見出し画像

『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください』を読んで①~仕事、人間関係のバイブル

今回紹介するのは『パン屋ではおにぎりを売れ  想像以上の答えが見つかる思考法』と『バナナの魅力を100文字で伝えてください  誰でも身につく36の伝わる法則』の2冊。こちらの著者柿内尚文さんはアスコム社で長年編集の仕事に従事され、数々のベストセラーを生み出してきたヒットメーカー。そこで培ったノウハウを俗人的なものでなく、社内で共有し、誰でも同じクオリティの編集ができるようにしているという。今回の2冊はそんな柿内さんが著者として、秘伝のノウハウを惜しみなく伝授した思考、伝達のためのバイブル的な本。こちらを読んで、自分なりに響いたポイントをまとめてみた。

考える=「広げる」+「深める」

1冊目の『パン屋ではおにぎりを売れ』は「考える技術」について書かれた本。「考える、という行為にはとんでもない突破力がある」という。が、本書でいう「考える」とは「目的を達成するために考えること」を指しているが、この本は「考える」技術の方程式を紹介している。そして「考える技術」を習得することで、現在の脳が「脳1.0」だとしたら、「脳2.0」に進化するという。

一般に「思う」と「考える」を取り違えている人が多いという。「思う」は頭に浮かんでくる、感じること、「考える」は目的のために意識的思考すること、である。また、「知っている」も「考える」とは違う。本書では「考える」ことの定義を「広げること」+「深めること」だと定めている。「広げる」とは可能性を考えていくこと(いままで存在しなかったものを生み出したり、新しい価値を作ること)、「深める」とは本質的価値を考えていくこと(「そもそも」を考えること)である。

考える≠思う
考える≠知っている
考える=「広げる」+「深める」

出所:『パン屋ではおにぎりを売れ』

「考える」ことは究極には「目的を達成するために考えること」である。そして、具体的に「考える技術」を身に着け、答えやアイデアを生み出す方法として、本書では3つのルールを紹介している。

(ルール1)ゴールを決める
(ルール2)インプットして現状を整理する(①課題を決める、②必要な情報をインプットする、③インプットした情報を整理する)
(ルール3)考える=「考えを広げる+考えを深める」

出所:『パン屋ではおにぎりを売れ』

本書ではこのルール3考える=「考えを広げる+考えを深める」ことについて、複数の法則を紹介している。特に印象に残った法則を紹介したい。

かけあわせ法~出会ったことがない言葉と言葉の生み出す効果

「考えを広げる」代表的な手法の一つ。自分の脳の外に出て、出会ったことがない言葉と言葉を合わせることにより、人々にインパクトを与えることができる。実際にこの「かけあわせ法」を用いて生まれたヒット商品も多い。例として「うんこ漢字ドリル」、『医者が考案した「長生きみそ汁」』など。ヒットの重大な要素は「新しさ」と「共感」である。「うんこ漢字ドリル」は子供が大好きな「うんこ」と「漢字ドリル」をかけあわせたことにより、多くの子供達の共感を得ることに成功した。また、「長生きみそ汁」は「医者(信頼感)」×「長生き(多くの人の欲求)」×「みそ汁(発酵食品として体によいと認知)」という出会ったことがない3つの価値をかけあわせたことにより、新しい価値を生み出し大ヒットしたという。

これは商品名だけでなく、自分自身のブランディングをする時に「自分自身をレア化」することで印象づけることができる。たとえば「医師であり(100分の1)」、「弁護士資格も持つ(100分の1)」、「米国在住日本人の私(100分の1)」というような場合、仮にそれぞれの%が100分の1である場合、かけあわせにより一気に価値がレア化し、「100万分の1」の価値を生み出すことができる。

「かけあわせ法」により人材をレア化した例
医師(100分の1)+弁護士(100分の1)+米国在住日本人(100分の1)
⇒100万分の1のレア人材!

