花と緑のコンシェルジュ 季節は植木がはこんでくる。。。
10月の三連休も終わり、いかがお過ごしですか?花と緑のコンシェルジュ 和田由里です。
私の職場は広島の花市場ということから、花や緑関連のご紹介や季節や地域のイベントをご紹介しています。その広島の花市場の連休明けすぐのイベントが秋の「植木大市」だったんです。昨日のことです。花市場でのイベントですので、業者様向けですので、消費者の皆様にはご参加いただけませんが、その様子を少しご覧いただきますね。
一年に4回、植木大市
植木大市は、普段の植木市とは別に、広島では一年に4回開催しています。この時には近隣の植木産地からだけでなく、関東方面や南九州の産地からもご出荷いただいています。
上の画像は、陸橋からみた植木の入荷の様子です。
普段は駐車場のエリアに各地からご出荷いただいた大きな植木から小さなものまで並びます。関連商品として、石類なども。。。
産地市場と消費地市場
広島には、以前は小さいながらも近隣の植木の産地はあったんですよ。今は広島市安佐北区になる「安佐町」や廿日市市の「佐伯町」。昔からあるおうちのお庭には植木がたくさん植えてありました。
隣の家や道路との境界線がわりに、また、周辺から住居内が見えないように目隠しの機能も持たせた「生垣」がありますね。ほかに、身近には道路の歩道と車道の境目や中央分離帯として、緑地帯が設けられています。広島市近隣の植木産地では、それらに適した庭木を中心に生産されていました。(が、いまでは、その産地も住宅地になってしまい、植木生産者もご高齢になり、後を継ぐ人も少なく、産地とは言えなくなっています。)
植木を扱う市場には、「産地市場」と「消費地市場」があります。
日本全国を見回すと植木の生産の盛んな産地があちらこちらにあります。広島にご出荷いただく地域でいうと、九州は福岡県田主丸、鹿児島、四国は香川県、高知県など。。。少し離れると、関西は奈良県、東海に行くと愛知県。関東では埼玉県、千葉県などなど。ほかにも植木産地はたくさんあると思いますが、今あげた地域にある植木市場は、「産地市場」と言えのではないでしょうか。(これ以北にも産地はあろうかと思いますが、遠くてお取引がないので、私は情報として全く知りません。)これらの地域からは、全国に向けて販売をされています。
広島などは、ひと昔前の小ぶりな商品の生産はあった地域であっても、大きな産地とは言えません。身近な地域で必要とされるものを作って供給することで近隣産地として成り立っていました。ですから、広島の植木の市場は、「消費地市場」の位置づけです。
ずっと続けてきた植木大市は、西の植木産地市場と東の植木産地市場のつなぎ、ハブの役割もありますね。九州の生産者の人が自分の商品を関東に売りたい場合、関東の市場への出荷には大変な労力と時間、そして経費がかかります。そんな時に、広島の植木市場に出荷した便に、九州にはない商品が東の植木産地から出荷があった場合、仕入れをする市場としても重宝していただいていました。
年々寂しくなってきた植木大市
前述のように日本経済も右肩上がりだったころは、消費地市場であっても結構な取扱量がありました。植木大市は、ひとつのお祭りのような感じの市だったんですよ。
それが、景気も下り坂になっていくにつれ、徐々に出荷数量も減少していきました。消費者の好む樹種も変化してきました。最近では、「生垣」のある家は新しく建ちませんよね。需要も変化してきました。
そうこうするうちに、中国の勢いが増し、国力が上がっていくにつれ、中国の人が日本の植木に注目するようになりました。現金をもって植木産地を回り、ごっぞりと仕入れて帰る・・・というような時期もありました。この時期、かなりの植木、それも私たちがいう「大物」という大きく育てた木が中国に流れていきましたね。。。
このようなことから、広島の市場を活用して行われていた取引も少しずつ減少してきています。もちろん、樹木の使われ方も好みの樹種も変わったことにも原因はあるのですが、以前は臨時卸売場として建物周辺の駐車場のほとんどを使わせていただいていたところが、ピーク時に比べると半分。。。時にはそれ以下にもなっています。
10月の植木大市は需要の変化に加えて、自然の影響も受けています。年々暑く、長くなってくる夏。。。この影響もあります。夏の時期には植木を流通させるために掘り出すことは避けます。その避けた方がいい時期が、年々長くなっているんですね。
植木大市がだんだん規模が小さくなっている。。。と、ちょっと寂しい話題になってきてはいますが、それでも植木の生産地でもない地域で実施される植木大市には、近隣の造園業者さんにはあてにしていただいているようです。
植木がはこんでくる四季
日本の農家さんたちはとても勤勉で、生産技術も高く優秀だと思っています。野菜も果物も、周年でいろんなものが手に入りますよね。花の生産者もそうなんですよ。ある意味、季節感がなくなっている。。。という見方もありますね。
しかし、植栽する植木はそうではありません。常緑樹は別ですが、特に季節感が大事だなと感じています。植木大市は「春」と「秋」2回ずつ開催されるわけですが、それぞれの大市で特徴があるんですよ。
秋の植木大市では、実がつく樹木や紅葉などが、「今年は早いねぇ」とか「遅いねぇ」などの会話がよく聞こえてきます。この時期、私が思うのは、「きんもくせい」。きんもくせいの香りがすると、秋だなぁ。。。と感じます。今年の10月の植木大市ではきんもくせいの香りはありませんでした。きっと来月の市では、香るんだろうなぁ・・・と楽しみにしています。
植物は来春の花の準備をちゃんとしている
だんだん入荷が少なくなって寂しくなってきている植木大市。今回の10月の大市は、いつもよりもまた少ない入荷量でした。入荷してくる植物の種類もだんだん変わってきているなぁ。。。と思いながら、卸売場を回ってみてみました。
そんな中、目に留まったものを少しだけですがご紹介したいと思います。
いつもは年末に白い実がついた枝物として出荷されるものが私のイメージにあるのがナンキンハゼ。葉っぱがついた、おまけに目にも鮮やかな紅葉した葉っぱの植物がナンキンハゼでした。10月の初旬、広島ではまだまだ紅葉までは時間があるこのころ、とても美しい色づいた葉っぱを見せてもらいました。
枝物で出荷されるのしか見ていなかった「まゆみ」。植木で出荷されている「まゆみ」には、葉っぱがついていました。(植木の生産者さんがきくと、変なこと言うなと思われますよね。)枝物の切花の花材としてのまゆみは、葉っぱが全部落とされています。これにもちょっと感激!
えっ?!今、ヤマボウシの花?・・・と思って足が止まりました。
訊いてみると、一年に2回花が咲く品種なのだそうです。よ~く見てみると。。。
上の画像の花のそばの小さな粒。。。これは来年の花芽なんですって。今咲いている花と、来年咲く花芽が同じ木で見られます。来年の花の準備もしているんですね。
同じくアメリカハナミズキにも。。。
ここにも来年の花の準備を着々と整えています。
これから寒い冬を超えて、耐えて、来春の花のために植物たちは準備をしているんですね。
植物に学ぶところも多いなぁ。。。と感じることも多いこの頃です。