宮島のゲストハウスで働いた話<長期休館編・世界最高レビューのゲストハウスを巡る>
私が働いていたゲストハウス、バックパッカーズ宮島では毎年、冬の閑散期には1ヶ月間の休館をしていました。
2017年の休館期間中で、私は、Hostelworldという予約サイトで最高レビューを獲得し、表彰されたゲストハウスに泊まりに行くことにしました。
長い記事ですが、ゲストハウス熱を表現するには短いくらいです…
Hostelworldについて
Hostelworldとは、ホテルではなくホステル(日本ではゲストハウスと呼ばれる形態の宿)の予約に特化した予約サイトです。
2022年現在は、海外の予約サイトといえば、Booking.comやExpedia、Agodaが優勢だと思いますが(ゲストハウスから高級旅館まで幅広いですからね)、2017年当時はまだまだHostelworldが最も信頼できる海外の予約サイトでした。
実際、バックパッカーズ宮島で働きはじめた頃、Hostelworldからの予約が最も多く、Hostelworldでのお客様からの評価を重視していました。
Hostelworldの賞について
そのHostelworld、毎年Hoscar(「ホスカー」アカデミー賞のオスカーに掛けていると思われる笑)という独自の賞を贈っています。登録している世界中のゲストハウスが対象で、詳しい評価方法はわかりませんが、レビュー点数だけでなく、レビュー数や宿泊者数ももちろん含まれていると思います。
賞は、収容人数の規模や地域、清潔感、スタッフ、コストパフォーマンスなど、複数の部門にわかれています。
Hoscar受賞の宿を巡る旅を思いつくまで
Hostelworldでの評価アップに躍起になっていた当時、このHoscarを受賞した宿のレビューを見漁っていた私は、気が遠くなる気持ちでした。
バックパッカーズ宮島は、スタッフ評価に関しては満点になることもあるくらい、評価が高いと自負していました。しかし、表彰される宿はどれもこれも、レビュー数が10倍以上もあるのに、どの項目においても高評価。ほぼ満点をたたき出している宿もあります。
一体どんな秘密が・・・
「泊まってみたいよね。潜入捜査したいよね」
そう口にした瞬間、
「そうか、泊まってみれば良いんじゃ!!!」
こうして、1ヵ月の休館期間を利用して、3週間の「最高レビューのゲストハウスを巡る旅」に出発したのでした。
※2017年1月~2月の感想と写真が主の情報です。日記も参考に振り返って書いていますが、あらかじめご了承くださいませ。
さっそく番外編
<東京>
Nui HOSTEL & BAR LOUNGE
◆1泊3300円/素泊(2017年1月当時)
当時Hoscar受賞の宿ではなかったので、さっそく番外編ですが、旅の最初の宿に選んだのは、日本のゲストハウスブームを牽引するBackpackers Japanが運営するゲストハウス。まだ泊まったことがなかったため、この旅の出発前に1泊しました。浅草近くの雰囲気のいい下町にあります。
あぁ、はい、さすがです。おしゃれです、内装もスタッフさんも、他のゲストさんまで。
ベッドは頑丈で寝心地バツグンでした!
<イギリス・ロンドン>
Wombat’s The City Hostel
◆4泊しました。1泊約3300円/素泊(2017年1月当時)
清潔だし、設備もばっちり整ってるけど、海外にある普通のバッパーって感じでした。
いろんな国でチェーン展開してるみたいで、Hostelworldに貢献してるから表彰されたのかなーって、勝手に思ってます。
シャワーがドミトリーにあるのが嫌だったな(笑)
この怒ってるおばちゃんの絵は、共有キッチンに掲示されていたものです。
「あんたのママはここにいないのよ!自分で使ったものは自分で片づけなさい」とコミカルに啓発しています。
その後、この写真をそのまま印刷して、バックパッカーズ宮島の共有キッチンに貼りました。効果抜群!笑
<ポルトガル・リスボン>
Home Lisbon Hostel
◆4泊しました。1泊約2000円/朝食付(2017年1月当時)
レビューの9割くらいで「Mamma's dinnerが最高においしい」と書かれてるくらい、みんな口をそろえて「ママのディナー」を評価しています。
ここは朝食付きだけど。ということは、夕食のオプションをつけてでも食べる価値があるってこと?ママってどういうこと?家族経営ってこと?
期待に胸を膨らませてチェックイン。
ウェルカムドリンクの、ジンジーニャという、サクランボリキュールのショットが甘くてとてもおいしかったです。
もちろんMamma’s dinnerにも参加。
大きな長いテーブルに、大家族みたいにみんなでいただきます。
ポルトガルの家庭料理が、前菜、メイン、デザートまでついて、約1200円。
サングリアがなんと約120円!
