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【どうせなら、肩幅広めの肩書きが欲しい。】vol.1 建築家の可能性

私は建築家として、何をしているか。

私は、大学と大学院で建築について学んだ。学生時代は、設計課題やら論文やら研究室のプロジェクトなどに追われながら、忙しい毎日を送っていた。大学院生のときは、OMAというオランダの設計事務所でインターンをするために、1年間休学した。

要するに、建築にどっぷりである。

(建築の道に進んだ理由は、今となっては色々と述べることもできるが、有力候補は、「小学生のころThe Sims DeluxeというPCゲームにドはまりしたからです」だろうか。)

今勤めている、横浜の設計事務所オンデザインパートナーズに入社してからは、住宅、商業施設、オフィスなどの設計をしてきた。ただ、自己紹介する際に「建築設計やってます村田です」と言ってはいるものの、実際のところ、建築設計以外の仕事もたくさんやっている。いやむしろ、建築以外の仕事の方が主流になりつつあるかもしれない。例えば、

  • 芸術祭の会場計画

  • プロジェクトアーカイブ本の執筆

  • 自社メディアに掲載する記事の執筆

  • 大学の学生スタジオ講評会の通訳

  • 自社で出版する本の通訳

  • AI画像認識カメラを使った公共空間のセンシング事業

  • 社内スタートアップの企画づくり

など。CADや3Dソフトを使わない日が連続すると「あれ、私って設計者だよね…」と、ふと我にかえる瞬間はあるものの、いずれにせよ未知なことに色々と全力で挑戦できる環境は、とんでもなく面白い。

建築家って、かなりオールマイティ。

「建築家」という職業については、巷では色々な定義が出回っている。が、私の周りにいる建築家さんたちに共通して言えることは、みなさんめっちゃオールマイティ

冷静に考えると、当たり前の話である。この職能は、かなり幅広い知識と技術を要する。お施主様と良好な関係性を保つためのコミュニケーション力であったり、新しい顧客層を見つけるためのマーケティング力であったり、作品を言語化する表現力であったり、建築家としての自分をプロモーションするブランディング力であったり。

建築知識や設計技術があるのは前提であるが、専門領域を超えたところでも、建築家の<ビジネスマンとして>の力量が試されているのだと感じる。

建築家の可能性を広げる仕組みをつくりたい。

私にとって「建築家」とは、アーティスト・エンジニア戦略家としての顔を兼ね備えた仕事人であり、その多面性・多様性に魅力を感じている。しかしながら業界の外では、「建築家」という肩書きが、少し独り歩きしているような印象を受け、単純化されているように感じる。

だからこそ私は、この「建築家」という職能を因数分解し、この肩書きにぶら下がるタグを一つひとつ洗い出し、建築家が秘め持つ可能性が最大限に活かされ、さらに広げていけるような仕組みについて、考えていきたい。という思いを述べて、締めくくる。


【写真】Guggenheim Museum, New York ©Yuri Murata


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