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子供と痴漢

このタイトルでどのくらいの割合の人がどのようにお考えになっただろうか。

おそらくほとんどの人が、「子供が痴漢の被害に遭う」を想像したのでは、と筆者は推測しています。
私も下記のような経験がなければ、同じように考えていたでしょう。

その前にひとつ、子供用の性教育本をご紹介されている素晴らしいNOTEがあります。
お子さんのいる親御さんにオススメです。


さて本題の「子供と痴漢」であるが、

この話は

子供が大人と同じような痴漢行為を働いていた

のを目撃し、私も含めその場にいた数人の女の子が被害に遭った話です。
スカートめくりやズボンおろしとかそういったたぐいのものではありません。

中学生だったある日、私は友人と三人で、地元の本屋さんへ立ち読みに行こう!となりました。
当時はまだスマホは販売されておらず、もちろんピッコマのような漫画が読める無料アプリも無い時代で、本を買うお金もそんなに無かった私達は、立ち読みで節約していたのである。


お店へ行くと、既に各コーナーに立ち読みをしている人がチラホラ。
私達は各々好きな漫画のある場所へ向かいました。
友人達は「りぼん」と「なかよし」、私は「マーガレット」のコーナーで漫画を読み始めました。

一時間程読み耽っていると、視界の端でなんだか隣の女の子がソワソワしている事に気づく。
不思議に思いながらも「花より団子」の次の巻を手にとって本を開いた。

その瞬間、お尻にサワっと何かが触れた感じがして、振り向いてみると一人の少年が通りすぎた。
なんだ気のせいかと思って、漫画の世界へ戻る私。でも数分後にまたお尻に感触が。後ろを見ると同じ少年が通りすぎていた。
怪訝に感じて、少年をよくよく見てみると、彼が通った後には必ず女の子が振り向き首をかしげ、通り過ぎた少年の後ろ姿を見ている。

そして目撃した。
少年が手のひらで少女のお尻をさっと触って、それからすぐ自分のポケットに手を突っ込んだのを。

そしてそのままジャンプやサンデーの漫画が並ぶコーナーへと去っていった。
すぐに私はなかよしのコーナーにいる友人達の元へ。
小さな声で聞いてみる。

「触られた?」
「触られた。ユリエも?」
「うん」
「多分ここにいる子ら皆触られてるんじゃない?」

少女コミックのコーナーにいたのは、わたし達以外全員年下の少女だけだった。
会話が聞こえたのか、小さく頷いている子がいた。

「あの子が?まだ小学生4年くらいやのに・・エグいな」
「どうする?」
「二回来たくらいやねんから、絶対もう一回来るやろ」
「私あいつ、こけさせたる」

もしもう一度少年がこちらにやって来て痴漢を働いたら、懲らしめようと言うことになった。
本来こういう時は、店員さんに伝えて対応してもらうべきなのだか、3人共無意識に「きっと信じてもらえない」と考えていた為、自分達でなんとかしようとなったのだった。あとは若さによる無謀か。

私はもうお尻は触られたくないと、本棚に背を向けて立つ。
私は気づいているぞ、と示したつもりでもあった。
さすがにそれなら触る度胸は生まれないだろうと子供ながらに考えて。

また少年がやって来た。
今回は前を向いて立ち読みしていたので、彼がこちらへ近づいてることにすぐに気がついた。

私の前を通り過ぎる。
彼は、触った。一瞬だが手の甲で撫でる様に。偶然手が当たるはずの無い場所へ。

驚きで開いた口が塞がらなかった。その一部始終を私の友人も見ていたようで、友人も同じようになっていた。

私より頭一つ小さい少年は、顔を顰めた私の顔は見えない。

他の女の子のお尻も通るすがら触っていく。
三度目はもう手をポケットの中にすら入れていない。犯行がエスカレートしていたのは明らかだった。

少年は誰にも気づかれていないと思っていたのだろう。

友人がその場にいた女の子達をこれ以上被害に遭わないようにするため、勇気を出して少年を転ばせた。
それは見事なこけっぷりだった。
一斉にその場にいた人達が少年を見る。
注目を集めてしまった彼は、慌てて立ち上がり足早に本屋を去って行った。

少年が去った後、その場にいた少女達は友人へ感謝した。
「怖くて抜け出せなかった」
「気のせいだと思うようにしていた」
「どうすればいいかわからなかった」

彼女たちが言った言葉である。

私が10代の頃の「性教育」なんて、今の世代からすると多分「めしべとおしべ」レベルだろう。
それにタブー視もされてもいた。
誰が唱えたのか「知識を与えすぎると早熟してしまい、子供に悪影響がある」と言われていた。

人間は物心付いた時点から本能的に、性に関してステージを踏みながら興味を覚えるものだと、私は考えています。

身を守る、お互いの身体の構造を知る、身体の大事な所は他人ひいては家族であっても触らせない(触らない)、もし触られたら信頼出来る人に相談する、などは幼少の頃から教えるべきなのだ。
年齢が上がると共に内容を変えていきながらしっかりと。
でないと誤った情報が書かれているものを正しいと思ってしまいかねない。

それに、魔の手はこちらの都合など考えない。

もし、少年が冒頭で紹介したような性教育を受けていたなら、痴漢は働かなかったのではないか。

行動から考えるに、少年は自分が「痴漢をしている」と自覚はあったと思う。
10歳そこらで痴漢行為を働くには、家庭環境がかなり特殊か、彼自身が特殊な可能性が高いのでなんとも言えない所はある。
あるが、それでも10歳なりの理性が働いて、「これは駄目な事なんだ」と自分自身の欲望を止められていたかもしれない。

今、少年はどうしているだろう。
真っ当に生きていてくれている事を願うばかりです。






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