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買ってよかったものの話
こんにちは。
何を買ったか、の前に少しだけ与太話にお付き合いください。
私は仕事で、年間3000人くらいの手書きの文字を読む機会があります。人は毎年代わります。ちなみに、字の良し悪しではなく、中身を読む仕事です。そこで、
字は人と為りをあらわすのか。
という事は常に考えていることです。
毎年出会う3000人のうち、実際に対面で出会えることは、ほとんどありません。昔はそれでも200人くらいには会いに行けたのですが、今はリモートなので50人の顔を見ることもできません。
ですから、書いた人がどんな人なのか、実際に確かめる機会はないと言っていいでしょう。
それでも。
字には人が出る。
そう思っています。我が子の字を見てもそうですし、自分の字も荒れているときと、そうでないときがあると感じています。
日本はほぼ全ての人が文字を書けるので、ほぼ全ての人は文字を生活の中で何気なく書いています。無意識の中で、自分の文字は、自らをそれなりにあらわしている、と思っています。
仕事なので、毎日通り過ぎていくものにもなってしまっていますが、それでも、この人はどんな人なんだろう、と気になる文字には時折出会います。
さて、買ったものの話に戻ります。予想できているかもしれませんが、心が震えるような出会いでした。
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撮った画像より、実物の迫力が違うんですよね。家に帰ってじっと見ていた時に、感銘しきってしまって。
紫電一閃【しでんいっせん】
刀剣などが稲妻のように一瞬きらりときらめくことから、一瞬や極めて短い時間のこと。
または、そのような少し時間で急激に変化すること。
「紫電」は刀を鋭く振るとひらめく稲妻のような光のこと。
「一閃」は一瞬のひらめきのこと。
人には人に相応しい言葉がある、と思うのです。髙見先生自らが選んで書いているこの言葉は…ずっと欲しかったのですが、手に入れて良かったな、と思いました。
毛筆の揮毫は、筆致が分かるので貴重、というかとてもよいものです。私はあまり書道は得意でないので、どの先生の揮毫色紙も、素晴らしいなと思って拝見していたのですが、ひとり一度に一点だったので、買うのはこれしかないな…と感じて、こんなに嬉しいことはないです。
もちろん、私が好きな棋士の色紙だから、ということはあります。けれどこれは…
人の字を見てゾクゾクした経験はなかなかないことです。柔らかく、大きく、激しく、強く、広くバランスが取れていて、かつ繊細に。
私がほんの少し見て、お話しした先生はお優しく、繊細で精緻で、気遣いに溢れ穏やかな語り口ですが、思考の切れ味が鋭く、内に秘めた信念が隠しきれず妖しく燃えている、そういう印象です。
先生はお話しがとても上手です。相手を気遣い、声の優しいことといったらないです。純粋に将棋がお好きなんだろうな、と巡り合った誰もが感じるのかな、と思います。
精緻だなぁ、思考の世界で生きると、こんな風に先生の持つ全てがぴったりきれいに滲み出てくるものなのだな、と初めて拝見した時に感じました。
ただ、観察力が物凄くて、ほんの数十秒の間に心に響くような言葉を投げかけてくれる優しさ…というか、鋭さや末恐ろしさを(いい意味で)感じて、緊張している私は動揺しかしていません(挙動が不審にしかならない)。
勝負の世界で生きる先生には、当たり前ですが激しさや、強さが備わっています。ただ、それは私たちファンの前では必要ないから、きれいにそれを包んでいる。
私は先生を強い方、だと感じて会ってみたかったので、秘められていてそれでも佇まいや雰囲気から隠しきれない妖しいそれに、ああやっぱりお強い方なんだ、と思っています。
四文字の揮毫はこれであることが多いようなので、長年、書き慣れていることと思います。でも惰性がない…。
ううん。凄いな。
もう全然常の世の方でないのよね。棋士はみんな彼岸の向こうの方だと感じている私なのですが、時たまこちらの世界に降りてきて、にこやかにお話ししてくださる髙見先生も、もちろんあちら側のお方です。
素敵。
ちなみに、2周してもいいとのことで、私は少し時間を空けて、こちらも入手いたしました。ああ…。
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今回は、「縁」「夢」「颯爽」「紫電一閃」が並んでいたのですが、縁は先日いただいていて(そして真っ先に完売していました)「紫電一閃」と「夢」が我が家にきました。
大きな夢。
私は、夢を抱いて生きることはすっかり忘れてしまっていたのですけれど、今年はもう少し、自分が目指すものについても考えてみたいな、と思って買わせていただきました。これも力があって、優しくて、本当にいいんだよ〜〜(泣いてる)
新年に素晴らしいものが手に入ったと思います。
きっと、お忙しい中、書いてくださったのだと思います。ほんとうにありがとうございました。
2022.01.