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lazy_planet
1億円の低カロリー
近くのファミリーレストランから、手紙が来た。開けてみると、キャンペーン参加へのお礼と一億円分の低カロリーな食事券が同封されていた。一ヶ月ほど前に、暇潰しでアンケートに答えた気がするが、それだろうか。
午後八時を過ぎて、これから夕飯を食べるなら、低カロリーに越したことはない。それに無料だ。
ファミリーレストランの受付で、ハガキを見せると特別室に通された。部屋の真ん中にぽつりとテーブルセットがあり、そこに座る。
シェフがうやうやしく持ってきた皿には、何も入っていないように見えた。
「スプーンでそっとすくって下さい」
シェフに促され、スプーンをさし入れるが手応えがない。
「騙されたと思ってお飲み下さい」
口に含むと、複雑な旨味を感じた。
「そのスープには一食分の栄養素が含まれています。透明度が高すぎるのが難点ですが」
食べ終わり、レストランを出る。
「ああ、腹減ったな」
迷わず隣の牛丼屋に入った。