物価の安いポルトガルにしては、宿泊料金も夕食も割高ですが、おいしい家庭料理と、他の旅人との出会いも楽しめる温かい空間。これは高評価され続けるわけだなーって感じでした。Mammaはオーナーのママらしいです。
スタッフもとても気さくで、何人かは名前を憶えてくれて、忘れられない宿のひとつになりました。
<ポルトガル・リスボン>
Yes!Lisbon Hostel
◆2泊しました。1泊約1600円/朝食付(2017年1月当時)
普通のホステルでしたが、Home Lisbonと同じような朝食ビュッフェスタイルでした。なんといっても安いし、清潔でした。
スタッフが陽気でフレンドリーなのがよかったです。
<スペイン・バルセロナ>
Hostel One Paralelo
◆3泊しました。1泊約2000円/素泊?(2017年2月当時)
ここは、「THE バッパー」って感じの宿でした。
パイプのグラグラする二段ベッドだし、清潔感も、うーんって感じです。
だけど、スタッフがめちゃめちゃフレンドリーで、泊まってる人たちも人懐っこかったです。
他のゲストと翌日サグラダファミリアや街を一緒に観光し、その夜にホステルで飲みまくって、すでにだいぶ酔っていたのに、スタッフや他のゲストにクラブに連れていかれ、実質2日しか観光できないバルセロナの1日をハングオーバーで台無しにしてしまったのでした。
でもそれも良い思い出です。
あと、2段ベッドの上の段でうなだれているときに、隣の2段ベッドの上の段に、案内されてきたのが、この旅で最初で最後の日本人でした。
興奮気味におしゃべりして、さらに驚いたのが、彼も日本のゲストハウスで働いていて、私も泊まりに行ったことのあるとこだったのと、極めつけは私と同じようにHoscar受賞の宿を巡る旅をしていたこと。
It's a small worldを、バッパーの2段ベッドの上で実感した宿でした。
<ロシア・サンクトペテルブルク>
Soul Kitchen
◆5泊しました。1泊約2000円/素泊(2017年2月当時)
ここはナンバーワン居心地のいい宿でした。
まず、2月のロシアです。北海道にも行ったことのない私には未知の寒さ。
外気温はマイナス20度ですが、宿の中は、薄着でも心地いいくらいあたたかいです。地元広島の冬の家よりあったかい。
なんといっても、隅々までこだわったデザインも可愛いです。
共有スペースには、いろんなイスやテーブルがたくさんあって、誰もが思い思いにすごすことができます。
ベッドはもちろん頑丈で、フックとか小物置きとか、細かい配慮がされています。ドミトリーとは思えないくらいベッドのシーツもパリッときれいです。
トイレは良い感じの抑えた音量でクラシック音楽が流れています。
キッチンは、調味料だけでなく、スパゲティやシリアルも自由に使えるようになっています。だからか、長期滞在者がけっこういるようでした。
スタッフがとっても親切!私は夕方のクリーニングのキュートなアナスタシアと仲良くなりました。
ニヒルな笑みを浮かべる、寡黙な朝のクリーニングのおばちゃんは、焼き菓子を焼いてキッチンに置いておいてくれます。
ロシアも物価が安いので、この宿も割高ですが、ロシア国内からの宿泊客もかなり来ているみたいでした。
Wi-Fiパスワードを「チェックアウト12時」に設定するって、秀逸!
「Wi-Fiパスワード何?」と「チェックアウトって時間まで?」って、ゲストハウスで働いてて、ゲストに聞かれることトップ5に入る2問なのです。
これも、帰ってすぐにバックパッカーズ宮島で真似しました(笑)
※現在Hostelworldで掲載していないのか、検索で見つかりませんでした。
でも当時Small Hostelの1位で、どの項目も満点もしくは、ほぼ満点の最高ホステルでした。
<ロシア・モスクワ>
Fasol Hostel
◆3泊しました。1泊約1800円/素泊(2017年2月当時)
普通のバッパーだった印象。
実際、他のゲストたちと楽しくおしゃべりして、日本に会いに来てくれるくらい仲良くなる子にも出会いました。
しかし、残念ながらどうもこのホステルは閉業してしまっているようです・・・
私が感銘を受けた宿は
さて、4ヵ国の最高評価ゲストハウスを巡る大冒険の3週間でした。
感銘を受けたのは、ポルトガルのHome Lisbonのスタッフと雰囲気、ロシアのSoul Kitchenの設備と雰囲気でした。
設備やサービスは、お金をかければいくらでも良いものができますが、ソフト面である「いいスタッフ」というのは、簡単によくできるものではありませんし、人数がいればなおさらムラがあるものです。それに、宿の雰囲気というのは日々入れ替わるゲストも一緒に作り上げるものなので、その化学反応に対応するスタッフの適応力も素晴らしいのだと思います。
でも、実際に見て感じて、できないことではないな、というか、負けてないな私たちも、思った旅でした。
百聞は一見に如かず。多くを学んだ旅でした。
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