かけあわせるものは「思いつくもの」からでよく、「奇跡の出会い」が生まれるまでそれをひたすら続けると良いという。

選択する前にまず「脱2択」

人は1日に数多くの選択をする機会があるが、こと「考える」という場面では「A or B」ではなく、「A and B」という発想が必要だという。たとえば、「今の仕事以外にやりたいことがある」という場合、「会社を辞めるか辞めないか」という2択ではなく、「辞めずにやりたいことをやるにはどうしたらいいか」から考えるのが「A and B」の発想である。例えば、会社に毎日行かなくて良い契約形態を取れないか交渉する、などダメもと前提で出てくるアイデアもある。「考える」場面では「どちらか」ではなく、両方の「いいとこどり」をする思考法が大切であり、2択以外の方法を考えることで、一石二鳥でWinWinの課題解決ができる。

「あったらいいな」~のび太になりきる

想いや夢をそのままにせず、ドラえもんの「のび太」になりきって考える。イノベーションの多くは「あったらいいな」から生まれており、例えばそうして生まれたのがウォークマンであり、iphoneだという。実際に柿内さんが編集に携わった本『1日1分見るだけで目が良くなる28のすごい写真』も、「アフリカの人は自然の中で遠くを見る機会が多いから視力が良い」という事実を受け、「ではそのような風景写真を見ることで、日本にいても目を鍛えられるのでは?」という発想から生まれ、50万部のベストセラーになったという。

人はなにかを考えるとき、まず実現可能なことから考えがちであるが、
まずは「ドラえもんに秘密道具を頼むのび太になったつもり、で『あったらいいな』を考えてみる。」といい。そして、その「あったらいいな」をゴールに設定し、ゴールまでの道のりを考えてみる。思いや夢をそのままにせず、実現させることを考える「あったらいいな」の活用は、あなたの人生を改善させるヒントにもなり得るという。

「自分ゴト、あなたゴト、社会ゴト」

人は自分の関心に繋がる提案をされると、人ゴトではなく、心が動くものだが、往々にして伝える側の視点で物事を考えてしまいがちである。そこで、人を説得したい時、興味を持ってもらいたい時は、以下3つの視点で提案すると、より説得力が増し、人の心を動かすことができるという。

自分ゴトー自分の関心があること。
あなたゴトー(相手の)家族、友人、同僚など、自分と関係が深い人や自分に近しい人に関係があること。
社会ゴトー社会的関心や流行など。

出所:『パン屋ではおにぎりを売れ』

これはビジネスをする上で、非常に有効な方法である。使い方としては、
「〇〇さん、〇〇さんがお好きであろう、スタイリッシュで素敵なソファが入荷しました。座り心地がとても良いので、ご家族の皆様にも気に入っていただけるのではないかと思います。そしてこのソファは廃木材を使って作られているので、環境保全にも貢献しています」というような具合だ。このトークの中には「自分ゴト、あなたゴト、社会ゴト」の3要素を全て入っている。 この3要素を入れることで、より「買いたいと思う理由」に厚みを持たせることができる。この手法は思考法だけでなく、後述の『バナナの魅力を100文字で伝えて下さい』にも紹介されており、考え方にも伝え方にも応用できる万能な手法である。

どうすれば?ー「思考ノート」と「ホワイトボード」の活用

本書で学んだ「考え方」の実践の場として、柿内さんは「思考ノート」の作成を薦めている。柿内さん自身も実際にノートに日々気づきをメモしており、これにより考えを「俯瞰化、見える化、整理」ができるとともに、「書いたことを蓄積」できているという。私たちも日々の気づきをメモすることで、考えを「広げたり」、「深めたり」することができる。本書では実際の「思考ノート」のつくり方について、例とともに詳しく説明されている。

また、「ホワイトボード」の活用もお薦めだという。「考える技術」の「目的(ゴール)」⇒「目的達成のための課題」⇒「課題解決のための策」という3ステップも、実際にホワイトボード上で「見える化」することで、「抜け落ち」、「部分的」というマイナスを解消する効果がある。

『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください』を読んで②~仕事、人間関係のバイブル に続く。


いいなと思ったら応援しよう!