AI自動翻訳活用法
「理工系のAI英作文術」(西山聖久著)を読んでの感想。
ブックライターの戸田 美紀さんがご自身の手掛けられた本として紹介されていた本。私自身は理系でも技術系でもないが、日頃英文ソースの資料を読んだり、日本語の文書を現地スタッフ向けに英訳する機会があり、AI自動翻訳(googleやDeepL)にはずいぶんお世話になっているところ。
ただし、自動翻訳はそれだけでは心もとない気がしており、そのまま信じるというよりは、ネット検索をしながら「より自然な表現」を自分なりに模索していた。
日本語から英語訳する場合~ポイントはSVO構文と短い文
本書を読んで、洗練された、正しい英文を導き出す鍵となるのは、翻訳ツールの精度そのもの、というより、「日本語」のクオリティにあることがわかった。つまり「いかに主語、目的語、動詞(SVO)の構文ではっきりした日本語を簡潔に用意するか(長い文は何回かに切る)」や「受動態を避けて能動態にする」ことが大切という。「訳しやすい日本語」といえば分かり易いだろうか?
日本人の英語の特徴
本書には日本人の英語にありがちなこと、として以下が挙げられていた。わが身にも思い当たることアリアリだった。
【日本人の英語にありがちなこと】
①一つの文章が長い
②受動態が多い
③It is ~to~, It is ~that...構文が多い
④There is..., There are...構文が多い
⑤If..., When~構文が多い
⑥内容が抽象的
自分の英語も洗練させてくれる!
著者は一旦AI翻訳で英文を作成⇒自分なりに修正した後、作成した英文をAI自動翻訳で「日本語にして確認する」ことを薦めている。日本語でもチェックすることで、抜け漏れ、訳し違いがないかを見つけやすくなるのだが、この機能は自分が作成した英文のブラッシュアップとしても活用できる。
筆者の友人のAさんは(欧州駐在員)は以下の手順で自身の書いた英文をブラッシュアップしているとのこと。
【Aさんの方法】
①最初に自分で英文を書く。
②それを自動翻訳ツールで日本語訳する。
③②を再度日⇔英往復する
④リリース(こうすると表現が洗練される印象とのこと)
私自身はこんな使い方はしたことがなかったが、いわば「AIにネイティブチェック」をしてもらうことができるということ。早速活用したい。
AI自動翻訳出できないこと~人の手でチェックが必要な部分
AI自動翻訳も万能ではない。特に以下のことはAIでは限界があるため、仕上がった文を以下のポイントでチェックする必要がある。
【AI自動翻訳にできないこと】
①受動態にすべき文章の選択
②専門用語の理解
③用語の一貫性
④名詞の使い方(theを付ける、付けないなど)
⑤複雑な文書の組み立て
⑥パラグラフの構成
⑦自制の一貫性
浮いた時間でアウトプット!
自動翻訳ツールはこの1,2年だけ見ていても実際使ってみて日々精度が上がっている印象。英語の資料を素早く大量に読み込まなくてはいけない時、英語の文書を作成する時の強い味方となってくれる。
もともと著者の本書を執筆した目的として、自動翻訳ツールを上手に使うことで、より精度の高い英語を素早く作成し、その分浮いた時間を自らの研究活動に充てる、ということだと言う。私の場合は研究をしているわけではないけれど、その分色々なことのアウトプットに使っていきたい。これまで、どうしても面倒で日本語の文献を探していたけれど、これからは積極的に英文ソースにもチャレンジしよう!と誓う。