空飛ぶサラダ【ショートショートnote杯】
「どういう事よ!」
女性がテーブルを叩きつけた瞬間、サラダの皿が飛んだ。皿は床に落ち、レタスやコーンが隣のテーブルに座った俺の頭上に落ちてきた。
「うわっ」
俺の叫び声に女性が動きを止めた。責められていた男性がウェットティッシュを差し出してきたが、女性は怒りからかそっぽを向いている。
「お前のせいだろ。謝れよ」
「元々はアンタのせいじゃない」
騒ぎに気付いてウェイトレスが持ってきたタオルにはflying salad cafeと印字されていた。看板メニューは、店名と同じflying saladというものらしい。半ばやけくそで頼んでみる。
「お待たせしました」
二つのボウルが合わさった容器の中に野菜が入っていた。ウェイトレスは、上蓋からドレッシングを投入してハンドルを回す。野菜がボウルの中で飛んでいるように見えた。
「あっ」
ボウルの上蓋が外れて飛び出たコーンが、俺の頭にぽつんと着地した。