ああ狂ってしまいそうだ
たちまち射精しそうになる。そこで少し抜き、今度はただ抑えていただけの指を前後動させてアクティブな刺激を真理恵の陰核に加えていくと
「ああもうダメダメダメ、逝っちゃうよ。いぐいぐいぐー」女豹は、わたしの口の中で絶命の悲鳴を上げガクッと堕ちた。
朝の浴室の密儀は、真理恵の全てを解放することが目的なので、すぐさま肛門と直腸を開きにかかる。対面位に変化し、女には仰臥位で骨盤を上に傾け穴が全て上を向くように体位をとらせる。あぐらをかくわたしの上に腰を乗せてM字開脚させるのだ。下腹にシャワーを当て冷やさないようにしておいてから、肛門によくよくローションをなじませ、揉み解すと次第に柔らかくなり、指を入れて直腸の内部をなぞっていく。この段階では朝の排便で残った残渣が襞にこびり付いている。そこでシャワーヘッドを外してノズルを少し入れトロトロ一○秒ほど維持するとおよそ半リットルほども注入されるので、再びローションを手にいっぱい馴染ませ三本指を小さく纏め入れて内部を優しくなぞると更に開き始める、湯と剥がれ落ちた残渣が噴き出るので、その隙に手を小さくして入れると、調子がいい時は手首までスルッと入る。そこで一気にフィストに入るようなことはせず、ノズルからもっと強めの水流を流し込みすっかりきれいにするのである。わたし自身の棒をよく洗いローションを馴染ませ滑り込ませる。全体にゆるく開いている。
浴室は蒸気に曇り真理恵の表情は読み取れないが、すでに意識は朦朧としているのだろう。「ああーんううーんひー」など脈絡のない音が響く。抽送を続けると力が抜けた「ふわーん、あーん」といった吐息に変わり、さらに単純な抽送を続けると、M字の足を伸ばしわたしの腰に絡み付ける。一旦グリップを得るとスルッと胡坐の中に滑り込んできて、棒の先を直腸の一番奥に当ててロックする。こうなるとわたしはもう逃れようがなく女の望むがままなのだ。「うーんうわっいいいい、もっとおまんこ、おまんこして」など口にするのも憚られる下品な言葉を連発、腰をグラインドしながら白目を剥いて失神する。
――この女は逝くのが速くて助かる。絶頂を調整するようになったら、調教どころの騒ぎじゃないわ。
わたしは立ち上がり洗剤で自分をよく洗う。足下に伏せる女の上に容赦無く、落水が滝壺を目がけるように落ちていく。わたしはしゃがみ女の髪を鷲掴みにして頭を起こす。夢か現か定まらない女の上下の唇に亀頭の先をねじ込んでいくと、反射的に口を開くので一気に喉の奥まで犯すと、はじめ咽せ嘔吐もするが構わずそのまま犯し続ける。やがて真理恵は清明な意識を取り戻し、男に奉仕するための合理的な体勢に変化する。横にいざり湯船に背を固定し大きく股割りした体位になるのだ。つまり背水の陣である。後ろ髪を掴みのけぞらせ、口と咽頭と首が一直線になり、上から落とし込むように深くまで犯す。抽送をせず男女ともひたすら静止して瞑想を愉しむ。この瞬間に真理恵の精神と肉体が宇宙に向け解放されるのだ。
やがて男根を吐き出した女は横座りになり、改めて咥え直し尿道孔をチロチロ舐め亀頭を含み、裏筋から奥へと入っていく。右睾丸を含み引っ張るかと思えば、左睾丸を吸引して奥から引っ張り出し口の中でグリンと回す。更に背面位へと回転し、のけ反りながらそして上を見上げながら後ろへと突き進んでいく。背面跳びで鍛え上げた真理恵のこの肢体には何度見てもぞくっとさせられる。少し股を開いて立つわたしの肛門へ到達すると舌を入れたり吸ったりして……
――ああもうダメだ狂いそうだ
後ろから戻った真理恵は狂ったようにペニスを吸いながら激しい前後動を繰り返し、目がチカチカして耐え難くも暴発する瞬間に、女は暴発銃を吐き出し手に持ちしごく。一瞬正気を失う感じがしてドクドク身体が不随意に脈打ち強直する。へなへなと腰が砕け、ダメだと観念するその刹那真理恵がしっかりと抱きつき支えてくれている。
――なんという素晴らしい女になったものだ
ジーンとする頭のどこかで自分が叫ぶ。
気がつき真理恵を見下ろせば女の顔は練乳をかけた苺のように愛らしいので、わたしも腰を下ろし口付けし固く抱きしめる。すると外でちんちん音がする。しびれを切らした豊三が鍋を叩き早く出ろと急いているのである。手早く真理恵を浴槽に沈め、顔を温水で清めると、せがむ口づけを無視し外へと送り出してやった。
愛しのワンダーズ二「みっちゃん殺人事件」 へ続く