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非情怪談【#毎週ショートショートnote*非情怪談】

デジタル大辞泉より
非情 2, 仏語。草木土石など、感情のないもの。


 どんなに立派な屋敷でも人が住まなくなったら荒れ果て、邪な輩が集まるようになる。
「蜘蛛の巣だらけだな」
 小林が伸び放題で元の形がすっかり分からなくなった植栽を蹴る。
「石灯籠とかねえかな。年代物なら金になるらしい」
 佐田が目をギラリと光らせた。
「西洋風の庭だぞ? うわあっ」
「小林? 蛇でも出たか?」
 苔むした妖精のオブジェと目が合う。
「流石に売れねえか」
 背後に気配を感じたが、荒れた植栽があるだけだった。
「こいつ、考える人か」
 頭を抱えたり、しゃがみ込んだりと様々なポーズをした人間の形をした植栽があちらこちらにあった。不思議と葉の伸び方が違い、比較的整っているものもある。
「これ、小林の背格好に似てるな」
 そう呟く佐田の頭にガツンと何かが落ちて来た。
 石の妖精がゴロリと転がり、また元の静かな庭に戻った。
 密かに植栽が一つ、二つと増えたのは誰も知らない。

#毎週ショートショートnote  
#非情怪談

あとがき
ちょっと苦しかったでしょうか……
今回は意味から発想して書いてみました。

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